3月18日 ラヴェンナ2


 イマイチ私には偉大さの判らないダンテの墓を見て、ネオニアーノ洗礼堂へ。
 ここは最も初期の洗礼堂だろう。天井にはヨハネが洗礼を行っているモザイクが、天井いっぱいに描かれている。十二使途が並ぶ様は迫力のあるものだ。このドームの真下中央に大きな洗礼台がある。洗礼堂とはそもそも、洗礼を行う場所だったのだということを思い起こさせるものである。
 そのとなりに18世紀のバロック式のドゥオーモがあって、この中に大司教博物館がある。この博物館の目玉は、6世紀に作られた象牙製の司教座の椅子である。聖人のレリーフなど技工を凝らしているもので、とても座りにくそうだ。

聖アポッリナーレ・ヌオーヴァ教会聖アポッリナーレ・ヌオーヴァ教会 次の見物は、駅近くの、聖アポッリナーレ・ヌオーヴァ教会だ。まず教会に附設してあるカフェテリアで食事をとる。白ワインがうまい。腹ごしらえして教会に入る。この教会は490年に起工した三廊式のバシリカである。両側の身廊には26人の殉教者、22人の聖女たちを描いた壮麗なモザイク画がある。彼らは左右に分かれて内陣に向けて行進している。聖女たちを先導するのは東方3博士。この時代にすでに、バルサザールは老人として描き分けられている。
 ラヴェンナは古代ローマの重要な軍港であったが、港を描いた部分は修復中で見られなかった。この教会の内陣は後世に作られたものなので価値がないようだ。教会の内部にはモーツアルトが流されていた。

 午後1時30分、テオドリック帝廟へ向かう。西ローマ帝国を滅ぼしたオドアケルを倒してイタリアの支配者となった東ゴート国王の墓である。廟を囲む芝生1面に小さな花が咲いていて、本当に気持ちのいい日だ。鳥のさえずりを聞きつつ、廟に近づく。何か廟の足元にアプローチする道をつけるための工事をしていて歩きにくい。
 気温はかなり上がっているだろう。まさにプリマヴェーラ。廟の天井は直径11メートルの1枚岩なのだそうだ。この建物自体は装飾もないので面白味に欠ける建物である。

 そこから駅の裏を抜けようと思ってと走っていると、海が見える。アドリア海だ。「ここから5キロメートルくらい自転車で走れば聖アポッリナーレ・イン・クラッセ教会だ」と町の観光案内所で教わった。「5キロぐらいたいしたことはないだろう」と思ったら、この大まちがいだった。バスにした方がよかった。おそらく上り坂だったのだろう。

聖アポッリナーレ・イン・クラッセ教会聖アポッリナーレ・イン・クラッセ教会 聖アポッリナーレ・イン・クラッセ教会の前には、なぜかアウグストゥスの銅像が建っている。教会はやはり基本的なバシリカ形式で、古代ローマの頃は港から近かったから港教会という名前になったのだろうが、今はここから海を見渡すことはできない。この教会には内陣に見事なモザイクがある。主題はキリストの変容で、上にモーゼとヨハネ、下に書かれている2匹の羊がペテロ、パウロ。その下の10匹が他の十二使徒なのだろう。とにかく羊がかわいい。親しみが持てるモザイク画だ。

 今日のような小鳥のさえずりと、草花に囲まれて、1500年もこの教会は立ち続けているのだろう。なんと牧歌的なことか。そしてまたなんていい日なんだろう。また自転車をこいで自転車を返しホテルに戻り、荷物を受け取って15時35分発ボローニャ行きに乗り込む。
 ラヴェンナは5世紀には東ゴート王国の首都だった。もちろん1500年後の今は往時をしのぶよすがはない。ただ初期の教会が当時の文化的水準の高さを伝えてくれる。ここは本当にいい町だったと思う。また来てもよい。

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これはあくまでも個人的な備忘のための旅行記であり、ここに書かれている情報を利用したためにどのような不都合があったとしても、当方は一切関知しませんので悪しからず。