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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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提案型営業
経営解決のためには顧客企業は出費を惜しまない 4

富士ゼロックス 
ゼネラルオフィス・マーケティング・カンパニーK支店 販売2グループ長
Mさん


*高いコスト意識と全方位的な気配りが必要

 Mさんも、顧客企業と自社内を飄々と泳ぎ回っているようにお見受けしました。思い入れの深い粘着気質の人というのは営業マンには向かないのでしょうか。

 提案型営業の場合、まず「顧客企業の抱えている課題」を探り出さなければならないので、相手先の経営課題を探り、情報と意思決定権を持っているキーパーソンの信頼を獲得して何でも話してもらえる関係を構築しなければ仕事が始まりません。ビジネス上の信頼関係は、クレーム処理なども含めた顧客の要望に速やかに答えるという実績を通して培われます。今の世の中、口先だけでは、相手の信頼を獲得できないでしょう。

 相手のニーズを知るためには、一般的に企業が求めている「時間短縮」や「コスト削減」という経済的な価値の重要性を身にしみて理解していなければなりません。
 大企業の中ではコスト意識が非常に希薄な人が見受けられますが、こうしたタイプの人は相手が抱えている問題を感知するアンテナが鈍くなってしまうでしょう。「"武士は食わねど高楊枝"で、みんな見栄を張って生きているのだから、どんな会社でもコスト削減には大きな潜在ニーズがある」と頭の中に刻み込みつつ顧客の話を聞くべきです。
「そうした価値を提供するのが自分たちの仕事である」というMさんたちの価値認識は非常に妥当で有効だと思います。

 Mさんの場合は自動車の営業とは違って、ひとつの商談が大きいし、そのため一顧客企業で担当しなければならな相手も大勢います。
 システムをつくる自社SEのTさんばかりでなく、社内の各担当者や外注先のソフトウェア開発者など多くの人の利害をうまく調整してみんなに満足を与えなければ仕事はうまく行かず、顧客企業に満足を得えられないし、顧客の満足を得るために社内に対してきついプレッシャーをかけてしまうと、いざというときに助けてもらえなくなってしまいます。全方位的な気配りが必要で、そのため利害調整力が必要なのです。
 Mさんの場合、まず最初に全員の譲歩点を設定し、そこに向けて利害関係者から譲歩を引き出すので、相手の情に訴えかけるというよりは、非常に合理的な働きかけをしているのだと思います。ビジネスマンであれば誰でも多少は心当たりがあるでしょうが、取引先に対する交渉は、相手の信頼さえ得ておけばあとは理詰めでも可能です。変に情に訴えかけても相手は動きません。
 ところが、自社の社内というのは全く理屈が通じない世界ですから、上司を味方にしてプロジェクトに対する社内的な認知を得ておくという保険が必要で、多くの人がこうしたテクニックを自然に身につけていると思います。
 従来であれば、こうした保険を取引先に対してもかけておく必要があったのですが、最近では取り引きが近代化されてその必要がなくなり、むしろ組織の論理に守られた社内にだけそれが残っているのだと思います。
 このように正当なロジックが通じない理不尽な世界は不効率なので、ゆくゆくは社内でも論理的な説得が通じる時代がくるでしょうが、現状のところでは、まだまだビジネスマンは社内の組織の論理に対して防衛的に対処する必要があると思います。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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