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収奪構造・流動性なし・自由なし

 まあ一言で言ってしまうと、タコツボ社会というのは、個人の知恵も労力もしぼりとられてしまうという哀しいシステムなんだ。タコツボ社会が続く限り、若手社員は自分の実力を伸び伸びと発揮させることができないだろうなぁ。手足をうんと伸ばすためには、タコツボから飛び出すしかないという感じかなぁ。

 で、そのタコツボ社会の問題点を整理すると、まず親会社の社員は、ろくに働かなくても高給をとっている人が多いけれど、階層が下がるにつれて労働に見合った報酬が支払われなくなることがあるね。「規模が大きな会社ほど給料が平均して高い」という統計がある。というのも、契約条件を決めるのは元請け会社であって、下請け会社はそれに逆らうことができないからじゃないかと思うんだ。あるいは親会社からの天下りが来ているから、契約条件が甘くなってしまう。子会社の社員も抵抗の意思を放棄してしまう。

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 タコツボの下の階層の人は、上の階層の人に収奪されているということですね。

 そう。「共存共栄」「共に頑張ろう」なんて言葉が大好きなんだけど、大うそだよ。「八紘一宇(はっこういちう)」を押し立ててアジアを侵略した理屈に近いよなぁ。

 それだけではなくて、下請け企業が、他の系列の企業から仕事を受けるなんてことも、タコツボの上のほうにいる元請け会社は嫌っているよね。どうしてかというと、下請け企業が力をつけてくると、支配力がなくなってタコツボが崩壊してしまうから、それを防ぎたいと元請け会社は考えるからだろう。自社もタコツボの外の会社とはなるべく関わらないようにしているし、系列の会社にもそれを強要しているわけだ。

 この仕組みから抜け出そうとしたら、ヤクザの組から抜けるのとおんなじで、「小指一本置いて行け」と言われちゃうし、「出ていったら徹底的に干されてしまうので、もう生き残れない」とみんなあきらめている。村八分というやつさ。

 ベンチャー企業を起せばいいじゃないですか。そーだ、その手があったか!

 おいおい、またそんな簡単に思い込んで。

 そうなんだけど、普通の場合タコツボから出るというのは、自分が今いるところよりも下の階層に行くということなんだよ。つまり大企業にいるのなら中小企業のレベルに行くということだし、中小企業にいるのなら零細企業に行くということ。

 タコツボ社会では、大学を出たらみんなどこかの階層の企業に入社するわけだけど、残念ながら、階層間の流動性や移動の自由はない。タコツボに入った時点で、個人の自由は制限されてしまう。つまりそこから上の階層に移動するというのはほとんど不可能だ。下には行けるんだけど、必ず待遇は悪くなるし、そうなるとほぼ復活のチャンスはないから、みんな必死で今いる立場に固執するわけ。

 「自分の今いるタコツボの中の椅子取りゲームをするのがサラリーマンの仕事だ」と考えられているから、これはまあお世辞にも「ビジネス」とは言えないよね。

 一方で、ベンチャー企業を起こすというのは、言ってみれば「日本の産業のタコツボ封建社会の、一番下の身分に身を落とすということだ」とすら思われているかしれない。

 そんなの絶対まちがってると思います。ベンチャー企業を起こす志は、世の中を前進させるエネルギーのひとつだと思いますけど。

 だけどさあ、ベンチャーを起こして良い商品を作っても、亀田部長みたいな人が商売相手だと買ってもらえないわけじゃないか。

 成功する人間はほんのひと握りで、しかも社長は銀行に債務の個人保証をさせられるから失敗したらほぼ二度と立ち上がれない。リスクが高すぎるよな。

 だからそういう道もあるにはあるけれど、「やってみたいんだったら、やってみれば」としか言いようがないかな。

 全然おかしいです。それって、タコツボの中に閉じこもってオープンマーケットを否定する態度ですよね。「自社にないアイデアやノウハウ、それにリソースを外から取ってこよう」という姿勢もなくなっちゃうでしょう。それは困ったことだわ。

 マリちゃんは、なぜそれが困ったことだと思う?

 イノベーションのチャンスを見過ごしてしまうことになると思うんです。安くて良いものを新しく作るためには、どうしても自社にないものを外から取ってくる必要があるはずです。だから、どうしてそういう姿勢でやっていられるのか不思議なんですけれど……。

 それは簡単だよ、日本中の会社が同じようにタコツボ社会に入っていて、タコツボ同士で談合しているわけだから、談合破りをする会社が現れない限り同じような商品を同じように作っている会社しか日本にはないことになるので、全然大丈夫だったわけ。

 北海道のある市でバレたんだけど、前の市長の在職中の公共工事千件以上、約200億円分の工事で、市内の百社以上の業者が談合を繰り返していた。しかも、その調整をやっていたのが市長本人を含めた市の幹部だった疑いが濃い。「官製談合」と言うんだけど、これなんか、地方都市がタコツボ化している実例だね。しかもタコツボが1つしかないから、内部告発したら翌日から干されておまんまの食い上げになってしまうことになる。

 まあそう怒らずに。というのは、これから話すのはもっと悪い話だから。

 サイテー! 自由でオープンな取引を放棄していることよりもさらに悪いことがあるんですか? 日本の産業界って恐ろしいところですね。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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