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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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ゴルフ場
心からのサービスが「客の心」の琴線に触れる

千葉夷隅ゴルフクラブ


K総支配人の話
ボーイスカウトには大学の時にリーダーとして参加しました。ボーイスカウトの精神は「良き公民をつくる青少年プログラム」なのです。
 野外生活や掃除、交通整理を通して社会に奉仕する姿勢を学び、上級者は下級者の面倒を自然に見るように習慣づけられるのです。自治権を持って主体的に運営をしていく組織を運営する組織訓練なんですね。その中に班制度もありました。
 オープン当時、この周辺には農林系の産業しかなく、スタッフが組織立った行動に慣れていないし、かといっていつまでたっても一部幹部の判断を下に押し付けているという状態ではよくないと感じましたので、ボーイスカウトの組織運営導入によりスタッフを組織人として育成しようと思ったんです。
 私は性善説を信じているので、各人が全体性を意識しながら自分で仕事を考えてやっていく組織風土をつくりたいかったですね。

*「機能的サービス」 徹底的に客の声を吸い上げ情報を共有

 お客様の心を知るために、機能的にできることはきちんと準備しておく必要があります。「どういうお客様が来るのか、コンペなのか接待なのか」については朝礼で伝達して情報共有しておきます。これにより、フロントにもレストランにもある程度お客様の心理が先にわかります。
 われわれは顧客管理のために、レストランでは「お好み帳」をつくり、来場回数が年間二四回以上の方や、コンペ・キーマンを「ロイヤルカスタマー」としてリストアップし、各人のお好みを細かく記入しています。
 例えば「コーヒーはストレートで飲む」とか、「お新香はいらない」とか、「蕎麦はネギを多めにする」などを把握し、個人個人のお客様へ対応できるようにしています。
 同じような顧客リストはキャディも持っていて、お客様の性格やプレースタイル、好きな食べ物についてまで記入ををしています。これによって、誰が対応したとても同じようにそのお客様への細かなサービスができるようになっているのです。これは、LANを引いてパソコンの画面で確認できるようにしています。

 社員は全員、セブンス・カード(seventh card)というカードを何枚か持っています。
 これは、社員の間同士で、「この人はいいサービスをしているな」と思ったときに相手に手渡すカードです。枚数を一番多くもらった人は「セブンス・カード賞」をもらえるのですが、この賞は同時に一番多くカードを渡した人にもあげることになっています。なぜなら、人の仕事を見ていない人や、「この人はいい仕事をしているな」という気づきのない人はカードを渡すことができないからです。
 これは、ディズニーランドのケースをみてK総支配人が取り入れたものですが、ディズニーランドは管理側がスタッフに一方的に渡すものであり、当社の場合はお互いが渡し合うというところに違いがあるようです。

 お客様の声は、「アンケート」と「情報カード」で吸い上げます。アンケートはキャディの目の前でつけていただくので、なかなか本音は書けないかもしれません。
 そこで、お客様の本音は情報カードで吸い上げます。例えばキャディについての文句は、上がってきた後、昼食のレストランで話すものです。また、キャディは必ず「お食事はいかがでしたか」と聞きますので、「レストランでコーヒーを頼んだんだけれど出てこなかった」とか、「注文したけど僕だけ出てくるのが遅くてね」などという話はキャディが聞いています。
 情報カードからは、お褒めの言葉も悪いことも出てくるわけですが、レストランでのことなどはキャディが、コース売店やコースから上がってきた段階で報告して、お客様が帰られる前に、お詫びを申し上げたり、場合によっては昼食料金をサービスさせていただいたりしています。
 対応を次回に持ち越さないことが肝心です。各セクションからは、月にだいたい六〇〇~七〇〇枚の情報カードが上がってきます。最終的に総支配人の加藤が見てから、各セクションに戻し小集団活動の素材にします。

*「情緒的サービス」 従業員自身の「気づき」の開発

 お客様に喜んでいただけたケースや、「感動した」という声については、月一回「まごころ賞」を全体朝礼で渡しています。
 賞金は千円でしかないのですが、それよりもみんなの前で褒められることが一番やる気につながるようです。また、それによって方針が全員に共有されるというメリットもあると思います。
 お客様の満足は、コースのレイアウトやコンディションと、お客様の琴線に触れるスタッフの対応の中での満足感が必要だと思います。
 こうした、琴線に触れるサービスは、スタッフが仕事を「やらされている」と感じていると、達成できないと思います。自らが「こうやろうと思ってでやっている」というサービスでなければならないでしょう。
 例えばチームワーク賞として受賞したケースとして、お腹の具合いのよくないお客様がプレーをされていて、ラウンドの途中でキャディに「昼食でお粥ができないかな」と漏らしたことがありました。
 お粥はレストランのメニューにはありませんし、つくるのに時間がかかるものです。昼食は皆さん一定の時間に取りますから、遅らせるわけにはいきません。
 このキャディはラウンドの途中でコース売店からキャディマスター室に連絡をし、「お粥のご要望がある」と伝えました。マスター室はレストランに連絡をし、レストランは厨房へ連絡。お客様がコースから上がってきたときには、すぐにお粥をお出しできました。

 さっとお粥が運ばれてきたのを見てお客様は驚いたようで、後になって「これはマニュアルになっているんですか」と尋ねられました。
 しかし、これはマニュアルで対応できることではありません。まず、「この人のためにお粥を準備しなければ」という一人のキャディの気づきかありました。そしてその情報を各セクションでストップせずに連携して厨房まで流し、かつメニューにない料理をつくるという努力があって、このサービスが提供できたわけです。

 また、社員全員が交流分析(TA=トランザクショナル・アナリシス)のテストを受けています。これにより、社員は自分の心の働きを知ることができます。
 「自分の心の状態」と、「相手の心の状態」を考えることで、お客様への接し方も自然に冷静になっていきますし、また自分自身の良いところは伸ばし、悪い部分を改善して、性格を変えていく努力にもつながります。このようにして人間関係も良い方向に進めていくことができます。
 小集団活動や仕事の場などで、社員同士が「今のはちょっと威圧的態度が強すぎたんじゃないですか」と言って場の雰囲気をコントロールするのは、普通のことになっています。
 これを理解すると、「自分自身が今どういう心の状態であるか」を第三者的に冷静に判断できます。それを知っているのと、知らずに行動するのとでは、行動の結果がまったく違ってくるでしょう。
 また相手の気持ちについてもよく考えるようになりますから「今はお客様ははしゃいでいる子供のような気持ちになっているのだな、私も一緒になって喜ぼう」という気になれば、その気持ちから発した「ナイスショット!」の一言だけでも、お客様に深い満足を与えることができるのです。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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