3月23日 ドレスデン




 9時10分ホテルをチェックアウト。タクシーでアレクサンダー・オスト駅に。9時49分発ウィーン行きに乗る。しばらく走ったら故障らしく20分ほど止まる。駅員がトレンチを持ってホームを走り回っている。
 しばらくすると走り始める。窓の外にはメルクリンの鉄道模型のような、よく整備された小さな家や工場、学校などが通り過ぎる。
 ドレスデンに着いて、日本でネットで予約していたホテルにチェックインする。駅からまっすぐ伸びたやたら幅のある歩行者モールに面した近代的なホテルである。この町は第二次大戦中の1945年2月13日、イギリス軍による空爆で徹底的に爆撃されたので、古い町並みが残っていない。カート・ヴォネガットの「スロータハウス5」にあるとおりである。
 このホテルにしたのは、今晩のオペラのチケットとセットだったからだ。オペラのチケットによってホテルが決まってしまう。しかもシティバンクから送金しなければならなかったので、送金代が高くついた。ホテルで今夜の「ラ・ボエーム」のチケットを受け取る。

 ホテルからインターネットに接続してメールを読み、歩行者モールをまっすぐ歩いて、旧市街の方に向かう。まず見えてくる古く重苦しい姿の教会が聖十字架教会である。1766年から1792年に建てられたバロック教会だ。ここは聖十字架合唱団で有名だ。ペーター・シュライヤーもここにいたそうだ。「水曜日の5時からコンサートがある」と書いてある。
 そこからしばらく歩くと、エルベ川に到達する。川に面してテアータープラッツを中心に、華麗な装飾のバロック建築がいくつか並んでいる。レジデンス城と、カトリック旧宮廷教会と、ツヴィンガー宮殿とドレスデン歌劇場、すなわちゼンパーオーパーである。

レジデンツ城レジデンツ城 ややすすけた印象のあるこれらのバロック建築群のてっぺんには、金ピカの天使像や王冠が載っている。この町は、「エルベ河畔のフィレンツェ」とも言われたそうだが、徹底的な無差別爆撃によるダメージから回復するため、この町の人々は多くの努力を払ったのだろう。レジデンツ城は、現在も修復が続けられている。

 レジデンツ城の城壁にある、マイセンのタイル2万5千枚で作られたという、100mにわたる壁画「君主の行列」を見る。歴代のザクセン選帝侯が馬に乗って行進している。そこからエルベ川沿いのテラスを通って再建中のフラウエン教会に行く。ここは有名なプロテスタント教会だったが、空襲で完全に瓦礫になっていた。1994年から再建が始まり、ほぼ完成に近づいている。しかし街の多くの建物と同様、オリジナルの部分と、そうでない部分のまだら模様の壁面が痛々しい。オリジナルと、後世の修復による部分を明確にしておくため、わざと色をそろえずに再建するのである。この工事は、「巨大なジグソーパズル」と呼ばれている。

フラウエン教会(下はドレスデンの町並みを描いた絵)フラウエン教会(下はドレスデンの町並みを描いた絵)フラウエン教会(右はドレスデンの町並みを描いた絵) どうやらガイドツアーがあるらしいので、しばらく待つ。午後3時に扉が開いて、ドイツ人の観光客たちが教会の地下に吸い込まれていく。そこでなんだか、じいさんがしゃべってオリエンテーションをやっているようだ。しかしドイツ語なのでさっぱりわからない。教会修復のビデオを見せられる。
 この教会は集中会堂式である。古いドレスデンの街並みを描いた絵には、必ずこの教会が描かれている。バロック建築として非常に美しいドームをもつ教会であり、まさにドレスデンのシンボルのような教会である。どうやらドイツ中からの浄財を集めて再建しているらしいので、完成の暁にはドレスデン市民はこぞって祝うのだろうなと思う。

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これはあくまでも個人的な備忘のための旅行記であり、ここに書かれている情報を利用したためにどのような不都合があったとしても、当方は一切関知しませんので悪しからず。