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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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マンション建築コーディネーター
「心の旅」の終着点=オーナー意識に究極の顧客満足がある 4

T社社長
Kさん


*オーナー意識があるから、調整も難しい

 着工するときにはお祭り的に地鎮祭をやります。更地になってますから、「ここに家が建つんだ、もう一生この更地は見ないんだ」とか、「自分の家はこのあたりかな」と、みなさんいい顔をして写真に収まっておられます。
 工事中も現場見学をしますが、工事している時は狭く見えるので、「こんなに狭くて大丈夫かな」という感想を持たれる方が多いようです。このように建てているプロセスを知ることも、家への愛着や思い入れを持つために大切なことだと思います。
 本人も設計の段階ではたいへん努力するわけですが、家を建てている側も、「こういう凝った設計のものをつくるのはたいへんなんだよ」などとオーナーと話しながらつくっていくので、もの作りが大変なことだということがわかっていただけると思います。
 建築中は総会で月一回現場報告会をやります。コーポラティブハウスは工場でつくられた部品をはめ込むようなものではなく、タイルも現場で職人が一枚一枚貼っていく手作りのものであるということをご理解いただけるでしょう。

 ご夫婦では設計の時によく意見が分かれてケンカされる方がいらっしゃいます。
 非常に典型的で、マンガみたいな話ですが一番多いのが、例えば床材をタイルにするかフローリングにするか迷ったときに、奥さんが
「フローリングは目地があるので、掃除が大変だからタイルが良い」
「お前は一日中家にいるのだから掃除くらいしろよ」
「何言ってるのあなた、主婦業のたいへんさがわかってないわね」
 と応酬が始まるとか、
「一〇〇万円のキッチンが欲しい」
 と奥さんが言うところをご主人が値って、
「いや六〇万円でいい」
「だってキッチンは私の職場なのよ、みんなこのくらいのキッチンは入れているわ」
「他の家のことは知らないよ、うちはうちだ」
「そうよね、うちは他の家に比べると亭主の稼ぎがよくないから」
 と、私の目の前で三時間もの間ケンカをされていて、私はどちらの肩を持つこともできずに三時間黙って座っていたということもあります。

 ニーズは、お客さんから口を開いて話してくれます。われわれはプロとして「こういうのはどうでしょう」とご提案は申し上げますが、オーナーの方には「家は自分の物である」という意識がありますので、言いにくくはないようです。
 むしろオーナーがおっしゃっていることを、現実のプランに落とし込む調整の方が難しいわけです。われわれはプロとして、「今までの経験ではこれが組合員の皆さんにとって一番いい」ということを、原則的にオープンに、包み隠さず正直にお話しする姿勢に徹しています。
 うまいことを言って調整をしようすると、どこかでボロが出て相手の立場に立っていないことがわかってしまい、そこから不信が芽生えてしまいます。「一〇〇%完璧ではないかもしれませんが、ベターなのではないでしょうか」と誠実にお話し申し上げること。また、相手によって話すことを変えずにみんなに同じようにお話しするのがいいと思います。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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