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頭を使うのは一部の人だけの「中央集権体制」

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 日本全体を覆う大ピラミッドの頂点に立っているのは、霞が関のキャリア官僚なんだ。この人たちは子供のころから一生懸命勉強してきて東京大学を出て、やたらむつかしい公務員試験を突破したエリート中のエリートだよ。

 そして彼らが偉いのは、前回話した日本の統治構造の中で、常に権威を持ち続けている天皇に一番近いところにいるからなんだね。

 国会議員は選挙に落ちれば「タダの人」になっちゃうけど、公務員は身分保障があるから常に天皇の近くにい続けられる。もしも何か大きな問題が起こったら、政治家のスキャンダルをマスコミにリークして、政治家を人身御供に差し出してピンチを脱出するんだね。彼らのほうが政治家より上手だよ。

 へー、知りませんでした。役人の友だちなんかいませんから、そんな人種が日本にいるなんてことも初めて聞きましたよ。アメリカだと、キャリア官僚はどんどん辞めちゃうし、高級官僚は政治任用ですから政権交代のたびに民間人と入れ替わるし。あんまり「お上意識」はないですよね。

 日本では、ほんとうの実力者は表に出てこないものなんだよ。御簾(みす)の後ろや、屏風の陰に隠れている。苦労して世の中のてっぺんに登ったんだから、彼らが構造改革に抵抗するのは当然さ。しかし、その抵抗勢力の牙城の中で改革派としてがんばってるごく一部の官僚はサムライだね。

 そしてその霞が関の役所の中にもちゃんと序列があって、一番偉いのは財務省=以前の大蔵省だったわけだ。大蔵省はつけもの石、改革を妨げる「ビンのフタ」だったのさ。

 「偉い」というのは、カネと人事をにぎっているということ。大蔵省は他の役所の財務部門に人を出向させてにらみをきかせていたんだよ。国税庁もあるから強制調査権も使えるしね。

 こわもてのボスって感じですね。

 産業界全体もそういうピラミッドの中にきちんと位置づけられていて、動かしがたい序列があった。

 一番偉かったのはお金を貸してくれる銀行だったんだよ。だけどその銀行も、大蔵省には徹底的に頭が上がらなかったわけ。大蔵省に反抗できない分、銀行は産業界に対して威張っていて、たいていこの銀行系列によって産業界は5大企業グループに色分けされていた。グループの中にはあらゆる業種がフルセットでそろっていて、その中で取引が全部すむようになっていたんだ。企業は病院や学校まで持ってたんだから。

 銀行の次に偉いのがそうしたグループの中核を占める大企業で、そうした大企業は子会社をつくって、子会社をカネと人事で支配していて、それが気に入らない子会社は下請け孫請け企業に対して威張っているという関係だね。

 相手に対して「威張る」か「従う」かがはっきり色分けされていて、その序列を絶対に動かすことができない身分制社会が日本全体を覆っているわけ。

 知りませんでした。わたしたちも、銀行や役所には頭が上がらないんですか。そんなのばかばかしいですね。

 でもまあ、友だちの結婚式の披露宴に行ったら、席順でもめて結婚式が流れそうになったと言ってましたから、日本では「序列」というのはよほど大切なんでしょうね。アメリカでは、結婚式が席順でもめて流れたという話はきいたことがありません。

 東京を離れて、地方に行ったら話は違うのかなぁ。

 とんでもない。うちの会社で言うと、本社が一番偉くて、本社で失敗をすると支社に飛ばされて、さらにその末端に営業所がある。本社が地方を支配するという構造になってるだろう。

 それは組織ですから、指示系統があるのは当然のことだと思いますけど。

 カイシャと同じように、行政組織では霞が関が一番偉くて、お金と権限をいっぱい持っていて、その次に県や政令指定都市が偉くて、末端に市町村がある。これは根本的におかしいよね、県や市町村は独立した自治組織のはずなのに、国と一体的な仕事をさせられている。

 そして実際に住民サービスをやっているのは市町村なんだけど、市町村の人が県庁を飛び越えて霞が関の役所に質問はできないようになっている。必ず県庁が取り次ぎをするピラミッド秩序があるわけだ。

 これがいわゆる中央集権体制で、お金や人材を中央にぜんぶ集めて、誰か偉い人がどう配分するか判断して地方に割り振るという形になっている。

 企業でも、地方に本社のある大企業の数はものすごく少なくて、たいてい東京に本社があるだろ。うちの会社だって、もともとは関西の企業だったのに、高度成長期に東京に本社を移して、もとから東京にある会社のような顔をしている。そのほうが役所に近いし、なにかと便利だからなんだよ。そうやって中央集権体制はだんだん強化されつつある。

 へえ、そうだったんですか。だけどアメリカだったら、例えばマイクロソフトやボーイング、スターバックスの本社はシアトルにあるように、地方都市にも世界的な大企業の本社があるんですけどねえ。なぜ日本では東京に一極集中しているのかなぁ。

 日本中に赤字新幹線を引いて、東京とつながりたがる気持ちがよくわかりませんね。

 それはだから、神輿(みこし)かつぎをやるには、天皇に近いほうが偉いからだよ。天皇の威を借りて、実権を振るうわけだから。でもそれは、自分自身の頭でモノを考え、最適な戦略を考えて実力でのし上がるわけではなくて、天皇の持っている正統性に依存しているだけなんだけどね。

 やっぱり、徹底的に天皇中心のピラミッド社会なんですね。だけど天皇は権威だけで、実権はその下の人たちが持っているというのは、なんだかよく分かんないシステムだなー。

 このピラミッド社会の特徴をまとめると、まず中央集権だからあらゆる資源は東京が握っている。序列が下の者は上の者の権威に依存していて、困ったことがあったら「お代官さま~、なんとかしてくだせえ」と本社や霞が関に泣きつけば何とかしてくれると考えている。

 また、代官である中央のほうも、「みんなを保護してやる」という大義名分で彼らから収奪し、考える力と自立の機会を奪っているんだ。抵抗勢力の政治家なんかは、「日本人は自由競争には耐えられない」と言ってるだろ。

 ひど~い!! 個人個人が力を出し合って支えるのが社会なのに、それを押さえてしまったら社会の活力が下がっちゃうじゃないですか。

 実際、いまは構造改革で国から地方への流れがあるけど、「権限移譲されても自分ではどうしたらいいのか分からないので困る。生活の安定を求めて役所に入ったわけで、自活のための能力なんか磨いてきていないんだから」と思っている地方の役人は少なくないだろう。頼るものと頼られるものは、「共依存」の関係にある。

 それとピラミッド社会は、「下の階層の者は決して上に上れない」という秩序優先の仕組みになっている。だから亀田部長はことあるごとに「組織の和がなにより大切だ」と言うんだね。

 もう一つは、健全な競争を否定すること。自由競争によって秩序が壊れると困るからだ。その代わりに、下の階層の人もご飯が食べられるように、上にいる人が資源配分を行うという保護政策をやっているんだ。

 だから「自分はこのピラミッド構造にしがみついている」という自覚のある人は、外部の競争市場、すなわちマーケットの存在を徹底的に否定したがるよね。

 そうすると、今までは「日本社会は共同体」という話だったんですけど、1億2000万人全員が一つのピラミッドの中に秩序づけられた、でっかい村社会だということですか。すごい話ですねえ。いつからそんなことになってしまったんですか?

 このでっかい“つけもの樽”が完成したのは、戦時体制を準備していた1940年ごろだよ。
 もう60年以上も前のことじゃないですか。
 だけど戦争に負けたときにも、経済復興のためにこの仕組みが便利だったので、残されたわけ。そして高度経済成長の成功体験があったので、日本社会は自己革新ができなかった。そのままバブルに突入してクラッシュしたという感じだろうなぁ。

 この体制は、共同体に住んでいる日本人の意識を反映した、我々にすごくマッチしたシステムだったんだと思うよ。マリちゃんも、「組織は戦略に従う」と学校で習っただろう。

 カイシャはそういう意識の上に成り立ったガチガチのピラミッド社会の中に、しっかりと土台がすえてあるので、みんな「この体制が異常だ」ということになかなか気がつかないし、カイシャが変わるにはその村意識の基礎からひっくり返さなければならないから、なかなかたいへんだということなんだな。

 そりゃそうなんでしょうけど、でもわたしはこんなのイヤ。わたしはそんな共同体意識なんか持ち合わせていませんから。

 佐々木マネージャー、さっきのヘッドハンターの人、紹介してください。

 入社したばかりの社員がヘッドハントされるわけないだろっ!

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人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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