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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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自動車セールス 
顧客との望ましい「人間関係」を継続する黄金のセオリー 5

N自動車販売 S店営業課長
Mさん


*客に「意地らしい」と思ってもらえればしめたもの

 ご友人の方をご紹介していただけるというお客さんは決まっています。だいたい飲兵衛のお客さんが多くて、車とか旅行とかマンションといったものは、夜飲みながら友達に相談するというケースが多いようですね。
 「俺、車買おうと思ってるんだけど、君がこの前買ったセフィーロどう?」というわけです。ですから紹介の場合は向こうから「○○君に紹介されたんだけど」という電話がかかってくるのを待つだけです。

「友人の方に宣伝して連れてきてください」とお願いをするわけですが、私は新車の商談が終わる時にカタログを二部、自分の名刺をつけてお渡ししています。商談が終わるとたいていカタログはぼろぼろになってしまうので、新しいカタログを渡すわけです。
 お客さんには「記念に取っておいていただいてもいいですし、よろしければご友人の方に紹介してお渡しください」と申し添えます。そうすると、「ああ、車というのは紹介してあげるものなんだ」とわかってもらえるわけです。そのカタログがどうなっているか私には知るすべはありませんが、少なくともそれが伝わってくれれば十分なのです。
 点検の車を取りに行くときにも、まだ新車であれば「車の調子はどうですか、役に立っていますか」と聞いて、役に立っているようであれば「うれしいな」と言いますし、「あまり乗ってないな」というお答えですと、「せっかく買っていただいたんでぜひ乗ってください、そして周りの人に宣伝してください」とお話しします。
 「車というのは友人に紹介するもんなんだ」と思っておいていただくというのが大切なんです。

 お客さんとのつき合いは、深入りしておつき合いできるお客さんが面白いですよね。
 僕自身も酒好きなので、客先にあがり込んでご馳走になったり、よく一緒においしい店を回ったりしています。今日もさっき電話があったのですが、一緒に株を買っていて、「もうかった、お前の取り分一二万円できたぞ」なんて言ってきてくださるお客さんもいらっしゃいます。一種の運命共同体の感じがして、損をしても得をしても楽しいですよね。一緒に波に揉まれているという感覚が楽しい。
 そういう意味ではお客さんとも対等の関係をつくっていると思います。
 クルマの話からどんどん遠く離れて話ができるお客さんが面白いと思う思います。私はゴルフはしないのですが、お客さんの別荘に子供を連れて遊びにうかがったりもしています。

 お客さんのニーズを知るためには、聞き上手であること、とにかく相手の話を聞くこと。そして警戒心を抱かせないことだと思います。二八の原則といますが、八割相手の人にしゃべっていただくというのでちょうどいいのではないでしょうか。
 相手に信頼感を与えるためには、常に自然に笑えればよいと思っています。笑うことはわりと簡単で、自分が笑ってしまえば周りの人も笑うことができます。また、自分が自然に笑える時には、自分の気持ちのコントロールもできちゃうもんですよね。
 どんなお客さんでも、まず「好きだ」と思うことです。常に相手の表情を見ながら、好きなところを考えるのです。そうすると笑顔は簡単につくれるものです。
 入社一年目から二年目にかけて、最初は笑顔を努力してつくっていました。先輩に「にこにこマン」がいて、「どうすればああいうふうににこにこできるのかな」と思って研究したものです。
 「ニコニコとへらへらは違うな」などとも考えました。へらへらというのは客から見ていて怪しいし、何を考えているのか判らない表情ですよね。
 ニコニコというのは、お客さんから見ると「この人は常に自分のことを見ながらニコニコして、相づちを打っているな」ということです。ニコニコをするということは、お客さんの警戒心を解くことになるのです。

 お客さんの家族構成を知っておくことも重要です。
 もし知らなければ、ある日いきなり「大学生になって免許取った息子がホンダにしたいとどうしてもいうのでね」と取り替えられてしまうでしょう。
 息子さんが高一になるくらいから仲良くなっておいて、オヤジさんとの人間関係もさらに強化しておくわけです。そうすると、オヤジさんの力が強い場合は、「お前が金を払うわけじゃないんだから日産でいいんだ」ということになりますし、「どうしても息子がホンダにしたいというのでね」と折れてしまったお父さんの場合には、代わって私自身が息子さんと話をすればいいんわけです。大体この半々のパターンで乗り切ることができると思います。

 客先に原付に乗ってに行くのも、場所によっては格好悪いと思いますよ。例えば大手町のビジネス街まで行ったりしますからね。
 車検は三日かかるわけですが、三日後の天気がどうなるかはわかりません。雨が降ってきたときは、雨合羽を着て原付に乗って帰りますが、そんな時には「俺って幾つだっけな」とも思います。
 しかし、その姿がお客さんの目に汚らしいと思われない限りは良い方に映っているんだろうなと思うんです。「意地らしい」と思ってもらえればしめたものです。「なぜ車に乗らないのと」聞かれたら、「乗れないんですよ成績が悪くて」と答えます。「あいつは、自分ができる範囲でがんばっているんだな」と思われるように努力をすれば、きっとお客さんの心の中にある効果が広がるのではないかと思うんです。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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