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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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料理人
心を込めてつくれば、料理はお客さんの心の中に残る 5

茶懐石料理 和幸
Tさん




 三〇代になるまでは「板前は、はかない仕事だな、料理は出すと消えてしまう。でも画や彫刻は残るじゃないか」と思っていました。しかしある時お客さんに、「今日はおいしかったね、また来ますよ」とおっしゃっていただいた時に思ったんです。「そうか、お客さまの心の中に自分の料理を残すことができるんだ」と。そしてまたやる気になることができたんです。
 これに気がつく前には、胡蝶の女将さんと、「またお客さん料理残している、まあ気にしないけどね」などと話をしていて、「気にしない」と言いながらも「つまらないな」と思っていました。でもお客さんの心の中に残るのであればそれは素晴らしいな、板前はすばらしい仕事だな」と思えるようになったんです。

 仕事というのは何でもそうだと思いますが、自分が「嫌だ嫌だ」と思っていたら、どんな仕事でも嫌になると思います。自分が「この仕事がいいんだ」と思えば。辛くはありません。
 お客さんに一言「今日おいしかったよ、良かったよ」と言っていただけるのが一番うれしいです。その一言でそれまでの苦労がすべて吹っ飛びますよ。そういう意味では職人でありプロフェッショナルでなければならないわけです。
 お客様の信用を失うわけにはいきません。また若い人をしかりながらちゃんと育てて、しかし仕事以外の時には普段はかわいがる優しさを持たなければならない。私も仕事の上では「鬼みたい」と言われていますが、そう心掛けています。

*料理人の心入れが微妙な味わい引き出す

「懐石料理の中には骨が出てこない」というのは、お話しを伺ってはじめて、あっと気がつくことですが、そのくらい懐石には主人が客を気遣う精神が料理の組み立てや出し方自体に反映されているのです。
 料理人が気遣いするべきポイントは
 料理の食べやすさ
 お客さんの好き嫌いを反映させること
 分量は、客の年齢によって加減すること。茶会の目的は濃い茶を飲むことなので、おなかがいっぱいになってしまってはお茶がおいしくありません。
 材料は旬のもので、新鮮なこと。旬の素材の味を活かす味付けを心がけること
 野菜と魚の栄養のバランスを考えながら、味の濃い薄いの組み合わせで献立にリズム感をつくり出すこと
 料理はつくり立てであればあるほどおいしい、熱いものは熱いうちにおいしく食べていただくこと。そのため仲居さんを通した間接的なコミュニケーションが重要
 日本料理は目でも味わうものなので、料理を引き立てる器を使い、また器に合った盛り付けを心得ること

 しかしおそらく、こうしたテクニックだけでは、本当においしい料理を出すことはできないでしょう。その裏に「心を込めてつくる」という料理人の心入れがなければならないというTさんの言葉は重いと思います。
 「お客さんの心の中に自分の料理を残すんだ」というほどの心入れがあって、そこから引き出されてくる微妙な味わいが客を得心させるのではないでしょうか。


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