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  「人間力」をめぐる冒険

  トップセールスはお客さまの
  夢をかなえる







    インタビュアー 飯坂彰啓
    答える人    岡本呻也

岡本 本の執筆のためにお目にかかった。住宅メーカーS社の世田谷のセールスマンのケースですが、お客さんと最初に会ったときに「どのくらい予算がおありですか?」と聞いてみると、お客さんはだいたい平均して「3000万円です」と答えるらしいんです。 ところがいろいろな提案をして設計を固めていくと、最終的には6000万円になっちゃうんだそうです。
 これができれば、儲かりますよ。そこに人間力があると、私は言っているわけです。
 それをね、お客さんの言うままに、「そうですかじゃあ3000万円の家にしましょう」と言ってしまったら、3000万円の商売にしかならないじゃないですか。お客さんだってそれを望んでいるわけじゃあないし。

飯坂 まあねぇ、S社の住宅は日本一の品質と言われてるくらいなので、営業マンと話してみて仕様を上げていくような余裕のある客じゃなきゃ、S社の営業マンとは話はしないよ(笑)。

岡本 でもね、お客さんのほうも目が肥えていて、そのS社の中でも使える営業マンを探して展示場を何カ所も回る人がいるらしいですよ。
  それでお客さんのお眼鏡にかなって、お客さんの潜在ニーズを発見して、その解決方法を提案して、お客さんに「あっ、これでいいんじゃないか。これが欲しかったんだよ」と言ってもらえたら、多少高くても買ってもらえるんです。
 これって、ぼくだって編集者としてやってきたことなんですよ。読者に対して、筆者に対して。どんな仕事でも、人間を相手にやっている仕事である限り、これは普遍の真理ですよ!

飯坂 これを買えばどうなるかということを、うまく相手の望む形で与えてあげる、夢を実現してあげるということなんだろうね。気分よく無駄遣いをさせてあげるというか。
 家を建てるのは、自分のためではなくて、家族のために建てるわけだし。

岡本 もっと言うならね、ペットも重要な家族の一員なんです。「いぬのきもち」、「ねこのきもち」なんて雑誌が売れてるみたいですからね。バウリンガルなんてのもありましたしね。

飯坂 日本では、15歳以下の子供の人口よりも犬の数の方が多いらしいですからね。税金を取れよという話だな(笑)。

岡本 そういう「できる営業マン」は、家作りのプロセスを通して、お客さんの夢をかなえてあげようとしているわけです。だから犬や猫のことまで考えて設計をする。それがお客さんのハートを撃ち抜くんです。
 そのためには、「お客さんの気持ちなんか、わかったことじゃねーよ」と言っていたんじゃできませんよね。そういう人は、この営業マンのレベルには絶対到達することができないわけです。

飯坂 お客さんの夢だけじゃなくて、コスト意識もあるし、世間体もあるし、それらをすべて考えてあげないといけないんですね。
 動物の場合は、周囲の事象をセンサーで感知して、それをダイレクトに処理するだけなんだけれど、人間の場合は五感で感じたものを脳の中で再構築して、それを世界のプロキシとして、それを対象にして行動するわけですから。だから相手の気持ちというのは、常に自分の中に構築したプロキシの一部であるわけです。

岡本 認識論的な話ですね。見えている世界と、ほんとの世界は違うと。カントが言うところの「物自体は知覚できない」ということですな。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

「人間力」エピソード101本

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