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「相手を認めてあげる」ことが第一歩

 そのように“個無きじじい”たちは、自分たちの共同体意識とジコチューさが合体しているから、身内である他の社員や自分の部下たちは、「自分とまったく同じようなものの考え方をしているだろう」という勝手な思い込みがあるんだよ。

 仲間意識が強いがゆえに、「自分の考えはみんなに共有されている普遍的なものだ」そして「みんなが同じように行動するのが当然だ」という妄想を抱いてるんだね。

 それは感じます。そういう自分の思い込みを、当然の前提として押しつけてくるから、すごく変に思うことがありますね。

 会社に入ってくる人たちは、だいたい同じような学歴の人たちだし、給料もほとんど差がない。男性はスーツでネクタイを締めているし、女性は同じ制服を着ているから、「全員自分と同じような人間だし、価値観も考え方も共有しているんだ」と錯覚してるのかもしれませんね。でもそれっておかしいなぁ。
 このお神輿(みこし)経営の全体主義的組織では、「人間は、一人ひとり違う存在であり、一人ひとりが違う心と考え方を持っているんだ」という意識がすごく乏しいんだよ。

 社長がよく年頭訓辞で、「全社員、打って一丸となって」なんて言ってるけど、それはすごい幻想だよね。「一丸となっている」状態は、個々人が自分のアイディアを殺して機械的に動いている状態なんだから、かえってヤバイと思わなきゃいけないのにね。そう考えないということは、やっぱり「仲間は自分と同じ価値観を持っているはずだ、少なくともそう思い込みたい」ということだよ。

 だからその逆に、“個無きじじい”たちは「自分とは違う考えを持った相手を、きちんと理詰めで説得しなければならない」というコミュニケーションの必要性を感じないんだな。しかも偉くなればなるほど、権限が大きくなることもあってジコチューに振る舞うようになってしまうわけだ。

 それはよく分かります。そして、そういう傾向は中堅社員や若い人の中にも少しずつ芽生えていて、職場のあらゆるところで起こっているコミュニケーション不全が、また業績の足を引っ張っているように思うんです。

 しかも、「みんな同じような考え方をしているだろう」という思い込みがあるから、「コミュニケーション不全はたいへんな問題なんだ」という認識がないですよね。だから問題がちっとも改善されず、いつまでたっても同じ失敗を繰り返している。
 だけど、日本企業がピラミッド社会のタコツボ組織の中に安住していられる時代はもう終わったと思うね。コスト構造が世界一高くなったし、海外の有力企業は特化戦略をとって競争力を強めている。激変する環境の中で、これまで自己充足ができていたタコツボ組織の巨大企業でも、さすがにもう自社内だけの資源では顧客のニーズを満たすことができなくなっているだろう。だから外部の企業と手を組まざるを得ない。

 ということは、コミュニケーション能力が高くないと致命的だということですね。

 そう。そこで「個人が、外部の未知の相手とコミュニケートするときに必要なものは何か」と考えてみると、いくつかあると思うんだよ。

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  たとえば「お互いの間に共通するルールは何か」を模索して決めていく能力。今までだったら、「オレがこう言ってるんだから、お前はオレの言うことを聞けばいいんだ」と自分の都合を押しつけてすんでいたのが、これからはそんなことをしていては提携先に逃げられてしまうから、相手の意見も汲み取りながら、自分も妥協して落としどころを探るしかない。そこで自制心という、これまでのタコツボ社会では要らなかった能力が必要になってくるわけだ。

 つまり、「相手を認めてあげる」ということがコミュニケーションの第一歩なんだ。相手の立場や利益を認めながら、同時に自分の欲しいものも取る必要がある。

 そのためには「相手が欲しいものは何なのか」を先回りして把握し、交渉材料にするという観察力や情報収集力も大切だな。それプラス、自分をうまく表現して相手を説得するプレゼンテーション能力もいるわけで、これは“個無きじじい”たちにとっては大変なことだよ。

 断言できますけど、相手にうまく働きかけて、お互いのメリットになるような落としどころを探るなんて能力は、亀田部長は持っていないと思います。そんな細かい神経ないですもん。
 だけどそれは、すごく大切な能力ですよね。

 ありきたりな言葉だけど、それができる人は「人間力」がある人だと思うよ。





人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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