岡本呻也著 文藝春秋刊 

リバースマーケットシステム

 イージーシークが稼働したのは97年9月。初日に50件の登録があったので、「これはいける」と実感したという。現在、5万人のウェブサイト(ホームページと同義)の登録会員を有し、毎日数百件の「買いたい情報」が登録され、月間1000万円ほどの古書を仲介する他、キャラクターグッズ、CD、ブランド品、ペット、食品、家具、チケットまで仲介の対象を拡げている。

「゛20年間探し続けていた本が登録したとたんに見つかった。このシステムはすごい"、"ネットってこんなに便利だったんだ゛という絶賛のメールが利用者から来ます。顧客満足度ナンバーワンサイトですよ。゛書籍名不明、赤いスカートをはいた女の子が森へ行く話。こういう本を探している゛という注文こそ、古書店のオヤジさんは情熱を燃やして探すんです。高い本は売れないのではって? とんでもない、100万円もする全集が売れて行きますよ。
 イージーシークは利用者に、゛このサービスを使いたいからパソコンを買おう゛とまで思わせる力を持ったウェブサイトなんです。それは、単に今ある文書や写真をインターネットに載せ替えただけのサイトとは根本的に違うものなんです」

 小澤は腹の底から確信に満ちた声を出し、さも当然で説明する必要などないことのように語り続けるが、しかしここまで読まれても、「これはオタク仲間がやっている物品交換会の拡大版とは何が違うのか」と思われて当然であろう。実は小澤のビジネスの本質「リバースマーケットシステム」の説明はこれからなのだ。
 このシステムは、買い手側が広告を見たり情報を検索して、商品のある場所に買いに行くのでなく、買い手側が「私はこの商品をこのくらいの価格で買いたい。誰か売ってくれる人はいませんか」と売り手に呼びかけるという倒逆的発想にある。客のニーズさえ掴めていれば、現に今、買い手がいるわけだから、そこに商品を供給すれば確実に売れるということである。こう申し上げれば、そこに何かしら商売の手掛かりを感じるとる読者もいらっしゃるのではなかろうか。

「例えば住宅情報や仕事探しのための情報誌というのは、一カ所に大量の情報を集めてきて、そこに大勢の人をアクセスさせる(雑誌を買ってもらう)というデータベースビジネスなんです。でも僕が三軒茶屋近辺にオフィスを引っ越そうというので情報誌を買ってきたとすると、僕にとって必要な情報というのは何百ページある中のほんの5行だったりするわけです。つまり全情報の〇・数パーセントの情報を得るために雑誌を買っているわけだから、500円のうち499円は余分に払っているわけです。僕に言わせれば、この時点で情報誌ビジネスは破綻してますよ。
 不動産屋で探すにしても、何軒も不動産屋を訪ねて物件を見に行き、気に入るものがあるまで歩き続けなければならない。とてつもないコストを、゛金を払うため゛にかけているわけです。だけど不動産屋を探すというのは、゛三軒茶屋の駅からだいたい徒歩10分の物件を借りたい゛というのがこちら側の希望であって、ある特定のビルでなければ駄目というわけではない。つまりどの物件でもいいわけです。そこにあるのは゛買い手のニーズ゛です。

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