HOME > 人間力とは、「大人になること」 > 人間力をめぐる 05

04.JPG

「人間力」をめぐる冒険

なぜ営業マンは「お客さまの心」を見失うのか







インタビュアー 飯坂彰啓
答える人    岡本呻也

飯坂 ノルマなんてものは、本来はライン管理職が経営層に対して負う責任です。もし仮に到底達成できないノルマを、ライン管理職がアグリーしたとしたら、その管理職は無能です。それを見抜けない経営層は経営リソースを無駄遣いすることにより、経営悪化という結果を導くことになります。昔の中国の「大躍進」政策に似たようなことになっている会社は結構あると思いますよ。
 そもそも営業マンの場合は、ただひたすら上の言うことに従順に動けば、ものが売れるというわけではないですよね。
 お客さんのニーズを見極めて、お客さんとの間に生じる不適合を現場で解決するのが営業の職務なんだから。自分の売る商品や、法制度、お客さんの置かれた環境などのいろいろな制約条件をすべて頭の中に入れたうえで、自分の商品の収益を最大化させることにあるわけです。
 お客さんの言う通りに動いていればいいのであれば、営業なんか必要ないわけですから。

岡本 そう、営業マンがお客さんと最初に会った時点では、必ず利益相反があるわけです。それをどうやってWin-Winの関係に持っていけるかが、営業マンがつけるべき付加価値なわけですから。
 だけど、たいていの営業マンは真面目だし、自分が善たらんとして、「与えられたノルマはとにかく達成しなきゃ」と考えすぎちゃっていると思います。その結果として、ノルマ達成にばかり気が向いてしまって、お客さんのニーズに合わせるということが忘れられているのが、営業マンの人間力についての根本問題なんですよ。
 営業マンにインタビューをしてみると、「私はノルマをこなすのが精いっぱいで、お客さんの気持ちなんかは正直考えてなんかいられないんですよ」と、はっきり言う人がいますからね。ほんとのところ言いますとね、その人の話を聞いていて、わたしは目の前が真っ暗になりましたよ・・・。
 営業マンの研修をやっている研修部門の人によく言われるのは、「昔はうちの会社にも人間力はあったんですよ。だけど最近はなくなってきて困っているんです」と相談されるわけですが、その原因は明らかであって、お客さんとの心の通じ合いがなくなってきてるんですよ。

飯坂 どういうことなんですかねえ。

岡本 つまり営業マンのために会社が用意しているツールや、教えてもらっているプロセスの通りに仕事をしていれば、ある程度の数字を作ることは、可能なんです。

飯坂 なるほど、とにかく徴兵されてきた人たちを訓練して鉄砲を撃てるようにすることはできているわけですね。

岡本 それが企業なんですよ。そのくらいの組織力は日本の企業文化はちゃんと持っています。だけど問題は、そのレベルでは利益が上がらないんです!

飯坂 まったくですね! そこが問題だ。

岡本 社員の側から見てみると、与えられたことをこなしているだけでは、できる営業マン=ハイパフォーマーにはなれないんですよ。
 つまり、お客さんの気持ちに入っていくことができなければ、高い商品、利益率のよい商品を売ることはできないんです。お客さんのニーズや望みを的確に見抜いて、「これだよオレがほしかったのは」、「そこまでオレのことがわかってもらえたら信頼できる」、「この取引条件ならこっちもたくさん買えるぞ」という提案ができれば、高くても買ってくれるし、量も売れるんです。ただ、なかなかそこまでできる営業マンがいない。

飯坂 高度成長期の大量生産商品のようなコモディティー商品ならともかく、専門分野が高度化し複雑化していく中で、マニュアルだけではちゃんとした仕事をするのは難しくなってきているでしょうね。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

「人間力」エピソード101本

人間力とは、「大人になること」と見つけたり