岡本呻也著 文藝春秋刊 

解題 『ネット起業!』 田中裕士vs.岡本呻也7

インタビュアー 田中裕士
文藝春秋(取材スタート時の編集担当者)


  ●「価値」は混沌の中から生まれてくる

田中 そういうビジネスの源流が、バブル期の猥雑なディスコにあったというのも興味深いところですよね。

岡本 価値というのは、混沌の中から生まれてくるんですよ。これは非常に重要なことで、カオス理論なんかで80年代の初めには言われていたことですが、混沌の中に秩序ができてくるということが科学的に解明されているわけです。猥雑さは、エントロピー増大でどんどん膨らんでいくわけですが、その過程で、秩序すなわち価値が生まれるんです。複雑系の発想もこういうところから出てきているはずです。

田中 なんだか、難しい話になってきたな(笑)。

岡本 基本はね、「損して得取れ」という考え方だと思うんです。例えば、この本の中でバンダイの林さんが、コンテンツを作るときに企画会社から企画を買い取るのではなくて、「リスクを半々で取ってくれ。そのかわり成功したら利益を割り戻すから」と言って、製作費用を企画会社にも分担させたわけです。そうすると、より企画会社もコミットするようになる。
 決して直線的な考え方ではなくて、相手の参加をそういうふうにして引き出すようにする方法、それをいくつかのプレイヤーの中で掛け合わせたのが、ドコモの夏野さんが作ったポジティブ・フィードバックの考え方なんです。それはある部分、自分自身が、その「場」で発生する利得の独占をあきらめるところからスタートするわけです。
 それから、iモードは、インターネットの中にあるんだけど、インターネットの中にありながら「iモードですよ」と言っているということは、ある意味インターネットを否定しているわけです。何でもそうなんだけど、インターネット自体が混沌だとしたら、その中に秩序ある空間をつくっているわけです。そういう形の、価値の作り方なんです。物事というのは、そんなに単純じゃあなくて、このへんのセンスを掴むことができるかどうかというのも面白いところなんですけどね。
 なかなかうまく説明できないな。

 いっぱい人がいるというところ想像してください。渋谷の雑踏を見ればわかるでしょう、混沌以外の何物でもない。でも、その中を区切って、「はい、じゃあこの中の人たちを1カ所に集めますよ、メンバーリストも作りますので、後は勝手に喋ってください」というような場を作ると、そこでまた新たな秩序が生まれわけです。それは時間の経過とともに、また拡散してしまうのですが。そういう形で生産されていく価値もあります。

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