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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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プロの仕事をする.9




リピーターよりもファンをつくる。相手に心からの満足を与え、相手が「ここは必ず自分のニーズを満たしてくれる」「ここは自分の来るべき場所だ」と考えればファンになってくれる

 ファンはこちらが提案する商品やサービスを無条件に受け入れてくれるありがたい存在です。ここにあるのは絶対的な信頼感と言えるかもしれません。
 ファンを獲得するためには、こちらが提供するものを「すべて自分の好みや利益に沿ったものだ」と相手の心に強く意識づける必要があります。そういう人がどんどん増えれば、利益基盤は盤石なものになります。また、そのようなファンの心が離れて行かないようにするために、次々と新手を打つ必要があるでしょう。厳しい競争の中でファンの心をつなぎとめるためには、生半可でない努力が必要なはずです。

相手は知りたい情報を得るために店頭に来る。相手が知りたい情報を得る前に、相手の購買意欲を高めたり、自分自身を相手に気に入ってもらわなければならない

 店頭に来る人が知りたいことは、商品情報と価格です。これは自動車のセールスマンのケースですが、彼の場合はそうした情報を渡す前に、相手の購買意欲を高め、自分自身への信頼感も獲得するようにしているそうです。

自分の意図を相手に悟られないようにしながら、相手の気持ちを徐々に購入に向けていくように誘導する。「相手が買おうと思っているかどうか」がポイント。買うつもりのない人にいくら奨めても無駄

 まったく買うつもりのない冷やかしのお客さんを相手にどんなに頑張っても無意味です。ということは、相手の反応を見ながら「この人はどのくらい買うつもりなのか」を判断し、その気持ちを「何とか購入したい」という方向に増幅してやる必要があります。

相手との関係をコントロールする際、常に相手に「借りがある」と思わせるようにしておく。仕事の流れを通して、相手との間に気持ちのやりとりを行い、安心感を持ってもらうと同時に相手に気持ちの上での貸しをつくるよう努力する。この線を越えて「客に甘え」てはならない。

「相手の心との距離」を計る物差しとして、貸し借りを尺度として使うのは有効でしょう。どんな仕事でもそうなのですが、自分に借りがある相手は自分の頼みごとに対して、「ノー」と言いづらいはずですから、「どうやってそのような有利な関係を数多くつくるか」というのは職業人としての永遠のテーマです。
 貸しをつくる技術に優れている人は、その貸しを帳消しすることで相手との気持ちのやりとりを行い、顧客の信頼をうまく獲得しています。
 客に甘えられるのは、相手が「こいつには借りがあるからな」と思っている範囲の中だけのことです。それを踏みこえると、相手に借りをつくることになりますから、必然的にその借りは返さなければならないことになるでしょう。それが「相手との関係修了」という結果になるという経験をした人は少なくないはずです。愛嬌でカバーできる範囲は知れているのです。

相手がどうしても動じないときには、ゴリ押しすると嫌われてしまう。こちらもそのことは忘れて、しばらくたってからまた押せばよい。相手は根負けする

 時間差攻撃というやつです。いったん「オレは買わない」と決めた人の気持ちを動かすには、大変な努力とコストが必要になってきます。そんなものを払うくらいであれば、他の客の開拓をした方がましです。ただし、見込客を放っておくことができるのは、すでに他にもお客さんをいっぱい抱えているからではあるのですが。

客とのやりとりの中で、「自分の姿が相手の心にどのように受け取られているか」を常に考えて行動する

 ビジネスマンには演技力が必要です。
 みんな、相手に「好ましい」と思ってもらえるなら、どんなことでもやる覚悟は持っているものです。ただしうまく演技できる人はあまりいません。それは「相手の心に自分の行動がどのように受け取られているか」に配慮が行き届いていないからだと思います。
 相手の心の中に映る自分の姿を思い描くことができるようになれば、ビジネスマンのとしての演技力は向上し、労せずして相手の信頼を獲得できて、仕事のパフォーマンスも上がるでしょう。

いったん確固たる信頼関係ができてしまえば、こちらのペースで物事を進めることができる

 顧客との間の心の架け橋の便利なところは、一度相手の心をがっちりつかんでしまえば、他の相手であれば「嫌だな」と思うことや、煩わしく思うようなことでも許してもらえるということです。
 すなわち、「顧客に甘えられる関係」ができるわけです。相手の都合を考えずに電話をしても、売り込みをしても、多少のことでは見限られません。その結果、効率的に仕事を進めることができるので、成績は向上するわけです。

相手との間の信頼関係が強ければ、相手はその信頼感を自分の信頼する友人たち伝えてくれる。一人のいいお客さんは百万人のセールスマンに匹敵する

 お客さんから紹介を受ける場合は、相手の適性に依存しているので、どんなお客さんでも友達に紹介してくれるというわけではありませんが、紹介をしてくれる人であれば自分の友人みんなに伝えてくれるはずです。
 なぜなら、そのお客さんはこちらを評価してくれているので、「自分の貴重な信頼関係を他人に広げよう」とする基本的に親切な人だからです。そういう人は人一倍信頼できる友人を大切にする人ですから、その気持ちにこたえて注意深く振る舞いつつ、新規顧客獲得に利用するとよいでしょう。

 マルチ商法について付言しますが、彼らは利益動機の他に、勧誘員に「よい商品なのだから人に勧めよう」という動機づけも行っています。しかし、紹介者した人間が利益を得るという点で客観性に根本的な問題があるので、これは純粋に相手の利益を慮っていることにはならないと思います。
 マルチ商法は、ネットワークの隙間を巧みについて勢力を伸ばしていますが、商品の機能と比較して法外に高い値段が取れるのは、自分が今まで築いた信頼関係をお金に換えているからであり、マルチ商法の胴元はそこから収奪しているのだ、という意識をはっきり持つべきです。楽して儲けることよりも、信頼できる仲間のネットワークを保ち続けることの方が、よほど人生を充実させてくれるはずです。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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