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○うちの部長は、この間来た消火器の詰め替えの業者に、なんと90万円も取られました。まわりがさんざん言ったのですが「相手は大きい会社だからいいんだ!」と意見を聞こうともしません。実際は名前をぱくった幽霊会社でしてぜ~~んぶパ~になりました。「大きい会社だからいいんだ」っていう思いこみで損をすることが化石おじさんの昔からのポリシーなんでしょうね・・やれやれ・・あれから部長の前で「消火器!!」は禁句になったのはいうまでもありません。(30代男性 印刷業、デザイン)

 職場で消火器詐欺にあうとは、相当なつわものですね。

 今回は、ご投稿の中で一番問題としての指摘が多かった「子会社問題」について、その構造を徹底的にえぐり出したいと思います。ちょっと長くなりますが、気になったご投稿を紹介しましょう。あまりにも切実過ぎて、もうコメントの必要すら感じません(意味が通りやすいようごく一部を修正しています)。

○親会社から出向してきた幹部社員がいます。「いつかは出向元(親会社)に戻れる」と思ってか、親会社の要求に対して決して首を横に振らない。無理な要求も受けてしまうので部下はその対応に追われる日々です。別会社にしている意味が全く理解できない。(20代男性 大手コンピュータメーカのシステム系子会社、SE)

○孫会社という立場で親会社に出向。「共に頑張ろう」という言葉とは裏腹にプロジェクトの中心には加えてもらえず、派遣社員と同等の扱いを受け、最後には「技術を盗みに来た者」と言われて追い出された。親会社には多数の子会社、孫会社が存在し、それぞれが同じ分野で独特の素晴しい技術を持っている。しかし、組織の壁に阻まれ互いの交流が無いのが現状。「親会社・子会社という意識をなくして、グループ内の技術者が自由に交流できたら」と今でも強く願っている。それがどれだけ困難か、どれだけの時間と強大な権力が必要か、身を持って体験したので分かっているつもりです。(20代女性 電気機器、技術)

○いわゆる系列のサプライヤーから、その物流子会社を通じた販売を強要されるというイジメにあっております。その物流子会社、そもそもの構想は、親会社の前任の社長によるものだったが、「うまく行く」と思っていた人は実はほとんどいなかった。
 ところが、これ正に「支配=従属」関係によって社内に異を唱える者などおらず、「うまく行くわけがない」と思っている人がその会社に派遣で収まる。もともとうまく行くわけがないと思っているんだから、その会社に在籍している人たちには、「業務を改善しよう」という気概もなく、「自分たちは被害者だ」という意識が蔓延。お客に対しては、ちょっとどころでなく相当まずい状況になっていて、事実かなりのクレームを受けているのに、社内の和の方が優先だから、そんな(彼らにとっては赤の他人の)お客の声などほとんど無視。(40代男性 電子部品商社、営業)

 なぜこんな、誰が見てもおかしいことが、正されずに放置されているのか。根本的な原因は、日本全体を覆う「支配=従属」関係のピラミッド組織が、いくつかのタコツボ社会に仕切られているという組織構造にあると思います。このコンセプトをもとにして、タコツボ社会に生きる人たちのがどういった意識を持っているかについて考察してみましょう。

●今回の「化石体質のおじさんたちの呼称」
カエル族 [ユデガエルのたとえにちなんで] (「30代男性 重電関係の製造業、設計技術支援」さんの作品)

■登場人物
○佐々木マネージャー
35歳。脂の乗りきったバリバリ中堅社員。経営幹部の無能に悩まされている。
○マリちゃん
若手女子社員24歳。帰国子女。元気で過激なやる気ウーマン。
○亀田部長
登場しないけどさんざん陰口をたたかれる損な役回り。

ピラミッド組織はタコツボに仕切られている

 佐々木マネージャーー!!

 なーんだ、マリちゃんか(汗)。

 「なーんだ」じゃないですよ、もうっ。佐々木マネージャー、最近わたしのこと避けてるんじゃないですか さっきも、目が会う前にすすーっと会議室に逃げ込んだような。

 えっ、そうかなあ、気のせいじゃないかなぁ。ところで何の用?

 亀田部長ったら、全然わたしの言うことを聞く耳がないんですけど。どうしたらいいんでしょうか。実はさっきも、今まで取引のなかった会社からすごくいい商品の提案があったんですけど、「どこの馬の骨とも分からない会社とはつき合えない」という一点張りで、取り合おうともしないんです。これじゃ取り引きが広がらないですよ。なんでそんなに閉鎖的なのかなぁ、損だと思わないのかなぁ。

 ああ、やっぱりそんなことか。ちょっと急いでるんだけど……。

 ほら、やっぱり避けてるぅ。バレンタインデー前なんだから、少しは営業活動したほうがいいんじゃないですか?

 いや、そういうわけじゃないんだけど(汗)。そういう話は、君の課のマネージャーに言えばいいじゃないか。

 だって、わたしが何か言いかけると、うざったそうに「今忙しいから」って逃げちゃうんですもん。

 だ・か・ら。ぼくだって、今そうしたんだけど……、捕まってしまったなー(涙)。

 前から言っているように亀田部長は、クローズドの「タコツボ社会」に住んでいる人だからさ。「ネットワークをどんどんひろげて、外部からリソースを取ってきて、戦略的な選択肢を増やそう」なんて発想はまったく持ち合わせていないのさ。

 なんですか、タコツボ社会って? この前言ってたピラミッド社会とどーいう関係があるんです?

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 うん、「日本はひとつの大きなピラミッド組織だ」という話をしたけど、その中はいくつかのタコツボに仕切られているんだ。で、基本的に抵抗勢力のみなさんは、「自分の属しているタコツボの秩序と既得権益を守り通すのが大切だ」と、かたくなに信じているわけ。

 タコツボとして分かりやすいのは、財閥系企業グループだよね。大企業は、だいたい親会社で、元請け企業であって、そこが子会社の下請け企業に仕事を発注して、子会社はお金を中抜きして出入りの業者や孫請け会社に丸投げすることになっている。それでみんながご飯を食べているという構造だよ。

 ちょっといい料亭なんかで接待されると、必ず「おビールの銘柄は何になさいますか?」とたずねられるよね。接待されてる側が、飲ませてもらう酒に文句なんか言うはずないのに。

 それはどうしてだか分かわかる?

 分かりません。ていうか、そんなところへ行ったことありません。チョコレートあげますから連れてってください。

 あたたた、そんなの釣り合いが取れないよう、勘弁してくれ。答えを教えてあげるから。ビールの銘柄を気にするのはね、三菱系列の会社の社員であればキリンビール、住友系列であればアサヒビール、芙蓉グループ系列であればサッポロビールを飲むことに決まっていたからだよ。それ以外の会社の人は、自分のライバル企業の系列のビールはとにかく避けると。

 そんなのばかばかしいじゃないですか。ピールなんか、みんな自分の好みのビールを飲めばいいわけで。だいたい、そうするとビールを3種類いつも用意しておかなければならないわけですか? 面倒くさいし、なんだかコストアップ要因になりそう。そういう不合理って、会社の中でも感じますけどね。

 だけどそうしないと、三菱のお客さんはサッポロビールを飲まされたら、なぜか機嫌が悪くなっちゃうわけ。別のタコツボのビールだから。

 で、そういう日本全体を覆う大ピラミッドがタコツボに仕切られているように、ピラミッドとしてのカイシャも部や課ごとにタコツボとして細分化されているんだ。そしてタコツボ同士でいがみ合っている。

 それゆえ、そういうタコツボ社会の中で生きているサラリーマンの意識はどうなってしまうかというのが、いまマリちゃんがぶつかっている問題だよね。

 そうそう、それなんですよ。だけど今度、ビールの銘柄を聞かれるようなお店に連れてってくださいね。

 チキショー、これぐらいではごまかされないか。しくしく。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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