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マーケット否定・低生産性・そしてユデガエルに

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 タコツボの中でぬくぬくとしているビジネスマンは、例外なくまちがいなくボケちゃうんだよ。

 どうしてかというと、大企業にいる人は系列関係の中だけで自己充足できる体制を作っているので、外の世界の常識と無縁で、価値観が偏狭になる。刺激がないから、アイデアも湧かない。何か必要なものがあれば部下に、「なんとかしておけ」と言うだけで問題はすべて解決されるし、その部下は「子会社に問題解決を押しつければはなんとかなるだろう」と考えている。

 偉くなって傲慢になってくると、指示はもっとかんたんになるね。
 「お前、分かってるんだろうな」。これだけだよ。

 何それ? ぜんぜん分かんない~。「ちゃんと説明しろ」って感じですね。

 ひどいよね。ヤクザが恐喝罪になるのを避けるために、決して自分からは金銭を要求せず、相手から自発的にカネをさし出すように誘導するのと変わらない、相手の人格を否定した脅迫的態度だな。

 ビジネスの競争に勝つためには、資本効率と労働生産性を上げる必要があると思うけど、タコツボ組織のトップにいる人たちはそういったことをシビアに考えずにいられるということ。しかも中央集権型の組織だから、彼らは非常に大きな資源配分権を持っているにもかかわらず、公益を考えずに自分の都合だけで適当に資源配分をしてしまうから、ムダがいっぱい出てしまうという問題もある。

 タコツボ組織にムダが多いって、どーいうことですか?

 国家財政のことを考えたら分かるだろ。バブル以後、「誰かが必要としている」という漠然とした理由でつくられた橋や公共施設で日本中があふれている。全国各地の畑の中にパイプオルガンがあるような豪華ホールがあって、「のど自慢」を呼んだ後はカラオケ大会ばかりやっている。実際に作ってみると利用者が少ないので大赤字の施設ばかり。政府の財政赤字は急カーブで増える一方だ(「日本の借金」時計)。でも、だーれも責任取らない……。これは日本がタコツボ社会であるがゆえに資源配分に失敗しているいい証拠だね。

 それでもカイシャがなんとかなっているのは、ライバル企業も同じようなタコツボ社会の中にあるので、お互いが「本気で商品力で競争しよう」と考えていないからだろう。なんとなく適当につくった商品を出しておけば、粗悪であろうが高かろうが消費者は黙って買ってくれるからね。というのも、消費者は商品を吟味して買っているわけではなく、「これは大企業が出しているから大丈夫だろう」と、ブランドを見て商品を選択しているからだ。

 そんなことじゃ、タコツボの上にいる人間はモノを考えなくなっちゃいますよね。

 一方で下請け会社の人間は、「どんなにがんばって、いろいろ工夫して良い商品を作ったとしても、どうせ利益は大企業ががっぽり取っていくんだから、知恵を出したり汗をかいてもしかたがない」と考えちゃう。そういうふうにあきらめの境地に入ってしまうから競争力のある商品もできないし、本人の人間的成長も止まってしまうんだ。悲劇だよ。

 タコツボに閉じこもっている限り、せっかくオープンマーケットが与えてくれるチャンスを見過ごしにしてしまうということなんでしょうね。それと、タコツボの中では競争原理が働かないということですか。

 タコツボ組織では、私にはまだよく分からない合理性以外の法則が、幅を利かせているんでしょうねぇ、ハア。

 それと、外の世界ともっとオープンに付き合って、自社に欠けている部分を補って競争力のある商品をつくるチャンスも、系列化していることによって失っているわけだ。

 結局のところ、タコツボ社会では資本効率が悪いし、下請けの人は「どうせ収奪されるのなら」とあきらめてしまうので、みんなが「自分の頭をフル回転させてアイデアを出し、付加価値の高い仕事をしよう」というやる気が起きない。つまり生産性が低いんだ。

 それから最後に、タコツボに閉じこもっていると、「ユデガエル」になってしまうということがある。

 なんですか、ユデガエルって?

 ははは、ウソか本当か知らないが、カエルを熱湯に放り込んだら熱いのですぐに逃げ出すけど、まず水の中に入れて水をゆっくり熱していけば沸騰するまで気がつかなくてユデガエルになってしまうんだそうだ。組織の外に目を向ける必要がないから、環境変化に対する感度が鈍ってしまうということだよ。どんなに自分の身にピンチが迫っていても、危機感をぜーんぜん感じない身体になってしまう。

 だから彼ら、 カエル族は「改革なんかする必要はない。これでいいんだ、いったいお前らは何を文句言ってるんだ身の程知らずめ!」と、必死で努力している改革派の人たちに対して恥ずかしげもなく言えるわけだよ。そう思っていたら、「改革しなければならない、変わらなければならない」とは絶対に思わないからね。これすなわち、「抵抗勢力」の誕生だ。

 カエル族=「抵抗勢力」のみなさんにとってむしろ大切なのは、自分の縄張りを守り通すことであって、「他人の縄張りを荒らすのは失礼なことだ」という意識があるから、競争意識などというものは持たない。その代わり、自分の縄張りに介入されることも許せない。動物に近いよな。だから周囲から見るとどうみても「意固地な抵抗」にしか見えないことを、大まじめでやっていたりする。

 ムーディーズが日本国債を格下げしたときに、「抵抗勢力」の政治家たちが「よけいなお世話だ」とばかりに怒っていましたよね。「へぇー、あの人たちは外部の客観評価をまったく認めないんだぁ。そんなに偉いんだ!」って驚きました。

 カエル族は経営者のくせに株価を気にしないわけだわ。コカ・コーラの本社なんか、入り口の受付の上に株価ボードがあるっていうのに……。

 タコツボ社会に閉じこもっているカエル族は、外のことについて文句を言わないから、要するに社会参加を放棄しているんだ。その代わり部外者にも自分のシマのことについては口出しを許さないということで、バランスを取っているつもりなんだよ。自分さえ安泰なら、それでいいわけ。

 自分たちのタコツボの中でしか通用しない専門用語やルールを作って喜んでるしね。それによって自分たちのチャンスが失われていることに気づきもしない。

 また自分のタコツボしか見ていないから、「ここが一番、会社サイコー、会社バンザイ」と信じている。そしてメンツや見栄にこだわって、狭いタコツボの中で威張って暮らしているわけさ。まさに壺中天(こちゅうてん:壺の中のユートピア、別世界という意味)だよな~。

 もう、滑稽を通り越して悲惨ですね。世界の広さを知らないんですから。自社の批判も絶対許さない雰囲気ありますもんね。危なくって、こういう話は佐々木マネージャーとしかできませんよ。

 べつに、ぼくのほうはしたくはないんだけど……。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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