岡本呻也著 文藝春秋刊 

最適購買実現システム

 97年4月、小澤の副業(本人は本業だと思っていた)「最適購買実現システム」がスタートした。
「だいたい広告というのは買い手を探すために打つものなのだから、広告を打たずに゛私は幾らで何を買いたい゛という情報さえ集めてしまえば、僕はこの世の王様だぁ」、という無邪気な発想で、自動車、不動産、バイク、パソコン、ネットを通して手当たり次第に利用者側の買い情報を集めてはみたものの、売り手の方がさっぱり集まらない。
「ハーレーダビットソンのバイクを買いたい」という注文があったので、販売店に「こういう注文がある」と電話すると、「そういうブローカーみたいなことはしないでください」と剣もほろろの対応である。これでは駄目だとあきらめて、今度はネット上での取引が確立されつつあった古本取引に目をつけた。

 当時インターネット上で店を開いていた(後述する「検索エンジン」に登録していた)古本屋は50軒程度あった。小澤はネット上で彼らのメールアドレスを集めて、「イージーシークに登録すると50軒の本屋さんに問い合わせできますよ」と自分のホームページで謳ったわけである。なんのことはない、他人のふんどしで相撲を取るだけなのだが、これは奏功して「こんな本を探している」という情報が集まり始めた。実際に毎日注文が入ってくるので、古書店側もビズシークからの情報配信を求めるようになった。やっと買い情報が勝利を納めたのである。
 サイト名を「イージーシーク」と付けたのも、検索エンジンで本を探そうとした場合あいうえお順に表示されることを考えて、なるべく先頭に表示される名前にしたからだ。生き馬の目を抜くこの世界、この程度の小技は当然である。
 いよいよ軌道にのってきたのでCSK時代のエンジニアの友人を引き入れた。手作業でやっていた古書店への情報配信を自動でできるようにシステムをつくり、文学や歴史といった古書店の得意分野ごとの買い情報が自動的に選別されて流れるように改良し、月末にポンとボタンを押すと、各書店への仲介手数料請求書がプリントアウトされるように充実させていく。
 ソフトづくりやサイト運営の労力はボランティア。ランニングコストは月4万円のインターネット接続事業者への支払いだけだったという。ケチなオペレーションだと思われるかもしれぬが、特にネットベンチャー経営では、コストを押さえることは、生死を分けることに繋がる。彼は「サラリーマンをやりながらジャブジャブ儲かる仕組みをつくろう」と虫の良いことを考えていたのだ。

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