HOME > オープンソース型ビジネスマン生きる道 > “オープンソース型ビジネスマン”の生きる道 8-2 Copy

linuxtitle.jpg

第8回 もうけられなきゃビジネスじゃない

仕事ができなきゃ自分の将来はないと覚悟せよ

8_3.gif

 そこにないのは、「ほかでもない自分自身が仕事を通して付加価値をつけないと、自分の将来はないんだ」という発想ではないでしょうか。そう考えずに、いつまでも「カイシャが自分を守ってくれる」と思い込んでるなんて異常ですよ。

 満員電車に揺られて朝カイシャに来て、ほとんど意味のない仕事を忙しそうにやって、サービス残業もやって赤提灯で飲んで帰る……なんてことを繰り返してる場合ではないですよね。「オレは組織のリーダーの一人なんだから、自分に任されているリソースを使ってもうける責任があるんだ」と考えていただかないと。
 本気でそう思ったら、「仕事をどのように改善していこうか」「もっともうけるためには何をすればいいのか」について真剣に考え始めると思うんです。

 そうすると、「もっとお客さんのニーズを知りたい」とか「社内外のコミュニケーションをよくしよう」と考えるだろうし、合理的な戦略を練って組織の効率をよくしようとするでしょうし、「要らないモノはあっさり捨てて、会社の外に出かけて行って新しいリソースを取ってこなければ」と考え始めるのではないでしょうか?

 そのように各人が意識を変えれば、日本企業はもっともうかるようになるはずだよね。

 いま企業収益は回復していると言われているけれど、それは過去のリストラの寄与が大きな要因で、その他はアメリカの景気回復やアジアへの輸出の伸び、設備投資の増加といった外的・循環的要因に過ぎない。だけど、リストラでひねり出した利益や外部環境に依存する利益はいつまで続くだろうか? それは本質的に企業がもうかる体質に転換したことを意味しないんだから、心細いよね。「こんな利益は、あっという間に吹っ飛んでしまうんじゃないのか」と考えるのが正常だろう。

 しかしねぇ、ある意味、亀田部長たちは、これまでのリストラ局面でも「オレは相当な努力をした」と思ってるだろうよ。なぜなら彼らにとっては、もっとも重要な「人の和」を犠牲にしたわけだから。身を切るような大仕事だっただろうね。
 だけどほんとうは、自分たちの身を切ったわけではないところが問題だ。「リストラが実績になる」と評価方針が変わった瞬間に、できるものからばっさり切り捨てちゃって、しわ寄せはぜんぶ部下に押しつけちゃうんだから。「オレは偉い」という理由で強権発動、それで生産性が下がっても問題は感じない。リストラの目標は一応達成するから、お咎めなし。

 そうじゃなくて、必死になってモノを考えて、戦略を練って自己変革し、効率性を上げて商品に付加価値をつけるようにしなきゃ、今後さらに台頭するアジア諸国に勝つことはますますむずかしくなる、そういう厳しい状況に置かれていることを認識してくれないとねえー。

 プールサイダーおじさんたちは、どんなに説得しても、共同体意識のコクーン(繭)に閉じこもったまま出てきてくれません。「自分だけはプールに漬かって濡れる必要はない」となぜか信じてるんですけど。いったいどうすればいいんだろう?
 それで思い出したんですけれど、小泉さんが首相になったころから言われていた「構造改革」は今どうなってるんでしょうか? 最近あまり聞かなくなったんですけど。民間企業も含めて「改革しなければ」という勢いがどうもなくなっているような気がするんです。ちょっと景気が持ち直してきたせいかな?

 うん、これがまさに共同体のすごいところで、「構造改革」の声はプールサイダーたちに、巧みにからめ取られてしまったようだね。

 ピラミッド組織のトップにいる人たちは、プールで必死で泳いでいる改革派の声がまだ小さいうちは無視したり、「水に落ちた犬」として叩いたりしていたんだけれど、改革のかけ声が無視できないほど大きくなると、今度は改革派の人たちに地位を提供したり、言い分を少しずつ呑んだりして譲歩し始めたんだ。
 「お疲れさん、ちょっと上がってジュースでも飲まないかい」と甘いことを言って自分たちの仲間に引きずり込もうとする。例えばここのところ40代前半で子会社の社長になったり、30代後半の人が役員に抜てきされるような話をよく聞いたと思うけど、それこそまさに共同体における「実権の下降化」(第2回 「カイシャ天皇制」の集団無責任体質参照)だよ。そうやって、改革派を自分たちの内部に取り込んでいくわけだ。
 さらに、プールサイドに座っていてぜんぜん濡れてもいないくせに、「われわれこそ改革派だ」としゃあしゃあと言って、改革の大波のエネルギーを消波ブロックで弱めるようにして沈静化することに成功しつつあるようだね。

 若僧が多少騒いだぐらいでは、日本の伝統的な共同体的統治機構には歯が立たないということですね。
 わたしが入社する前に比べれば、ずいぶんましにはなったんでしょうけれど、肝心な問題は外国企業が作る商品に比べて、価格や機能の面で競争力のある商品をつくることができるか、外国企業より効率的な組織をつくれるかどうかですからね。全然楽観できませんね。

 そのためにビジネスマンは、自分で食べていくだけの付加価値を生み出せなければならないし、アイデアを出し汗をかく必要がある。合理的に物事を判断するビジネスマインドも要求される。われわれはビジネスマインドを常に磨きつづけなければならないし、スピードも上げ続けなければならないわけだ。

 それは、わたしたちにはなんとなくわかってることなんです。わかっていないのは、亀田部長たちなんです。だってもし部長が、「自分が給料に見合った働きをしているかどうか」を考えたら、焦りを感じないとおかしいですよ。

 嫌な結果が出ることが初めから分かっている思考プロセスを辿る人はいないと思うよ。その辺の合理性だけは、プールサイダーたちも持っているのさ!


◆読者アンケート◆
 今回から、マリちゃんのような「新世代のビジネスマンの呼称」を募集します。「化石おじさん」の反対語でおもしろいものがあれば、ぜひ投稿フォームからご投稿ください。わたしはこれまで、化石おじさんのことを「旧日本人」、新しいタイプのビジネスマンを「新日本人」と読んでいるのですが、しっくり来なくて。

 また、この連載についてのご感想もお待ちしております。他のみなさんの参考になるものについては、ご紹介させていただくかもしれません。【募集は終了しました】

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

sign.jpg

人間力とは、「大人になること」と見つけたり