HOME > 「慮る力」単行本 > 高級ホテル ザ・リッツ・カールトン大阪.3

「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

「慮る力」目次はじめにヘイコンサル安全運転中央研修所|プロの心構え|相手の心を知る|プロの仕事をする

N自動車販売富士ゼロックス|T社|KO百貨店|ジャーナリスト|デルコンピュータ|和幸|N住宅産業|再就職支援会社
|パイオニア|日本航空|公益社|ザ・リッツ・カールトン大阪|千葉夷隅ゴルフクラブ|ザ・クラブ|医師|千宗室

高級ホテル
顧客満足を実現するための最高のビジネスモデル

ザ・リッツ・カールトン大阪


世界中の社員がサービスに関する理念を共有

「クレド」というのは、「ここに書いてあることをやろうではないか」という心構えです。
 ところが、クレドを見たときに、「うん、そのとうりだ」と思う人と、「どうしてこんなことをやらなきゃいけないんだ」と考える人がいるのです。
 後者の人がホテルの従業員になった場合はサービスが慇懃無礼になってしまいます。世の中にはクレドのような考え方を抵抗なく受け入れることができる人と、そうでない人の二種類の人がいるのでしょう。
 われわれは、いつもお客様から喜ばれるような適性を持っている人たちと仕事をしたいと思っています。これは「向き不向き」です。知識やテクニックは、時間をかければ身につけることができますが、この向き不向きについてはどうすることもできません。
 ですからわれわれはリッツ・カールトンの仲間になることができる人を見出す適性テストを行っています。最低限度の価値観を共有している人を採用しています。
 お客様にご満足いただけることも、反対にクレームをつけられることも、ホテルの場合はすべて従業員の問題なのです。そのように適正のある人を採用したとしても、放っておくとモラルが下がってしまうこともあります。その大きな原因は、職場と上司、同僚の有り様です。環境が良くないとモラールは下がるわけです。
 ゆえにお客様に喜んでいただくには、従業員が誇りを持って働ける環境をつくる必要があります。ですから従業員満足度にも注意せざるを得ないのです。

 クレドやベーシックは何回か改訂していて、今も進化の途中にあります。しかし少なくとも、このクレドを五〇〇人の社員が共有していて、「われわれがどういう方向に向かっているのか、何を大事にしようとしているのか」を共有しています。
 他の会社では、マネージャーによって言うことが違うかもしれませんが、われわれは、この方向で全員が一致しています。社長も調理場も毎日クレドに基づいた議論をしています。
 世界中のリッツ・カールトンホテルすべてに、本社から毎日「ベーシックのこの部分について議論するよう」にという指示が来て、ミーティング中にひつこく「この項目を徹底するにはどうすればよいか」を議論しています。
 何日かたてばまた同じ項目が回ってくるわけですが、その間にはまた新しい問題や解決策が思い浮かぶわけで、この継続性が重要なのだと思います。
 現在の売上高は一二〇億円、稼働率は最初六〇%台だったものが順調に伸びて去年は八六%になっています。単価が高くて稼働率も高いので、確実なプラスをもたらしてくれています。これは、クレドに書かれていることを着実にやっている成果だと私は思っています。

宿泊部 ベル・パーソン
Oさん

 ベル・パーソンのOさんは、TBSドラマの「ホテル」に出てくる、高嶋政伸が演じる若くて元気な熱血ホテルマン「赤川一平」にそっくりな、そう、あの眉毛が濃くて面長の顔の上下をもう少し縮めた感じの、サービスマインドにあふれた若者です。
 九七年四月から四年間、近くの外資系ホテルに勤務。ベルパーソンをやっていましたが、上司の移動に伴い二年前にリッツ・カールトンに移籍。最初の一年間は、ホテル自前のセキュリティーチームに配属され、けがや病気への対応を行いました。
 リッツ・カールトンでは、防災センターを他社に委託せず九名のスタッフを配置、自前で運営し二四時間態勢で当たっているので、スタッフは安心して働くことができるそうです。

*客の願望やニーズを先読みしてお応えする

 ベルパーソンは正面玄関を入って一番近いところにデスクがあり、常にロビーに待機しています。お客様をお迎えしたドアマンから引き継いで部屋までご案内をするのが、ベルパーソンの基本的な仕事です。
 一番大事なことは、ありきたりですけれど、「お客様にいかにご満足していただくか」です。そのためには、まず最初に「お客様が何を求めてここに来ていらっしゃるのか」を知らないとサービスが成り立ちません。

 いろんなお客様がいらっしゃいます。
 まず、ビジネスの出張でいらっしゃっている方。こういうお客様にはスピードが一番大切です。
 お客様は、いろいろなヒントをお持ちです。フロントにお連れする時に「どちら様ですか」とお尋ねし、「○○会社の○○です」と答えられる方は、まずお仕事でいらっしゃった方です。また、お荷物を持った感覚でパソコンが入っていればまず仕事をされる方です。
 ノートパソコンをお持ちの場合は、「モジュラーコードはお持ちですか」とか、外国でパソコンを買われた方の場合、変換プラグが必要なこともありますので、そういったご必要がないかも、お尋ねします。
 早いお時間にチェックインされている方に対しては、「今日のお仕事は終わりですか」とお尋ねすることもありますが、チェックインだけされて、すぐ仕事に出られる方は早歩きになっていらっしゃいますからだいたいわかります。そのような場合は、「お急ぎでしたらお荷物をお部屋にお運び申し上げますが」と申し上げます。
 「いや、今日は移動日で仕事は明日からなんだよ」とおっしゃる方でも、お部屋でプレゼンテーションの資料をつくったりされる方もいらっしゃいますから、そういった時は「パソコンの電源はお持ちですか」というふうに話を広げます。
 また意外に多いのが携帯電話の充電が必要になるお客様で、「急速充電器をどこで売っていますか」などというお尋ねがあります。コンシェルジュの方で、主要各社の充電器は取り揃えていますのでお貸し出しできます。
 また、ズボンプレッサーのお貸し出しや、ランドリーをご希望の方は「最速一時間で仕上がりますよ」とお勧めします。靴磨きについては、われわれベルパーソンがやっていまして、足元を拝見してお奨めする場合もあります。今日も三足ほど磨いてまいりました。

 ご家族でお休みでご旅行にいらっしゃっているお客様の他に、女性同士でいらっしゃっている場合は、当社でご用意しているレディースパッケージのお客様がほとんどです。
 このパッケージは、お部屋でのご夕食かマッサージを選択することができますし、ワインやフルーツがついていてご満足度が高くたいへんご好評です。
 われわれは、フロントから半券をもらってお部屋にご案内するのですが、その半券にはお客様のお名前、部屋番号、それからパッケージの記号が書いてあります。ですから、レディースパッケージの場合は、ホテルに入られた第一歩から楽しくお過ごしいただけるように、館内すべての説明をこと細かにいたします。
 「こちらがコンシェルジュデスクで、ご滞在中のを探しものなどお手伝いします。お荷物は、ベルキャプテンへお申し付け下さい。こちらがロビーラウンジです……」
 記念写真を撮影したいお客様は、メインロビーの暖炉の前にご案内します。
 当ホテルには二百数十点の絵画がありまして、ちょっとした美術館のようになっています。その中から何点か選んで、案内パンフレットまでつくっているほどです。ですからぶらぶら散歩するだけでも楽しいですし、飾ってある陶器や本なども本物のアンティークで、そういうこともご説明しますとまた喜んでいただけます。もちろんすでに雑誌などでご存じの方も多いので、そういうときは「どの雑誌を御覧になりました」などとお話を広げていきます。


b.pnga.png

▲ ページトップへ

『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

「人間力」エピソード101本

人間力とは、「大人になること」と見つけたり