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 このコラムの読後の感想として、「ウチのカイシャの話そのままだ」というメールや、「ウチの会議室を盗聴していてネタにしているのではないか」というおしかりもいただいておりますが、決してそんなことはしておりませんので悪しからず。

 これは、日本のカイシャに共通する問題を挙げているに過ぎないのです。今回は、こんなご投稿からスタートしたいと思います。

○今の上司は、部下の意見に対してけちをつけるのが自分の仕事だと思っている節があります。意見の大部分に賛成であったとしても、どうでもいいこまかいところにけちをつけて、結局意見全部をつぶしてしまうことが多いです。
 部下としては、どんな意見を出しても結局けちをつけられるので、意見をまったく言わなくなりました。(30代男性 SIer、技術戦略の企画・立案)

 本筋でないところでけちをつけて全てを否定する態度は、「オープンソース型」の対極ですね。
 ではなぜ彼らはこうした態度をとるのでしょうか。それもまた、共同体の組織風土に根ざしているのです。今回は「ピラミッド組織」をキーワードに、共同体型社会のあり方と組織人の意識について掘り下げて考えてみましょう。

 「化石体質のおじさんたちの呼称」も、なかなかの力作を投稿していただいておりますが、毎回のテーマと私の気まぐれで選ばせていただいております。たとえば
○ダスト・サムライ (「20代男性 メーカー、研究職」さんの作品)
 かなりおもしろいのですが、季節ネタなので不採用です。
○レガ石 [レガシー(遺産)にとりつかれ頭が石になってしまった感じ] (「20代男性 IT、事業企画さんの作品
 レガシーな奴だとお思いでしょうが、レガシーな奴ほど新しいインタフェースを欲しがるもんでござんす。
化石的なものといえばコボラー、メインフレーム(「30代男性 食品製造、情報システム」さんの作品)
 いかにもBizTechという感じのご投稿、ありがとうございます。

 ……そんなわけで、今回の「化石体質のおじさんたちの呼称」は今回のテーマに沿って

●今回の「化石体質のおじさんたちの呼称」
つけもの石おやじ (「30代男性 製造業、エンジニア」さんの作品)

 に決定です。

■登場人物
○佐々木マネージャー
35歳。脂の乗りきったバリバリ中堅社員。経営幹部の無能に悩まされている。
○マリちゃん
若手女子社員24歳。帰国子女。元気で過激なやる気ウーマン。
○亀田部長
登場しないけどさんざん陰口をたたかれる損な役回り。

カイシャの人間関係は「支配=従属」が基本

 佐々木マネージャー、何やってんですかっ!

 ゲッ! マリちゃん、どーしてここに?

 会社の近所の喫茶店に来ちゃおかしいですか? ねえねえ、さっき話してた女の人、誰ですか? ずいぶん親しそうに顔を近づけて小声で話してましたけど。怪しいな~。

 ばか、そんなんじゃないよ。うーん。あれはヘッドハンターだ。

 えーっ、ヘッドハンター!!

 ばかばかばか! 声がでかい! やばいところを見られちゃったなあぁ……。

 あれがヘッドハンターかぁ。見たところ普通の人じゃないですか。いよいよ転職するんですか? いいなー。

 あーあ、わたしも転職したいなー。亀田部長には、あいかわらず何を言っても通じないし。さっきなんか、『よけいなことを考えずに、女の子はお茶出してればいいんだっ』って言われちゃったんですよ。ひどいと思いませんか?

 うーむ、そりゃ君が怒るのは分かるけどね

 共同体としてのカイシャ組織の中の対人関係の原則はあくまでも、この前言った「支配=従属」関係なんだよ。上司はまず、若者の言うことなんか聞く耳を持たない。君らには基本的に発言権はないの。上の人間は「下の人間は組織秩序を守るために自分に従属するのが当たり前だ」と思っているから、「身の程知らずめ」「分をわきまえろ」「出る杭はちゃんと打っておかなきゃな」とまで思っている。

 自分の方が地位が高い、つまり「偉い」から、「下の人間が言うことがどんなに正しくても受け入れる必要なんかない」と思っているんだよ。彼らには論理性のカケラもないからね。

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 冗談じゃないですよ。人事部は「エンパワーメントが必要だ」って言ってますけど、標語でしかありませんね。

 でも確かにわたしが見てると、亀田部長は社長や専務にはものすごーく、こびへつらってると思うんですよね。噂だと、大きなミスをやったときに社長に土下座をして飛ばされずにすんだとか。信じられないと思いました。

 自分の信念とか誇りというものがないんだろうね。

 だから、リーダーとして判断を求められたときには、「長いものには巻かれろ」と考えちゃうし、「みんながいいと言ってるもんなんだから、いいんだろう」と、周囲の意見によって自分の判断を決めてしまう。「今は○○の風が吹いているからこれに乗ろう」と恥ずかしげもなく言えるんだから。

 他人が信じているものはウソでも詐欺でも信じちゃうんですか? どうしてアカの他人や、勤めているカイシャをそんなに無邪気に信じられるのか、理解できません! 自分の意見ってものがないのはマズイですよ。

 部長連中は、「自分が常に、カイシャ共同体の中心近くにいられるかどうか」を基準にしてなんでも判断してるよなぁ。だから効率性や結果よりも、人間関係を重視して、ゆがんだ結論を導き出してしまう。

 まちがったとしても「組織の和さえ保たれていればかまわない」と思っているから、自分からいろんな情報を取りに行って価値判断して合理的に考えるとか、「他人とコミュニケートして意見を集約しよう」などというまだろっこしいことをせずにすんでるんだ。それだと物事の本質を考えずにすむよな。

 それに、どんなことでも「変える」ということに抵抗感があるみたいですね。現状を少しでも変えると、よくないことが起きると信じているみたい。どうしてあんなに保守的なのかな?

 つけもの石おやじなんだよ。組織の重しとして頑張る以外に能がない。

 だから「若僧の分際で、他人の縄張りに口を出して改革しようなんて、とんでもないことだ」と腹の中では思ってる。意見の善しあし以前に、「けしからん」という反感の方が先にきているね。

 目下の者の意見は、まず否定してかかろうとする。「それはコストが高くて無理だ」とか、「既にやってみたけどできなかった」とか、とにかく「できない理由」を並べて無理にでも否定しないと沽券(こけん)に関わるとすら思ってるね。……でも、実際は彼らはボトルネックを突破するための必死の努力をしていなかったりするわけで、それでもって否定の材料にされたんじゃたまらない。

 そういう感じで、なるべくたくさんの意見の中からいい部分をひろって総合するという建設的な議論というのはできないね。

 その逆に、目上の人の意見に対しては「さすがでございます」ってなもんで、甘あまな判断で決めてしまって、結局うまく行かずに資源と時間を無駄にしてしまう。「考える」なんてめんどうな行為は、はなから捨ててしまっているようだな。

 前に課内でブレーンストーミングやったんですけど、形だけ。成果は乏しかったですよ。


人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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