HOME > 「慮る力」単行本 > ゴルフ場 千葉夷隅ゴルフクラブ.3

「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

「慮る力」目次はじめにヘイコンサル安全運転中央研修所|プロの心構え|相手の心を知る|プロの仕事をする

N自動車販売富士ゼロックス|T社|KO百貨店|ジャーナリスト|デルコンピュータ|和幸|N住宅産業|再就職支援会社
|パイオニア|日本航空|公益社|ザ・リッツ・カールトン大阪|千葉夷隅ゴルフクラブ|ザ・クラブ|医師|千宗室

ゴルフ場
心からのサービスが「客の心」の琴線に触れる

千葉夷隅ゴルフクラブ


*その時の「客の気持ち」を判断して対応する

 実際の接客の場面になると、お客様の心理状態を分けて考えます。だいたい3ホール目までに各人の心理を把握するようにキャディは心がけているようです。
 瞬時に四人のお客様の行動や気持ちを察知し、それに合わせていかなければなりませんから、かなり頭を使い気を遣う仕事なのです。
 キャディは、自分の心に壁をつくることなく、お客様の心に入っていくのです。キャディに相手の気持ちがわかり、またお客様も自分の経験や腕を盲信せず、素直にキャディの言うことを信じれば、パットが入ってスコアも上がることもあるようです。

 このようにしてつくられる全体的なホスピタリティーが、当社の強みの部分だと思います。それによって、メンバーの人にゲストを連れて来ていただけますし。
 今年度のキャッチフレーズは、「ふっと感じる後味のよさ」と、小集団活動で決定しました。プレー中は感じなくても、帰った後に「感じがよかったな」と思っていただけるゴルフ場のイメージをつくりたいのです。
 そのためには、さりげなく出しゃばらないサービス、そこにちょっとお客様の思いが残るのではないかと思います。
 ですからわれわれの一言や、一つの動作が、後になって「あっ、感じよかったな」と思っていただけるようなサービスが全社で達成できればと考えています。

K総支配人の話  
交流分析を導入するきっかけになったのは、マニュアルによりいつでもだれでも同じサービスができるように機能的サービスを標準化してから四年ぐらいたった昭和五七年頃のことです。
「同じことをやっても、あるキャディさんはお客さんから褒められるのに、違うキャディさんは褒められない、これはなぜなんだろうか」という疑問が浮かびました。結局、表面上のサービスだけではダメで、裏側にある人格が悪いと、お客さんはサービスされていることに気がつかないんです。人格が悪ければダメなんですね。
 そこでまず、自分の心に気づかせるために交流分析のテストを導入することにしました。
「ナイスショット」という一言でも、「本当にこれはいいショットだ」という気持ちが乗っていれば、お客さんの心に通じます。「しかしナイスショットと言いなさい」というマニュアルに従って言うと、気持ちは二の次になってしまいまったく無味乾燥な記号になってしまいます。例えば「切符もぎ」だって、お客さん一人一人に心を込めて「ありがとうございます」と言えば、一秒の接待ができるんだそうです。

 一〇年目までは機能的サービスを優先して整備してきましたが、それ以降は個々のお客さんに合わせてサービスを変える「情緒的サービス」を追求しています。
 客観的に見れば「今のは悪いショットではない」と思っても、本人のレベルによっては「ミスショットだった」と感じていることもあるわけです。上級者であればグリーンを四面に切って載せる場所を狙っているので、ただグリーンにオンすれば条件反射的に「ナイスオン!」と言うわけにはいかないのです。
 お客さんのその時の気持ちを判断できなければ、情緒的サービスはできません。

キャディ
Sさん

Sさんは東北出身で在職二〇年目。支配人と同じ社歴。肝っ玉かあさんといった頼りがいのある風情です。

*「キャディさんがいて良かった」と思わせる基本動作

 私たち千葉夷隅のキャディには「六つの基本動作」があります。ボールを見ること、距離を見ること、ラインを読むこと、旗を持つこと、ボールを拭くこと、ディポットを埋めることです。簡単なようでいて、これらはなかなか難しいことなんです。
 ボールを見失ってしまうとロストボールになり、2ペナになってしまうので見失ってはなりません。
 また、距離を尋ねられたときは、10ヤード感覚ができていて、正確にお答えできなければなりません。そこでキャディ棟の前の道路に10ヤードの線を引いておいて、いつも自分の歩数で測って距離感覚を身につけるようにしています。距離が「合っているかどうか怪しいな」と思ったら、すぐに歩測するようにしています。
 ラインについては、「どれくらい切れますか」と聞かれたときに、下りか上りか、フックかスライスかをきちんと答えられなくてはいけません。

 ビンを持つときには、きちんと持たなければなりませんし、ビンを抜いたらちゃんと自分で最後まで差す心がけが必要です。お客様に手渡して差してもらうなどとんでもないことです。
 自分でビンを刺した後、次のティーグランドにはお客様よりも先にいかなければなりませんから、ほとんどカートを引いて走ることになります。
 グリーンにボールが乗ったら、泥がついていたら転がりがまったく違うので、マークしてボールを拭きます。
 ディポットについては、スタートする前にディポット直しのご案内を申し上げます。「ディポットについてはご自身で直してください。芝を持ち上げるのではなくて、周りの芝を寄せて押してください」。マナーについては、メンバーの手で実質的に活動しているエチケットハウス委員会からのお願いを一番のティーグラウンドで申し上げることにしています。

 もちろんルールはきちんと覚えておかなければなりません。
 またここでは、乗用カートは使っていません。これはコース保護の他、お客様といろんなこと話しながらコースを回るという目的もあります。私たちはお客様を歩かせて自分だけ楽をするようなことはできません。
 そして常にお客様の前を歩くようにしています。もしお客様の後ろについて歩いていたら、お客様がクラブを取るときに歩いて戻らなければなりません。それを不愉快に思われるお客様もいるかもしれませんから常に前を歩くのですが、あまり早過ぎてもまたダメです。ある程度の距離を保つよう注意して歩かなければなりません。

 進行については、九ホールを二時間一〇分で回っていただくのが一番流れの良い早さだと思っています。
 ゴルフはリズムが大切なゲームなので、ティーショットを打ってから次を打つまでにあまりにも時間があくと二打目がチョロることもあります。また時間がかかり過ぎると、日没が早いときには後ろの組が回れなくなってしまいます。前のパーティーとの間隔をあけないようにし、お客様を誘導します。

 これらのことがすべてできて、キャディとしての存在価値があるのです。そうでなければキャディフィー四六〇〇円をもらう資格はありません。
 そのためには、私たちはプロにならなければなりませんし。プロとしての自信を持つ必要があります。ただの道具運びではないんです。「キャディさんがいて良かった」と思っていただかなければなりません。


b.pnga.png

▲ ページトップへ

『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

「人間力」エピソード101本

人間力とは、「大人になること」と見つけたり