岡本呻也著 文藝春秋刊 

解題 『ネット起業!』 田中裕士vs.岡本呻也6

インタビュアー 田中裕士
文藝春秋(取材スタート時の編集担当者)



  ●面白い仕事、進歩する仕事、勝てる仕事

岡本 そう、そうなんです。ネットベンチャーなんて、人材なんかいないんですから。ないものをフル回転させてやっているわけです。カツカツでやっている。あるモノは使う。すべてにおいて恵まれている大企業の人間は、そこを考えないとね。
 僕は思うけど、自分が働くんだったらそっちの方が面白いじゃないですか。大企業にいてぼーっとしている人というのは、なにがうれしくてやっているのかなと思いますよ。人生短いわけじゃないですか。僕自身、随分回り道をして、時間の無駄ばかりしているから、それを取り戻したいですよね。
 ましてや働くということを「強制されている」と思っていたらだめですよ。それじゃあ絶対、いい仕事なんかできない。自分の時間なんだから。仕事を通して、遊びを通して、価値をつくりだし、みんなと一緒に前進するという気持ちがなかったら、それはやっぱり生きていて面白くないんじゃないかな。

 十年一日、進歩のない仕事をやってるんだったら、そんな単純労働、マクドナルドですよ。ぼくはそれには耐えられない。


田中 いつまでもまずいラーメン屋とか。疑問を感じないかね、本当に。
  岡本さんによれば、こうした自己埋没した人材がネットワークに目覚めることで変化が生まれるということかと思います。結局、岡本さんがこの本の中で書いているのは、総てネットワークについてなんですね。それは岡本さんが、B&Bというきわめて質の高い勉強会を運営したり、メディア関係者の集いをつくったり、遡れば早大出身者の勉強会の運営に関わったりと、10年以上前からネットワーカーをやっていて、その経験から得られたことなんですか。

岡本 それはどこから学んだかというと、やっぱり本の中の真田哲弥氏が東京に出て来てから参加した東京円卓クラブみたいな、当時の会社からはみ出ていた若者の持っていた文化から学んだんですよ。

田中 真田氏というと、第一期のダイヤルQ2事業者として「第3のメディアを作る」を旗印に学生ベンチャーを立ち上げ。一時我が世の春を謳歌した後に失敗した男ですね。後にIモードの発展の中で生き生きとした活躍をするわけですが、彼の事業失敗後の地に堕ちた底辺生活と、そこから立ち上がる力強い過程は、胸に迫りますよね。よく書いたなあと思います。
 板倉氏、真田氏に限らず、この本に出てくる人物たちは個性的で面白いですよね。常に何か新しいものを発想しようと努力している。読んでいて「新しいビジネスというのはこういうふうにして思いつくのか」と関心させられるし、そこに一貫してネットワークあるいはポータルという考え方が流れています。

岡本 ポータルというのはビジネスの中核なんですよ。ネットワークの入口であり、ネックだから、そこを押さえていれば勝てるわけですよ。ポータル=玄関と訳されていますが、僕は「うちは他者と違う価値をまとめて提供しますよ」という意味だと思うんです。

 だからネットで儲けようと思ったなら、どの次元でも良いからとにかくポータルの部分を押さえる。サイバードはコンテンツビジネスなんだけど、実はすべての携帯端末に対するポータルになっている。彼らの商売の舞台はiモードだけではないんです。単純にコンテンツを提供するだけだったら、儲かるけれども、彼らはさらにその上を目指したわけ。やっぱりこのへんの考え方が、一段先に行けるかどうか、勝てるかどうかの境目なんでしょうね。

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