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「人間力」とは、大人になることと見つけたり

 「己を知り敵を知らば百戦危うからず」
 が正しい







 インタビュアー 飯坂彰啓
 答える人    岡本呻也

人間力の定義 
「人間力」とは、仕事ができる人や、健全な日常生活をおくっている人が持っている、すぐれた社会的能力のこと
=相手の心にはたらきかけて、人を動かす力

飯坂  例えばね、相手のことを慮って、相手のニーズを汲んであげるということは、一時的に自分がコストを払うことになるかもしれないけれど、それはペイするということですよね。ゲーム理論のテーマのひとつであったりもします。

岡本 そこまでわかっていれば、すでに問題はないわけで。

飯坂  そこまで行ってないということは、「相手の言うことにやすやすと従うというのが嫌だ」という人が多いわけですよ。
 そうではなくて、個人的にコストを払うことによって、長期的な利益の極大化を図ることができるということが、「人間力」のひとつなわけで。

岡本 そう考えると、「そんな当たり前のことを忙しいビジネスマンが、何時間も講演を聴いたり、2日間もかけて訓練する必要があるのか」という話になっちゃいますね。
 もっと言うならば、「敵を知り己を知らば百戦危うからず」(孫子「謀攻篇」)なんてことは二千年も前にわかっていることなんですけど、これが実は逆に伝わっている。宋文洲さんに教わったのですが、中国語では、「己知彼知」= 己を知り敵を知らば百戦危うからず、これが正しいんだそうですね。
 少なくとも中国ではそう言われている。
 細かい話ですが、孫子の研究を大成したのはあの曹操なんですよ。彼が『魏武帝註孫子』というのを書いている。この中では「故曰、知彼知己、勝乃不殆」になってるんですけど、中国では後の世に散逸してしまったので原典通りかわかりません。日本では風林火山の「孫子の旗」でもわかるように、孫子研究は盛んだったのですが、その底本になっているのが桜田本、これは『魏武帝註孫子』の流れを汲んでいます。
 どちらが正しいのかは定かではありません。最近孫子のもとの竹簡が発見されたので、研究者は知っているかもしれません。
 問題は、中国では一般的に「己を知れ」が先なのに、日本では「敵を知れ」が先にきていることです。なぜ日本では、「己を知る」ことをおろそかにしているのか。みんな本当に己のことを知っているのか、己の背後にある自分の会社の組織風土や仲間のこと、経営資源について、人はよくわかっていると思い込んでいるからでしょう。だけどホントは分かっちゃいないんですよ。

飯坂  分かっちゃないよね。

岡本 「己を知る」というのはどういうことかというと、まず自分の仕事とは何なのか、仕事の範囲はどこまでなのか、自分がやらなければならないことはどういうことで、やらなくてもいいことは何なのか、これをちゃんと認識しているかどうかですからね。

飯坂  そもそも自分が何かということがわかってませんからねえ。

岡本 そう、そして仕事をするということがどういうことなのかもわかっていないわけです。さっきなぜ入社3年目までの人を対象にしないかという理由はここにあって、入社してすぐの人は自分たちの仕事が何なのかが分かっていないわけですよ。でもこれがスタート地点だから、それがわからないとその先には進めないんですよ。
 ものすごく大切なことがありましてね、それは自分にできないことは「できません」とはっきり言うことですよ。「命じられたことはすべてできなければならない」という思い込みはまちがってます。だって上の人がまちがうことだってあるわけですから。自分が自然にこなせない仕事を振られるのは、なにかがまちがってますよ。その判断ができる人がちゃんと「自立」した人なわけであって。
 自分の仕事をちゃんと分析した上で、業務を遂行する上で能力・資源が欠けているのであれば、それを補うのも能力のうちです。それが「できないものはできないよ」ということであって、それが本来の「己を知る」ということですよ。これは恥でもなんでもない。それを「精神一到何事か成らざらん」と精神主義で解決しようとするから、後になって取り返しのつかないことになるんです。「成らない」ものは、どんなに頑張っても成らないんですから。これは講座の中でも強調している点です。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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