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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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ゴルフ場
心からのサービスが「客の心」の琴線に触れる

千葉夷隅ゴルフクラブ


*「嫌な客」には積極的に接近して相手の気分を変える

 まず、お客様と会ったときは第一印象が大切です。明るく元気に大きな声でご挨拶します。
 スタートは七分おきですので、スタートを待っている間に、お話の様子から今日は接待なのか、プライベートなのかを探り、どのような対応すべきかをつかみます。だいたい3ホール目くらいまでに確認しておかなければなりません。
 接待であれば、どちらがゲストかを見極め、接待されている人に神経を集中して、どのようなサインも見逃さないようにします。接待されている人に楽しんでいただかないと意味がないからです。
 接待する側の人も、「あの人に集中して見てください、僕らの方は構いませんから」とわざわざおっしゃることもあります。

 私たちは、お客様から尋ねられた時にしかお話ししないことにしていますので、その人がすごく調子がよければ、ラインや距離を間違えないようにきちんとご案内するようにします。
 そのような時には、ほぼお客様と私たちは一心同体のような感覚を持ちます。
 私たち自身もショットを見ながら、「乗ればいいな、これで乗ればパーが取れる。いいところに乗ってほしいな」などと考えています。そうすると調子が出てきて、長いパットがどんどん入り始めることもありますが、逆にこのような私たちの気持ちが態度に出たら、プレッシャーをかけてミスを誘うこともあります。
 ですから私たちの気持ちはちらつかせることなく、さりげなくしておき、求められたらきちんと指示する姿勢でいなければなりません。あまり、「次のホールは頑張りましょう」などと言うと余計なプレッシャーをかけることになるのです。

 ショットに失敗した時は、ニッコリするだけにするか、あるいは残念そうな顔をするだけにして、言葉には出さないようにする方がいいでしょう。
 調子が悪くて、何を言ってもメタメタのプレーヤには、ショットの都度声をかけるようなことはせず、常に笑顔で、たまにいいショットをしたときには、「いいショットでしたね」「うまい!」などと気持ちを込めて声をかけるようにします。

 プライベートで、同級生や仕事上の友人、兄弟親戚などで来られている方に対しては、みんなでワイワイ楽しくやられているわけですから、私たちも明るく元気に接するようにします。
 コンペの場合は、優勝狙いのような人についた時にはきちっきちっと仕事するようにしますが、員数合わせで来られているような人は、飲んで楽しく過ごされたいわけですから、そのように対応させていただきますし、「あの木は何という木かなぁ」なんて会話にもきちんと応対するようにします。
 年間二四回以上のご来場者か、コンペ・キーマンである「ロイヤルカスタマー」の方については、顧客リストをつくっていて、キャディはラウンドの前にチェックしています。これには、お客様の性格や好きな食べ物の他、細かいプレースタイルについての情報が書かれています。「このお客様はヘッドカバーを取らない」「クラブをきちんと順番通りに並べないとご機嫌が悪い」「クラブは絶対にさわらせない人である」「上がってきたときのシューズへのハタキ掛けを嫌がる人である」「奥さんを亡くされているので会話では触れないようにする」「すごく高いセーターを着ていた」など、かなり細かなことが記入されています。
 一言、「この間はすてきなセーターを着られていましたね」と申し上げるだけで、お客様は楽しい気分になることができるのではないでしょうか。

 例えば情報としては、「このお客様はアプローチ周りで必ずピッチングを使う」ことがわかっていたとしても、これ見よがしに持っていくようなことがあってはなりません。その時の気分で、「俺は8番を使いたいんだ」と言われてしまってご機嫌を損ねることもあるでしょうし、8番の使い方を一緒懸命練習してきていることもあるわけですから。
 私たちは3ホール目までに、目的だけでなくその人の気持ちを読み取るようにしています。「今日はスコアメイクに来られているな」とか、「なにかおもしろくなさそうな感じだな」とか。
 また、お客様の人間性についても観察しなければなりません。ぱっと見た感じで、「この人とこの人は感じがいいから放っておいても大丈夫だな、でもこの人はちょっと癖があるな。他の三人より気をつけて目配りしなきゃ」などと見当をつけます。
 最初は「この人やりにくいな」と思っていても、お客様の心には起伏があるので、プレーしている間に全然感じが違ってくることもあります。「嫌だなあ」と思うお客様でも、絶対に逃げてはなりません。かえってより接近するようにしています。
 そしてそのお客様がちょっと漏らしたことも聞き逃さないように神経を使い、対応します。「嫌な思いをするくらいなら逃げたい、かかわりたくない」と思いがちですが、近づいていった方が勉強させられることが多いと思います。

 難しい人でも、3ホール目までにその人のアプローチクラブを覚えておいて、「クラブを取り替えようかな」と思われたときに、こちらからタイミングよく、8番なら8番を「よろしいですか」とお持ちしますし、バンカーに入ったらカートが遠くてもダッシュしてサンドを取ってくる。
 それでバンカーから出てもグリーンに乗らずにアプローチクラブが必要であれば、またダッシュしてアイアンをお持ちする。すると、「あぁ、持ってきてくれたんだ。ありがとう」とおっしゃっていただけます。
 そうこうするうち、たいがい気分が変わるものです。人間いつまででも不機嫌ではいられません。昼飯の後は冗談を言うようになってくださいます。このようにお客様の気分を変えることだってできるのです。
 ゴルフにいらっしゃった方は遊びに来ておられるんだから、明るい笑顔とあいさつでどうにか八〇%のお客様は大丈夫だと思います。

 若いキャディだと、お客様が大きな声を出されると委縮することもありますが、私は、「そういう時にはむしろ近づいてごらん」と指導しています。私たちはTAのテストをやっていて、自分の心に気づくようになっていますから、相手の心についてもいつも考えてるんです。
 このように私たちは、お客様の性格、目的、技量を見抜いて、そのレベルに合わせた対応をするように心掛けています。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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