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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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再就職支援会社

相手の心の中にある「生きるための答え」を導き出す
R社
カウンセリング・教育部
チーフカウンセラー
Hさん



 R社は、企業の雇用調整の対象となった人に対する再就職支援を行う会社です。
 人材を送り出す企業は年収の一五~二〇%の手数料を支払って、再就職希望者のサポートを依頼してくるのです。職種は、九九年は大幅な雇用調整を受けてゼネコンが多く、二〇〇〇年は流通やアパレル、百貨店が多かったです。金融関係はまだまだ本格化前夜とか。
 そうした人材を受け入れたR社は、まず専任カウンセラーによるライフプランの設計や、どのような、再就職を希望するか考えるキャリアカウンセリングを行います。それに従い同社は求職先を見つける手伝いも含めた業務を行っています。
 東京の四谷にあるオフィスは非常に明るい内装で、将来に対する不安を抱えた人々の心を癒してくれそうです。
 お話をうかがったHさんは自分自身がかつてリストラの対象となった経験を持つカウンセラーですが、そのじっくりと落ち着いた紳士的な姿や、落ち着いた張りのある声からは、いかにも「この人なら信頼できそうだし相談に乗ってもらえそうだ」と思わせる雰囲気をにじみ出させています。
 ここに来る人たちの多くは、前の会社でしか通用しないスキルしか持たず、自己表現する技術も持っていません。どうすれば彼らにこれから進むべき道を示すことができるのでしょうか。

*「壊れた心の持ち主」の信頼を得るためには

 当社はお客さんのことをクライアントと呼んでいます。この人たちは九割方が、すでに前の会社の籍を離れた人たちであり、残りもまたいずれ辞めるという立場にある方々です。
 私も経験があるのでわかりますが、そういう人たちは友達と飲み会に行って笑っているときも、どこか笑いが引きつった感じがするわけです。「何で俺が?」という気持ちをどこかに重く抱えているのです。
 われわれがクライアントの人を最初に迎えるのはガイダンスの場です。一人ひとりのクライアントに「私はカウンセラーの林ですよろしくお願いします」といって挨拶をします。ガイダンスは、クライアントにとってお見合いの場のようなもので、その場で初めてクライアントは「ああ、この人が私のカウンセラーなんだ」と知るわけです。
 初めて会ったその時からクライアントとカウンセラーの間にはパートナーシップが始まっていますから、私は自分自身の誠実さを表情と笑顔で、あるいはシンプルな言葉でクライアントに伝えます。
 その時は大勢の人がいるし、カウンセラーは一人で何人かのクライアントを担当しているので、ちょっとした会話をする時間しかないからです。でも、「一体ここでどんなサービスをしてくれるんだろうか」という期待と不安を持っているクライアントに対して、「自分はあなたの再就職を支援するんですよ」と強調して伝える必要があるわけです。
 またその時に、「第一回のカウンセリングは何日の何時からにするか」だけをカウンセラーはクライアントと相談します。

 最初の一カ月間はクライアントに対して最低週一回のカウンセリングを行います。カウンセリングルームは個室で、目の逃げ場になるような画を必ず掛けてあります。
 まず、相手の気持ちを解きほぐすために、挨拶をした後、「この会社には社長を初めとして三人のHさんがいますが、私は一番下のぺーペーですので、電話をかける時には必ず"カウンセラーの林をお願いします"と言ってください」などと言ってクライアントの緊張をほぐします。
 われわれとしては、まずその人が「今後どうしたいと思っているのか」を聞き出す必要があります。クライアントは「再就職したい」_と思っていることもあれば、「自分で商売を始めたい」ケースもあるし、また「少しのんびりしたい」という人もいます。まずは彼の望みを聞き出して、その人が喜んでそれを達成することができるよう支援するのがカウンセラーの仕事なのです。
 
 カウンセリングは通常五〇分程度行い、残りの一〇分でカウンセラーは事後記録を取ります。というのも、カウンセリング中はメモを取れないからです。
 クライアントはカウンセラーがメモを取るのを見ていると、「この人はいったい何を書いているんだろう」とだんだん猜疑心にとらわれてしまうからです。だから、カウンセラーはクライアントの話をきちんと覚えておく必要があります。
 やむを得ずメモを取るときは相手に断って、メモパッドを相手に見えるように置いて、しかも相手が読むことができるような大きさの文字で書いたことが見えるようにします。
 最初のうちは、極めてデリケートな接触であり、注意を必要とするのです。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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