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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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五〇代婦人服への顧客の要求をすべて満たす総合力を発揮

KO百貨店




*仕入先はデータと売上見込の数字で説得する

 商品をつくるアパレルメーカー側の希望は、まず売れ残りのリスクを低減したいし、それから置く場所によって売れる商品もあるので、レイアウトをきちんとやってくれるかどうか、できるだけ長く売って商品の消化率を上げてくれるかなんです。うちのような単独店舗だとロット数が少ないので、大変不利なのです。
 そこでデータ分析力を高めて、売れる商品が企画できる確率を高めなければなりません。われわれバイヤーは販売員と情報交換して、アパレルメーカーさんの作り手の側の視点でものを語ることができるように能力を上げ、信頼関係をつくってきました。
 思った通りの商品をつくるには、どうすればいいか。ニットは、糸の仕込みから入ると半年かかる商品です。ですからスケジュールが一番の問題になります。最初はスケジュールが足りずにサンプル出しが甘くてうまくいかないことがありました。「うちのカラーを出す」ということで、例えばある会社がV首のカーディガンをやっていたので、「じゃあうちは。丸首カーディガンをやりましょう」と色出し、型出しから勉強を始め、その次に商品企画を丸ごとできるようにステップを踏んでやっていきました。
 最初のころ、自分が持っている商品のデータを全部まとめてメーカーさんに持っていって話すと、先方に驚かれましたね。つまりアパレルメーカーは、マーケット情報については疎いのです。それと、他社の商品のことを気にしています。そういう担当者に対して「なぜ御社はこういう商品をつくらないんですか、売れるはずなのに」と提案していったわけです。
 アパレルメーカーさんへの発注の時には、「こういう商品をつくると、これくらい売れます」とはっきりとお話することです。その時に私の場合は、売場のレイアウトを描いて持っていきます。来シーズンの発注を行うときには、すでに売場の構想がある程度できていますから、それを絵にして持っていって、「ここの位置でここまでやります。この什器をつかいますから、無地のセーターを一六色やりましょう」というふうにお話するわけです。そうすると、「わかりました、利益をやや少なく見ても、消化率でリスクヘッジできると思いますので」とアパレルメーカーの人も考えてくれるわけです。
 メーカー側は値下げリスクを最初から見込んだ価格設定にしています。ですから、ここの利益率を下げてもらうことがポイントになります。当初は「消化率を上げるから一〇〇〇円下げてください」などと交渉し、販売する場所や、データの確証に基づいてメーカーさんに納得してもらうようにお願いしてきました。

婦人服第2部 バイヤー
Kさん

 Kさんは平成四年入社の入社一〇年目。すらっと背の高い美人です。婦人服のショップで二年半、京王のファッションビルの専門店で一〇代~三〇代向けの婦人服を四年半、九九年に四階婦人服のセーター売り場に配属。その後、ブラウス売り場で売場の運営に当たる。現在はバイヤーに。

*スタッフのおしゃべりから顧客の志向を引き出す

 お客さんのニーズ情報は、単品管理のデータと、お客さんと接点を持つ販売員からの売場の情報が主なものです。 客層が五〇~六〇代のミセス向けなだけに、販売員の中にはもう既にこの売り場に二〇年以上いる人も少なくありませんし、かというと新人もいます。
 販売員はお客さんから、「去年買った商品が今年はないね」とか「これちょっとサイズが合わないのよ」という声を聞いているわけです。「どう、今日どれがよかった?」と販売員の人に聞くと、おしゃべりしたくなっている販売員はそういう情報を教えてくれます。「今日、どれがよかった」という言葉は、「天気がいいね」と同じように挨拶がわりに交わされる言葉なんです。そうした「これよく売れてるね」という情報を、メモや口伝えでバイヤーやマネージャーに伝えていきます。
 ミセスの場合、体型がポイントです。ラインはミセスの体型に合ったものが喜ばれます。最近は、スレンダーシャツを若い人がよく着ていますが、ミセス向けには若い人のシャツをそのまんま大きくするのではなく、お腹回りにゆとりを持たせて、かつ見た目がスレンダーシャツであるようにつくる必要があります。
 デザインが気に入られて試着をしてみたけれど、「これきついわね」と返されてお買い上げにつながらないことがあります。これは、サイズを検証せずにメーカーから仕入れた時に起こるので、来シーズンは違うサイズのものを入れなければなりません。このように売場では、仮説を持って、それを売場に並べて実行し、検証して修正をすることを常に考えています。
 またセーターは、シルクとカシミヤの組み合わせとか、綿とシルクの混紡とか、季節によって着心地や肌触りをかなり細かく変えています。化学繊維が出始めた時代には「あまりよくない」というイメージがあったので、年配のお客さんにはウールマークとか「天然素材」という表現も非常に喜ばれます。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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