岡本呻也著 文藝春秋刊 

理想の会社なんてない

 次に登場するのは、ネットエイジ社長の西川潔である。彼は「週刊ネットエイジ」というメールマガジンを4000部発行しており、このインフラ上でビットバレーの概念が爆発的に拡がった。
 42歳程度であるが、本人は「年で事業を判断されたくない」という韜晦趣味で、年齢を秘している。スタイルにこだわる性格のようだ。
 彼は起業家意識の固まってできたような男である。東京大学教養学部卒業後、KDDに入社。大企業の仕事にあきたらず、外資系コンサルタント会社や他の企業を渡り歩き、その合間に外国放浪も経験している。とにかくお仕着せの仕事はつまらないらしい。「理想の会社なんてない。だから自分で起業して、熱意の持てる仕事を楽しくやるしかない」という信念の持ち主。彼のオフィスには、
 Work hard,
 Have fun,
 Make history
 という、アマゾン・ドットコムの創業者ジェフリー・ベゾスの言葉が掲出してあった。彼らは仕事の中に悦楽を見出し、成功を手にするのである。楽しくない仕事などやっていても無駄であろう。
 西川は95年頃から妻と2人でパソコンを教える学生家庭教師を派遣するというビジネスを「ホライズン」という名で始めていた。学生はニフティサーブ(パソコン通信ネット)の掲示板に書き込んだり、秋葉原の街頭でチラシを配るなどして、優秀な者たちを最盛期には500人も集めることができた。彼らを使ってパソコン家庭教師以外にも、オフィスのパソコン100台の引っ越しと再設置を請け負ったりしていた。
 その中に一橋大学の小椋一宏がいた。彼は彼で、大学内のホームページで「会社をやろう」と仲間を集める告知をして、それがニフティのフォーラムに繋がって、西川と知り合うことができたわけだ。小椋はホライズンを引き継いで、現在ではホライズン・デジタル・エンタープライズ(リナックスという新しいパソコン基本ソフトを使ったインターネットサーバーや管理ソフトなどを制作している企業)を経営している。

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