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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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高級クラブ
「ギブ&ギブ」客に与え尽くすまで与える覚悟

ザ・クラブ顧問
Iさん


*心がない人は何をやってもダメ

 挨拶というのは、第一印象を与えますから一番大切です。「いらっしゃいませ、何名様ですか」という笑顔。そして、店にいる間は何があったとしてもお帰りの時の「ありがとうございました」という心からの挨拶ですべてが帳消しになると思います。
 この仕事、心がない人は何をやってもダメで、成功することはありません。どんな大物相手でも、真心で接すれば絶対に伝わります。相手が人間だから、「心」「ハート」が大切なんです。それがわかるようになるのが、プロになるということです。
 われわれは看板だけでは金は取れません。一流であるとは、我々から言うのではなくて、お客様が決めることです。女性の質、客層、スタッフ、内装、これらのすべてで、七〇点以上取れないとだめでしょう。

 私自身は、まず健康であること、そして健全な心を持っていること、これを持っていなければ健全な商売はできないと思います。邪念を持っていてはダメです。楽をして稼ぐことを考えてはなりません。
 最近の銀座にはコギャルすら入ってきているようです。しかし、お客様は匂いで店がわかります。中身がなくてつまらない店が多くなっているから、お客様が来なくなってしまうのです。私は、まったく新しい気持ちで、これからも店づくりを通して新しい銀座を作っていきたいと思っています。

*ありとあらゆる方法で客の心にアプローチする

 一人五万円を取っても、お客さんに「高いな」と思わせない徹底的なサービス。
 Iさんのお話を伺っていると、あるイメージが浮かんできました。それは「お客さんの心」を中心にして、その回りを目配り気配り心配りしてIさんがぐるぐる回りながら、ありとあらゆる方法でお客さんの心にアプローチし、満足してもらおうとする姿です。
 男性であれば、女性に優しくされれば心を開くでしょうし、大いに慰藉が与えられるはずです。しかもそれ以外にも、Iさん自身が幇間の役を引き受けることで相手の気持ちを持ち上げたり、店でお客さんが所望するものはすべてそろえたり、ベストのタイミングで「何しろ客を満足させてみせる」というサービス精神の権化のような気迫すら感じさせます。

 ここにも自分を「無」にして客の満足を追求する姿勢があります。
 無になる自分を支えているのは、「これが銀座の一流のレベルである」という自負と、仕事に関しては他人には一歩も引かない自信でしょう。彼はそれを「ある種の悟りを開いている」と表現しています。「そこまでやるのであるならば、この男が提供するものはホンモノだろう」とどんな客にでも思わせることができる強いインパクトを持つサービスを、彼は掌中にしているのですが、それはまさに「覚悟」と言えるほどのものがあって、そこからスタートしているサービスなのです。

 彼は、やはりお客さんが「何かしてほしい」と思う前に、相手の考えを察知してこちらが動く必要性を強調していますし、手紙や贈り物は「相手に情を通わせるもの、相手の心にこちらの気持ちを伝えるもの」と捉えています。
 そのような接客ができるようになるためには、自分の経験に基づいて人の痛みや、人の心が理解できなければならない、そしてそこから吸収して身につけていくものだと言っています。
 生きていく上でさまざまな経験をし、滑った転んだ泣いた笑ったを繰り返す中で、自分の心がズキズキ痛んだ経験から、相手の心の動きを推し量る。人間的な成長とこうした「慮る力」は表裏一体であると言っているように聞こえます。
 実際、年をとって経験を積めば積むほど、人は相手の心を読む能力を向上させ、同時に自己中心的な部分もコントロールすることができるので、うまく相手との関係をつくれるようになるものです。

 凄腕のスカウトとして知られているIさんですが、Iさんの女性スカウト術も実に興味深いお話でした。
 女性が自分の言葉をどう受け取っているか、その反応はすべて表情に出る
 相手の心にスキがあるかどうかよく観察して言葉を選んでいく
 何年も前から知っているような雰囲気を与えて安心させる
 そうして勢よくしゃべりながら自分のペースに巻き込んでいく
 高級クラブは「遊びの世界」です。遊びの世界でありながら、一流の店として遊びを極め、お客さんに最高の満足を与えるための基本姿勢は「ギブ&ギブ」すなわち、相手に与え尽くすまで与えて自分を無にする、その必要性があるのでしょう。


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