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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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百貨店
五〇代婦人服への顧客の要求をすべて満たす総合力を発揮

KO百貨店




*商品を揃えるための、情理を尽くした「交渉力」

 百貨店はお客さんに対して、売れる商品を確保し、買いやすい売り場をつくり、感じのいい接客をすることすべてを通して、満足感を与えなければなりません。そのためにいろいろな人がいろいろな角度から仕事をしていますが、しかし最終的に向かっているのはお客さんの求める商品を提供するというゴールです。

 KO百貨店は、ミセス路線を明確に打ち出しているので、ミセスが喜ぶ商品を確保しなければなりません。方法は二つで、メーカーから仕入れるナショナルブランドの売れ筋商品を確保することと、自社の売り場に来るお客さんのニーズを満たすよう自社で企画してメーカーに製造を依頼するオリジナルの商品をつくることです。KO百貨店の婦人服売り場が他の百貨店と比べ、際立っているのは、ターゲットを極端に絞り込んで品揃えを充実していることと、自主開発商品の比率の高さでしょう。面積では自主開発商品との商品の比率が四五対五五なのに売上では五四対四六と逆転しています。
 自社開発商品をつくるためにコンピューターのデータ、売り場の販売員からの情報、お客さんの声を総合して「何をどのように作れば売れるのか」を分析します。ミセスファッションでは、トレンドよりも自分の心地よさが優先されますから、サイズや機能性、値段について、細心の注意を払い季節を細かく分けて、お客さんの好みの最大公約数の商品を提供するように計画を立てます。お客さんのニーズをつかんだら、今度はメーカーと交渉するわけですが、この時もメーカーがどのような利益構造を持っているかを把握し、自分たちが提供できる他社の情報や商品情報、さらには商品を作ったときにどのような売り方をするかというレイアウトの情報まで提供して、メーカーの担当者と交渉します。ある程度相手の利益を下げてもらって、数を売ることでペイするようにしなければポピュラープライスは実現できませんから、交渉力をつけるためにまず「メーカーの担当者の視点でものを考えること」がポイントになっているようです。

 一方、ナショナルブランドの商品を確保するためにも、アパレルメーカーとの交渉力がものをいいます。守友部長によると、その決め手は先方の部長さんの信頼を得ることだそうです。体育会出身のMさんは大変な迫力で話すのですが、「自分を無にする」ことで相手は自分を理解するし、またお互いに下手なウソをつけないない連帯意識を持てると言うます。もちろんそのような精神的な紐帯があったとしても、結果が出なければビジネス上の信頼はもろくも崩壊してしまいますから、ここで言っているのは「自分の言う通りにしてくれれば顧客が反応してくれるはずなので、必ずお互い得になる」と主張し、それを信じてもらえるかどうかという交渉についてなのです。
「自分を無にする」とはどういうことなのでしょうか。相手の利害を理解した上で、「自分は決して相手に損をさせることはない、自分の利益を崩してでも相手の利益を実現しようとしている」というオープンな姿勢を見せることなのだと思います。先にまな板の上に乗ることで、相手の疑いを解消するということでしょう。

 売り場づくりについては、五〇代のミセスが友達と訪れて、自分の居場所として振る舞えるように、棚の位置を低くしたり休憩所をつくるなど、お客さんが「こうしてほしい」と思うことを先取りして売り場づくりに生かしているようです。また接客については、二〇年も婦人服売り場にいるという販売員が三〇名以上おり、ファッションの相談ばかりでなくおいしい昼飯はどこで食べることができるかなどミセスの好みをトータルで受け止めることができるように心配りをしています。三〇〇〇円のコートでも三万円のコートでも、同じようにきちんと説明をして満足感が持てるというアドバイスもミセスの場合重要な要件のようです。

 このようにKO百貨店では、五〇代のミセスが売り場に入れば「ここにくれば自分が欲しいものが必ずある」と感じられるような商品づくり、売り場づくり、そして接客を続けるためにトータルの努力を重ねているのです。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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