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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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提案型営業
経営解決のためには顧客企業は出費を惜しまない 1

富士ゼロックス 
ゼネラルオフィス・マーケティング・カンパニーK支店 販売2グループ長
Mさん



 Mさんは八二年入社で、製造業の会社の設計部門の図面処理の生産効率を向上させるためのソリューション(問題解決)を提供するという、専門性の高い営業を行っています。同社は大型プリンターを製造販売していますが、また設計部門などで使われる図面情報処理ソフトウェアについても実績を持っています。
 富士ゼロックス製品の販売だけでは解決できない問題もあるので、先方企業の業務の流れの中で他社製品との組み合わせも含めて解決方法を提案する必要があります。つまり「カスタマーファースト、お客さん第一」という発想が重要になってきます。

 Mさんは、ある半導体製造装置メーカーに対する図面管理出図用ソフトとプリンターを組み合わせた生産性アップのソリューションを提供して、先方から社長賞をもらったことがあるそうです。
 約四億円のビジネスだったというこのケースの場合は、設計後に部品表から仕様書を作り、原価計算のために必要な工程記号や材料情報を図面の上に乗せてプリントアウトする必要があり、また同じ川上からの情報を利用して図面や帳票を出力する業務を一括効率化しました。この実現のためには、その会社がそれまで使っていた、異なったシステム(設計出図管理システムや原価計算のためのデータベース)との間で、データを連携させるアプリケーションを新たにつくる必要がありました。
 これによって、過去の図面をひな形として流用できるようになったこと、今までは図面を探すのに丸一日かかっていた作業が各自の机上にある端末から閲覧できるようになったこと、図面や伝票の自動丁合がかけられるようになったことなどにより、従来は設計を行ってから工程設計や見積りを行い出図手配するまで六日~一五日かかったものが、即日か翌日の間でできるようになりました。
 納期自体を縮められただけでなく、顧客に「見積り、早く頼むね」と言われたときに、「どの工程でどのようにコストを削れるか」の判断をすばやくすることができるようになり、競合他社との競争上非常に有利になります。さらに情報がすべてデジタルで処理できるため、国際的なIT調達などへの方向性も見出すことが出来るでしょう。そう考えると、これは顧客企業にとって非常に大きなプラスをもたらすものであり、社長賞受賞もむべなるかなという感じがします。
 このシステムをつくるに当たっては、最初から最後まで営業のMさんと、技術を担当するSEのTさん(八二年入社)、の二人がタッグを組んで、先方企業の担当者である企画部長さんとの交渉を行ったそうです。

*時間短縮・コスト削減という「価値」を提供するビジネス

 僕は九七年にこの半導体製造装置メーカーを前任者から引き継いだのですが、前任者は売上をつくるために複写機を納入した後、こん包のままで置いていったという状態で、技術管理部長さんに「なんとかしろ」とずいぶん怒られたというマイナスの状況からおつき合いが始まりました。「これは当分買ってもらえそうにないなあ」とあきらめましたね。
 しかし、企画部長さんとは不思議とウマが合いました。ある日「とにかく来てくれ」と言われて、何か相談があるみたいだなと思いながらSEのTと二人で伺ったところからこの案件がスタートしたんです。最初のミーティングで、制御設計をやられていた経験を持つ企画部長さんに業務のフローチャートを見せられて、「とにかくリードタイムがかかりすぎる、こ流れの合理化をのように行う新生産システムをつくりたい」と言われたわけです。
 先方の「やりたい」という気持ちはよくわかったのですが、どう技術的に具現化するかに対する的確な答えがないなと思いました。たぶんこれは当社の商品のラインナップでできるに違いない、でも実績がないわけです。
 正直「困ったな」と思いました。でもこれはこの会社の基幹システムです。川上にあたる設計の工程から、川下の製造の部分へと全体に連鎖しているわけですから、お金は出る。社長のお墨付きもあるらしい。この会社の複写機はほとんど親会社のエレクトロニクスメーカーの製品が主だったのですが、業務に入り込めばそれも取ることができるかもしれません。

 一方、あまり難しいシステムを請け負ってしまうと、外注しているSEの人員がこの仕事にいっぱい取られてしまって、他の仕事に障害が出るかもしれません。さらに、もしかりに基幹システムに失敗したとしたら、いままで築いてきた信用を失い、複写機の商売すらなくなってしまうかもしれないのです。
 それでTに「できるかな」と聞くと「まぁ、なんとか」という返事でした。これは「できる」という意味だというのがわかるくらいの信頼関係はすでにわれわれの間にはありましたので、その可能性はわかりましたが、先方の企画部長がTの肩をたたいて「やるよな」と言ったのには参りました。


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