3月13日 ローマ





 ホテルのレストランで朝飯を食べていると、テレビで「今日の気温は18度」とやっていて、他の観光客たちが歓声をあげている。
 やはりローマは暖かい。

 テルミニのインフォメーションで地図をもらい、自転車を貸してくれる店を教えてもらう。駅から共和国広場の方向に5分ほど歩いたところにあるレンタル店で自転車を借りる。

 そこから5分ほどのサン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ教会に向かうが、教会が開くのは9時かららしく、まだ閉まっている。このクアトロ・フォンターネの十字路には、文字通り4つの噴水が置かれている。ここを交点にして、道は東西南北にまっすぐ伸びており、素晴らしいパースを作っている。はるか先には計画的に置かれたオベリスクを遠望することができる。これは時の法王シスト5世(天正遣欧少年使節が戴冠式に参列した)の命により計画された都市計画で、無秩序だった都市に道路を通すことで秩序を持ち込もうとした、ルネサンス的な試みである。

 このすぐそばに、この教会を建てたボロミーニのライバルであり、ローマバロックの最大の巨匠であるベルニーニが作ったサンタンドレア・イル・クィリナーレ教会がある。どちらの教会も1度来たことがあるのだが、とりあえずそちらに向かってみる。

 教会の前に、自転車を止めるのにちょうどいい格子のはまった窓側あったのでそこに自転車を括りつけようとすると、警官に怒られる。なんと私はクイリナーレ宮大統領官邸に自転車をくくりつけようとしていたわけで、それは怒られるわな。
 クイリナーレ教会は、バロック教会のひとつの特徴である楕円プランの会堂形式の教会である。収容できる人数を増やすために、会堂は主軸を縦に取るのが普通だが、ここは楕円の軸が横に広がっているという特徴がある。ファサードは、とってもバロックだ。

サンタ・サビーナ教会 サンタ・サビーナ教会 サンタ・サビーナ教会  そこから、ベネチア広場に下っていき、エマヌエーレ2世記念会堂の前を通る。イタリアの国旗が掲げられているが、半旗である。スペインの列車爆破テロの犠牲者を悼んでいるのであろう。
 そこから真実の口があるサンタマリア・コスメディン教会の前を素通りして、ティベレ河畔にある、ローマの7つの丘のひとつ、アヴァンティーノの丘に自転車でえっちらおっちら登っていく。この丘の上は、たいそうな高級住宅街である。土曜日の朝なので、みんな遊びに行こうとしている様子だ。

 なかなか場所がわからないので、何人かに聞きながらやっとサンタ・サビーナ教会にたどり着く。ここは432年に建てられた、典型的な初期キリスト教建築がキチンと修復されたもので、バシリカ形式の原点を見ることができる。

 朝のすがすがしい空気の中、凛として建つ教会の、素朴なイオニア式オーダーが支える身廊の中に入ってみると、身廊軒壁の窓から注ぎ込む明るい日差しに、なんともいえず心が洗われるような気がする。身廊と2つの側廊からなる、まったく単純なバシリカである。長い身廊から司教席に向かう軸線が、キリスト教の教義である神による救済を空間化していることが実感される。

 教会のすぐ横にある公園の展望台からは、ローマの町並み全体を見下ろすことができる。サンピエトロ寺院をはじめとするいくつかのバロックのドームの下に、ローマ帝国以来の歴史を折り畳んだ永遠の都が広がっている。スカイラインの中で、エマヌエーレ2世記念会堂の上にゴテゴテとのせられた彫刻がうざったいが、これもまたローマの歴史の一部なのだろう。

b.pnga.png

これはあくまでも個人的な備忘のための旅行記であり、ここに書かれている情報を利用したためにどのような不都合があったとしても、当方は一切関知しませんので悪しからず。