岡本呻也著 文藝春秋刊 

イージーシーク

 筆者がこの長い物語の先頭打者としてビズシークを選んだ理由は、小澤のビジネスが、まさしくインターネットを利用したビジネスの本質や可能性の広がりを説明するのに、最適なビジネスモデルだと考えるからだ。もしビズシークの追求する仕組みになんらの利益構造も、発展の可能性をも見出すことができないと判断される読者は、それ以上先をご覧いただいても得るところは少ないと思う。逆に、現在ほとんど売り上げが立っていないこの会社に雄飛の可能性があるのではと思われた読者は、この後筆者がくだくだしく書き連ねるであろうネットベンチャー経営者のアイデアや思考様式が、どのようにこれまでのビジネススタイルを変えつつあるか、彼らがどうやってこれまでの商売の延長線上にはない、まったく新しい「金のなる木」を手中にしつつあるかに思い及ばれることだろう。
 しばし、小澤の長広舌におつき合いいただきたい。

「インターネットを使っていると難しく見えるかもしれませんが、ぼくがやっていることを簡単に言うと゛あなたが探している古本を、古本屋のオヤジが探してくれますよ゛ということなんです。
 たとえば、『鉄腕アトム』の初版本を探している人がいたとします。彼はイージーシーク(ビズシークのホームページ゛簡単検索゛という意味)にアクセス(ネットに接続し、パソコンのソフトで閲覧すること)して゛探しものを登録する゛というところに書き込みます。その情報をイージーシークは自動的に50軒の古書店の人に送信しますし、イージーシークを見ている一般の人にも゛『鉄腕アトム』の初版本の探し物が出た゛と表示しておきます。
 古書店のオヤジさんの頭の中身は、店の在庫についてはリアルタイムで完璧に更新されていますから、゛ああ、それならうちにあるな゛という書店さんは、登録した人に直接電子メールを送って初版本があることを伝えます。何通も違う古書店や個人からメールが来ることもあるでしょう。本の状態も、代金の決済方法もぜんぜん違うわけです。その中から自分が納得できる値段や条件の相手を選んで直接取引をしていただきます。
 取引が成立したら当社の方に成約情報を送っていただきます。当社は売り主である古書店の方から一定の仲介手数料をいただくわけです。われわれは物を売っているわけではなく、ネット上でデータを仲介しているだけなんです。
 しかも古書店のオヤジさんは、"『鉄腕アトム』を欲しがっているお客さんなら、永井豪のこの作品は欲しがっているに違いない"と推測するでしょう。そうした電子メールも追加して送ってくるわけです。

 在庫を網羅したデータベースというものはあまりあてにならないんですよ。20万冊程度の古本の情報を蓄積した在庫データベースがあるにはあるのですが、そこにアクセスして『鉄腕アトム』を探しても、一対一のマッチングしかできないから、゛初版本はないけど二刷なら在庫がある゛というケースでは対応できません。新しい情報の更新も不完全ですしね。でもイージーシークに登録すれば、個々の店に問い合わせなくてすむし、そういう類似本の情報も含めて50軒の古書店のオヤジさんが見つかるまで探し続けてくれるわけです。もう神田の古書街を足を棒にして歩き回る必要はありませんよ。

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