3月27日 ウイーン2





 楽友協会は、2年前に続いてまだ工事をしていて、どうやら3階に新しい小さなホールを作っているらしい。お盛んなことである。とっとと自分の席に着く。1階席のやや後ろ側である。
 最初の演目は、メシアンが作曲したキリストの昇天についての曲らしい。以前メシアンの家に寄宿していたという日本人のピアニストに会ったことがあるが、冗談好きの愉快なおじさんだったらしい。非常に変わった曲で、1楽章は管楽器だけ、終楽章は弦楽器だけという曲だ。いかにも、いたずら好きのおじさんが作曲した宗教曲である。ホールの響きの良さ、柔らかい金管の音色を十分に堪能させてもらった。休憩時間に人が外に出ようとするのだが、ここのホールは出口が少ないし、ロビーのスペースもあまりないので、休憩時間中も椅子に座ってネオバロックのえらい豪華な内装を見ながら過ごす。

楽友協会楽友協会 メインプログラムは、ブルックナーの6番という、「宗教音楽っぽいのを2つ並べてみました」というプログラムである。しかしブルックナーの6番は私の好きな曲だ。この曲が好きだというと変な顔をされることが多いが。
 テンポが非常に遅くて、特に第二楽章は演奏が止まりそうになるほど遅く感じた。第一楽章では音がすべてつながっているように聞こえる。私が知らない、原点版に近いバージョンの楽譜で演奏しているに違いない。指揮はフランツ・ウェルザー=メスト。こんな演奏でウケるのかなと思ったら、意外にも聴衆はお気に召したようだった。とはいえオーケストラの響きと広がりの素晴らしさは、絶対に生でないと体験できないものだ特に少しミスしたけれど、ホルンがよかった。実に素晴らしい。

 市電でリングを半周して、市役所前でやっていた露店をのぞき込み、向かいのブルク劇場の裏のレストランで飯を食べる。ここのグーラシュにはソーセージが浮いている。辛くてうまい。ワインを飲みながら、ウィンナシュニッツェルを食べる。

 ホテルにとって返して荷物を受け取り、西駅で予約が必要ないことを確認して、20時28分発EN262オリエントエクスプレスという、名前だけは立派なパリ行きの列車に乗り込む。生まれてはじめてミュンヘンに向かうのだ。なぜかは土曜だけは、18時30分のミュンヘン行きの列車がなく、しかも中央駅でなく東駅に着くのである。ミュンヘンも大きな建設機械の見本市をやっていて、ホテルが満杯である。そこで私は日本から中央駅近くのホテルをとっている。まるで狙ったような話だが、文句を言ってもしかたがない。しかも、11時57分に到着するザルツブルクまでは1等車があるのだが、そこで切り離されるので仕方なく2等車に移る。うとうと眠ることもできない。
 夜中の1時30分、ミュンヘン東駅に着く。駅は、この夜中でも若者であふれていた。土曜日だからだろうか。タクシーをさっと拾って中央駅へ向かう。12ユーロ。
タクシーから見た夜の街の印象だが、ミュンヘンは戦争で破壊された後、何も考えずに現代的に再建された街のようだ。しかし道筋は昔のままなので、曲がりくねった道に面して建物が建っている。都市計画の限界を感じさせる街である。リングの周囲を、新古典主義建築や、ネオゴシックや、ルネサンス様式や、バロック建築で固めたウィーンとは格段の差を感じさせる。
 ホテルへ行くと、部屋がないとかふざけたことを言っているので、ドイツ語がさっぱりわからない振りをして(実際に判らないのだが)、予約の紙を見せ、部屋を無理矢理用意させる。レストランでしばしまつ。ホテルの人は朝食の用意をしていて、すでにコーヒーのいい匂いがしていた。
 とにかくミュンヘンに着いたということで、寝る。

b.pnga.png

これはあくまでも個人的な備忘のための旅行記であり、ここに書かれている情報を利用したためにどのような不都合があったとしても、当方は一切関知しませんので悪しからず。