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 連載も折り返し点にさしかかりましたが、あえてここまで説明してこなかったことがあります。それはこの連載は世代論、特に団塊世代の攻撃を目的としているのではないということです。

○化石おじさんの定義が記事の内容の通りであれば、化石体質は何もおじさんのものではありません。結構多数の人が、入社3年以内に化石おじさん、おばさんになっています。(年齢不詳女性 一般企業、SE)

 すっ、鋭いっ!! まさにそーいうことです。「化石おじさん」という言い方が誤解を多々招いているようで、お詫び申し上げます。化石化には、実は性別も年齢も無関係なのです。

 そしてわたしは、カイシャにおける化石化人口の年代別比率は、一般的にこのようになっていると思います。

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 サミュエル・ウルマンも言っているではないですか、
「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたを言う。青春とは臆病さを退ける勇気、安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の青年より60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる」(『「青春」という名の詩―幻の詩人サムエル・ウルマン』より抜粋)と。

 そしてここが大切な点ですが、“化石化比率”の低い会社、意思決定者が化石化していない会社が、今後の企業間競争を勝ち残るであろうということです。それは、トップに優秀な人材をいただいた企業がV字回復しているという事実に如実に現れているでしょう。

 これまでは、日本のカイシャの病理の構造的要因をじっくりと説明してきました。ここからは、こうした環境下で勝ち残り続ける人材にはどのような資質が求められているのか、求められている能力や持つべき価値観について考察して行きたいと思います。

 今回は、コミュニケーションについて取り上げましょう。

○私も米国で大学を卒業し、その後は米国内、帰国してからは外資系企業で働いてきました。一昨年から日本企業に勤めていますが、このコラムのマリさんのように分からないことだらけです。ある時、「どうしてこういう風にするのですか?」と質問をしたことがありますが、暗に「そんなことは聞くまでもないこと」との答えしか返ってきませんでした。そんなことを明確に答えさせないでくれ、といった感じでした。これは男がやることとか、こっちは女とか、表向きは公明正大なのに、実際はどこにも書かれていない「きまり」が、厳然とゆるぎなく存在します。しかも当人たちは、それに気がついておらず、疑問に思うことすらないのです。まったく不可解な世界だと思います。(30代女性 通信、職種無記入)

 「暗黙知」(tacit knowledge)です。しかも、やっている本人たちは、自分たちの特殊性に気がついていませんし、自省する契機もありません。
 ここに欠けているのはコミュニケーションです。そして日本のカイシャでは、コミュニケーション不全によって業績を決定的に左右するほどの膨大なロスが生じているのです。
 そもそも「オレオレ詐欺」が成り立つのは、家族とすら日常的にちゃんとしたコミュニケーションをしていない証拠ですよね!

●今回の「化石体質のおじさんたちの呼称」
こなきじじい(個無きじじい) (「20代女性 製造業、技術」さんの作品)

■登場人物
○佐々木マネージャー
35歳。脂の乗りきったバリバリ中堅社員。経営幹部の無能に悩まされている。
○マリちゃん
若手女子社員24歳。帰国子女。元気で過激なやる気ウーマン。
○亀田部長
登場しないけどさんざん陰口をたたかれる損な役回り。

「ウチの会社」という心理

 佐々木マネージャー、遊びに来ましたぁ~。

 またー、油を売ってていいのかい? 亀田部長に怒られるぞ。

 なんですか? 油なんか売ってませんよ。大丈夫で~す。

 部内での申し送りがなくて商品が切れたみたいで、お客さんが怒っちゃったので、亀田部長が謝りに行ってて留守なんです。みんないつもわたしのことを「帰国子女は漢字と阿吽(あ・うん)の空気が読めない」とバカにしているのに、今日は朝から大騒ぎですよ。えへへへ。

 鬼の居ぬ間の洗濯ってやつだな。と言っても通じないか……。

 佐々木マネージャーは難解な言葉を知ってますねえ。
 でもなぜ、仲間意識が強いはずのカイシャの中で、こんなコミュニケーション不全が起きるんでしょうか?

 それは、双方向のコミュニケーションの訓練をしていないからだよ。カイシャでは上意下達の一方通行コミュニケーションが基本だからね。
 それは上司の方が偉くて、偉い人は常に正しいわけであって、だから上司の言うことに絶対服従してれば問題ないからだよ。

 亀田部長はこう言ってたぜ。「上司が『カラスは白い』と言ったら、カラスは白いんだ。オレも若いころは親分の言うことなら、間違っていようが正しかろうが子分として黙って従ったんだから、部下がオレの言うことを聞くのはあたりまえだ」と威張ってたよ。

 なんかひどいですねえ。それってよく考えたら、単なるジコチューじゃないですか。「目的に対して正しいことかどうか」を考えずに、「オレの立場を通すか通さないか、認めるか認めないか」で物事を判断しようとしてるんですから。

 亀田部長たちは、ことあるごとに「最近の若いモンはジコチュー世代だから、自分のことしか考えていなくて困ったもんだよ」とバカにしていますけど、そんなんじゃあ自分たちの方がよっぽどジコチューだと思いますよ。

 「エライ」って言いますけど、個人の人格として優れていて尊敬に値するわけではなくて、ただ長くカイシャにいるから年功序列、エスカレーターで偉い地位に上がっていっただけで、組織の権威を借りて「オレは偉いんだ」と言ってるだけでしょ!

 そうだよ。「先生」というのは「相手より先に生まれた」だけでしかないのに、日本ではやたら偉いことになってるんだ。

 彼らの意識の中では、個人としての自分と組織の権威が合体してしまっているからね。個人としての自分が組織から未分化なわけ。

 例えば、日経平均株価が7000円台に落ち込んだときに、「日本にはまだまだ底力があるからぜんぜん大丈夫だ。アニメや携帯電話を見ろ。日本人にはこんなものが作れるんだ。我々はすごいんだ、だから構造改革なんかする必要がないんだ」というわけの分からない理屈を振り回して威張っていた政治家や評論家のおじさんたちがいて、今も相変わらず健在だろ。

 うちの会社でも、亀田部長なんかはそういう強気の人たちの尻馬に乗って、「当社には他社にないのれんの重みや独自技術がある。お客はうちの看板を信用している。だからうろたえることはないんだ。軽挙妄動して社内を混乱させるのはまずい!」と言って、ぼくたち社内の若手有志が必死で練り上げた改革議論をつぶしてしまったんだ。

 そんなことがあったんですか!

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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人間力とは、「大人になること」と見つけたり