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「人間力」をめぐる冒険

そこには、深い利益共有がある


インタビュアー 飯坂彰啓
答える人    岡本呻也

飯坂 どうかなあ、そうじゃなくて、「自分の持っているリソースをどうせ与えるのなら、他のセールスマンでなくてコイツにしよう」と思うくらいじゃないんですか?

岡本 ここが面白いところで、お客さんから純粋に助けられたという話は数多くありますよね。
 前回も引き合いに出した昭和シェル石油の新美会長が日経新聞に話していたケースです。駆け出し営業マンの時に担当の石油販売店のおじさんに石油を売っていたのですが、実はそれは逆ざやになっていて、その販売店は売れば売るほど赤字になっていた。だけど彼はそれに助けられて成績を上げることができたということがあったらしいですよ。
 そういう話はふしぎと、出世する人に多いものです。なぜなら、若くてもお客さんとの間で心を通じ合わせるスキルを持っている人だからそれができているわけで、そういう人が出世するのは当然のことですよ。
 またそれは、お客さんがバカだという話じゃあないんです。たとえば骨董屋の話がありますよね。いい骨董品を買いたいと思ったら、あまりよくない骨董や、下手をしたらニセ物も買っておいてやらないと、骨董屋は本当に値打ちのあるものは持ってこないわけです。

飯坂 骨董屋の側から見ると、本物の数があまりにも少ないので、偽物も扱わないと商売として成り立つほどの売上規模にならないということがあるからね。だから骨董の世界では、ニセ物を買わずに本物ばかり買っている人はただ乗りをしていることになるんです。そういうこともわかった上での「目利き」なんでしょうね。

岡本 今度は売り手の側から見れば、お客さんと心が通じ合っている関係の人ならば、「お客さんからお代はいただきますが、その分ほかで稼いでいただきたい」と心から思っていると思います。自分が売った商品やサービスを活用してもらうことで、お客さんがもっと利益を上げてもらえるようになればうれしいと思えるということです。

飯坂 自分から買ってもらうことによって、相手の組織の中で担当の人が評価されればうれしいなとは思うだろうね。

岡本 僕は、心が通じ合っている関係ではもっとポジティブな、深い利益共有の関係があるのではないかと思っています。つまるところこれは、お互いがパートナーであるという関係なのではないかということです。
 ある意味譲り合いができて、でもこの関係をずっと続けていきたいよねとお互いが思っている、それが心の通じ合いだと思うんです。
 そういう状態になれなければ、お客さんの心を動かすのはなかなか難しいのではないでしょうか。そうでない状態で、リモートコントロールでお客さんの心を動かすのは、ふつうの競争環境下ではまず不可能ですよ。

飯坂 結局、相手の立場を慮って、その商取引をやることによる直接の効用や、相手の組織のリアクションを慮って、コストなど相手が気にすることについて細かくソリューションを与えていかなければビジネスは成り立たないわけです。
 しっかりしたコンセプトを建てた上に、ディテールを積み重ねていかなければならない。

岡本 たいへんな話ですよ、ビジネスというのは。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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