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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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カーナビ商品開発者

潜在的ユーザーの「本質ニーズ」を掘り起こす法
パイオニア
モーバイルエンタテインメントカンパニー
事業企画部 ナビゲーショングループ
企画課
Tさん
Nさん


*見事な一致でできあがった「商品コンセプト」

 九九年末に企画、マーケティング、技術部門のキックオフ・ミーティングをやったときには、すでに
 スマート系をターゲットにしよう
 操作が簡単な目的別ボタンをリモコンにつけたい
 一日のドライブのシーンを織り込めないだろうか
 といったアイデアがありました。それを検証する作業がこの次のステップになります。
 街頭調査や、ユーザーからのはがきの調査結果などを分析してみると、九八年にCD-ROMの楽ナビを出した時に、中高年層がその使い方の簡単さにパッと反応して飛びついていました。しかし次の年になると、購入者数の年齢構成は上位機種も楽ナビも変わらないところに落ち着いていたんです。
 楽ナビは機能として「簡便性」という方向に進んできたのに、使われ方としては上位機種のサイバーナビと同じような使われ方をしているのがはっきりわかりました。

 そこで考えました。ライフステージは、三つに分けて考えることができる。

  •  独身の時=第一ドライブ期
  •  子供を育ててる時=ファミリーの領域
  •  子供が独立して自分の趣味を復活させようとする時期=第二ドライブ期

 「そうすると、ユーザーの運転に対するかかわり合い方は年齢ではなく、こうしたライフステージによって、違うのではないだろうか」という仮説を立てました。

 そこでこの仮説を検証するために、二〇〇〇年一月に調査会社で、グループインタビューを行いました。
 このグループインタビューでは、「カーナビについてのインタビューであること」は伏せておいて、その人の運転に対するスタンスや、車に対する考え方を聞くようにしました。調査会社の人に対しても、「カーナビに話を結び付けないようにインタビューしてください」と、あらかじめお願いしておきました。
 そうして、「車の運転について何か困ったことはないですか」と尋ねると、いろいろな回答が返ってくるわけです。われわれ企画の人間はそのインタビューを別室で見ていたのですが「ライフステージによって、運転に対する考え方が違う」という仮説と、インタビューの回答はぴったりと重なりました。また、われわれが掘り起こすべきニーズは、「スマート系のファミリーだ」ということにはっきり気がつきました。
 そのために幼児や子供がいる家庭をコア・ターゲットにして、カーナビ自体ではなく、「ドライブの間に何をするか」に重点を移そうと思ったんです。

 グループインタビューをしていてわかったことは、ドライブをする時には、みんなに多様なニーズがあるわけです。渋滞情報は一番気になりますし、子供が車に乗っている状況の中で、到着地までの時間がわからないというのは困ります。トイレにも非常に顕著なニーズがありました。
 また、「子供がバーミヤン(中華ファミリーレストラン)に行きたいと言うんだけど、今運転しているところから見てどこにバーミヤンがあるのかわからなくて困ったよ」という話がグループインタビューの時に出て、みんな小さな子供がいるので「非常によく状況がわかっていい例だな」と思いました。

  •  ドライブに出かけたら、やることは限られています。
  •  まず行き先を設定する
  •  渋滞は避けたい
  •  食事場所を探すために周辺に何があるかを知りたい
  •  そしてさんざん遊んだ後で家までの道のりをカーナビにセットするのは大変だと思っている

 こうしたワンデイ・ドライブをイメージしたとき、「それがすべて、リモコンの目的別ボタンになったらいいな」という、仮設の段階であったダイレクトボタンのイメージに、これが一つのストーリーとして落とし込めたわけです。

 楽ナビは「簡単な操作」という目標があったので、ダイレクトボタンの新設は考えていました。そして、マーケティング的にはスマート系のターゲットであることも仮説としてありました。そしてグループインタビューでは、「ドライブ中には困ったシーンがいっぱいある」。この三つのことがストーリーとしてひとつに繋がって、リモコンのボタンに落とし込まれていったのです。
 グループインタビューでは、われわれ開発者はじっくりとインタビューを受ける人を観察しました。そしてその結果を持ち寄って、それぞれの個人が思うことを六人ほどで、二回話し合いました。
 その結果として、「これはライフステージだよね」ということが浮かび上がってきました。自分の中で仮説として持っていたことが、パズルを組み合わせるようにして商品コンセプトとして出来上がりました。


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