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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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自動車セールス 
顧客との望ましい「人間関係」を継続する黄金のセオリー 3

N自動車販売 S店営業課長
Mさん


*顧客接点のチャンスを最大に活かす名人芸

 私が一番やってるのは代替えのセールスですが、自分が売ったお客さんでもアフタサービスをしっかりやっていなければ絶対に次を買っていただくことはできません。
 法定点検は一年ですが、当社では一カ月目と半年は無料点検をすることにしています。これは、車の状態をチェックするということと、整備・車検がガソリンスタンドなどに流れていくのを防ぐという目的もあります。しかしそれより重要なのは、お客さんへのご機嫌伺いが、次の商談を進めるきっかけになるということでしょう。
 私の場合、点検も整備も車検も修理も、必ず私自身がお客さんの所にまで車を取りに行きます。一日三台、これはかなりきついですよ。朝三台取りに行って夕方三台戻しに行くわけです。この営業所の営業は半径約七キロの範囲ですから、私は原付を三台持っていまして、まず原付で取りに行って、原付は置いて車で戻ってくるわけです。その繰り返し。たいへん手間がかかりますが、ここが一番のポイントではないかと思うのです。
 つまり、お客さんが修理を頼んだときに自分が会いに行くのが重要なのです。それと私は遅刻をしないように時間を必ず守るようにしています。もしサービスマンに取りに行ってもらうと、感謝を受けるのはサービスマンだし、サービスマンが時間を守らないとお客さんのイメージはマイナスになってしまいます。

 すでに車を売った人とは人間関係ができているわけで、それを良好に続けることが大切です。お客さんから見て、「あいつは良くやってるし、世話になっているな」と思っていただかないといけません。
 私は、営業マンとお客さんにはいつも「貸し借りの関係」があると思っています。そしてそのバランスは、必ず営業マンが貸しているほうが多くなければなりません。ですから、まず新車を買ってもらうときにも、お客さに「借りがある」という感情をつくらなければなりません。
 値引きについても、会社がやっている商売ですから条件にはある程度ラインがあるわけです。「これ以上はやってあげたくてもできない」ということもあります。しかし、お客さんには私ができる範囲で、「いい買い物をした」と思っていただかなければ貸しをつくったことにはならないわけです。むしろ、お客さんの方に「こちらが妥協した」と思わせてしまうと、スタート地点でこちらが借りたことになってしまいますから、その後のいいおつき合いができないわけです。
 ですから、値引きの時に最初からいきなり、「ほんとにこれで、いっぱいなんですよ」とクロージングすると、「まあ、しょうがないな」と思わせてしまいます。そうではなくて、「ここまでしかできないんですよ」と一回納得していただいて、するとお客さんはたいてい「五万円くらい何とかならないの?」と聞いてきますから、一回はそこで譲歩するようにします。
 「二万円がいっぱいですね。これは普通よりかなり頑張ったんですよ」と、必ず一言言います。それを言うのと言わないのでお客さんの「借りができたと」いう印象がまったく違ってきます。言わなければ、お客さんとしては借りができたことがわからないわけですから。嫌らしい言い方をするのではなく、「これは特別な二万円の値引きですから、右手と左手に友人の方を連れてきてくださいね」という感じでしょうか。
 このあたりは、気持ちのやりとりをしているわけです。
 納車までには、車庫証明や税金などを納める諸費用として四〇万円くらい集金しなければならず、お客さんのお宅に三回くらい伺うことになります。この時にも絶対に時間に遅れてはなりません。お客さんに借りをつくることになってしまうからです。逆にお客さんが時間に遅れたり、「書類をなくしちゃった」とか、「忘れちゃった、申しわけないね」と言われるのは私にとっては楽しみです。なぜなら、それによって人間関係を深めていけるからです。「全然心配ないですよ、僕の方で動いてすぐなんとかします。そのかわり協力してくださいね」と、安心感を持っていただくのと同時に借りをつくることができるわけです。
 納車の時も、「経費が厳しいのでガソリンを五~一〇リットルしか入れられないのですが、客先でそれについて、「ガソリンがちょっとしか入っていませんので、すぐスタンドに行ってください」などと言ったのでは、「なんだケチだなあ」と思われるだけです。そうではなくて「ガソリン、気持ちだけ入れておきました」と言うと、「そうか、気を遣ってよけいに入れてくれたんだ」と思っていただけます。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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