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「慮る力」単行本 人間力とは慮る力

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自動車の運転における「慮る力」3

安全運転中央研修所研修部 総括代表教官 Tさん


*心の動きはコントロールすることができる

 運転の技能でも、並のうまいレベルにはみんな到達できるでしょう。しかし、それ以上の腕前を求めるとなると、心の領域に入らなければ難しいと思います。白バイ訓練をやっていた時に、私は小柄なので、教官として教えに行くと生徒全員が「こんな小さい人に白バイの運転ができるのかな」と思っていることが態度で私に伝わってくるんです。
 しかし気持ちを集中させ、心の力を使うことで、重さ二六〇キロの白バイを楽々と引き起こすことができますし、初めて走るコースでも、いかにも走り慣れている人よりも早く確実に走りこなすことができるというが私の経験です。そう考えると、みなさん心を使う部分が退化してしまっているような気がしますよ。

 「心の向け方次第」だと思うんです。
 この運転センターに講習を受けに来る高校の先生などで、本当は「二輪車は危ない、高校生には必要はない」と思いつつ、仕方なしにやってくるような人もいます。しかしそういう人に限って、二輪車に乗った経験がないのです。そこで、イチから教えてやっと乗れるようになったころに、モトクロスのトライアルのコースに連れていって、「この山に登りなさい」と言いますと、先生方は「自分にはこんな山に登るなんて無理だ」と最初は思うみたいです。
 そこで最初は低いところから、「あなたはできます」と言ってトライしてもらい、最初は半信半疑でも実際に言われた通りにやって山がクリアできれば、教官に対する信頼感が生まれてきます。そして段階的に目標を引き上げていくと、自分でも「ああ、できるんだ、ここまで来たんだから次もやってみよう」とだんだんのめり込み、ついには一番高い山に向かう時がやってきます。その時は「よしっ、やるぞ」という気持ちになっています。これは完全に目標に心が向いている状態になっているわけです。
 最後の晩には、打ち上げをやりますが、最初は嫌がっていた高校の先生たちが、自分ができないことがだんだんできるようになるに従って面白味を感じてきて、「てどうして生徒たちが二輪車に興味を持つのかが、ココに来てわかりました、授業は退屈そうに聞いているのにバイクの話なるとみんな生き生きとしてますが、その理由がわかりました」と話されます。
 本の中にはない、身体を使ってはじめてわかる達成感を感じ取っていただけるからだと思います。そういう達成の喜びは、幾つになってもあるものです。
「積極性」とか「前向きに考える」などという表現は、すべて心の使い方に関することだと思います。目標さえあればやり方はいくらでもあるのです。逆に、「何か面白いことないかな」と言っている人は、目標がないから前向きに生きることができないのではないでしょうか。

 リラックスして集中すれば、観察力が上がり感受性が高くなります。そうすると、運転している時に道路環境がよく見えるようになりますし、普段であれば対人関係を良くすることができるでしょう。ですから私は「心をもっと対象に向けよう」と思っているんです。
 緊張している状態というのは、心に余裕がないのですが、それは仕事上の失敗や他人の言葉にとらわれている状態だと思います、緊張していると視野が狭くなってしまい物事がうまくいきません。
 心の動きはコントロールすることができるのです。急いでいるときはつまずきやすくなりますし、何かを蹴飛ばしてしまいます。それは、「向こうに行く」という一つのことにとらわれすぎていて、緊張している状態だからでしょう。

 常に自分の心の状態を第三者的にチェックする癖があるといいと思います。そのためには、どんな時にもひと呼吸おいて、まず確認することです。不安だったり、怒りがあったり、時間がなかったりするときに、人はそれにとらわれてしまいます。何かを言われてすぐ腹が立ってケンカをしてしまう人は、相手の気持ちを受け入れる余裕がない人なのです。しかし、ひと呼吸おくことで、自分に気がつけば、相手を見て「バカなヤツがいるな」と受け流すことができるでしょう。

*目でものを見るのでなく、「心の力」を使って見る

 運転は単純な操作ではなくて、ドライバーの非常に高度な状況判断を伴った行動でなのです。それは「どんなに簡単に見える仕事でも、追及しようと思えば極まりがない、向上心を持って仕事に取り組めばどんどん良くすることができる」ことにつながると思います。
 そしてそのドライバーの意識の中では、
 まず道路上で自分と車との間にどのような関係があるか。「道路上では助け合い譲り合って進んでいく」ものであるという認識がなければなりません。自己中心的運転では迷惑だし、自分自身が危険にあう確率も高くなるでしょう。
 次に、相手の車の微妙な動きを検知してドライバーの心を知る必要があります。重要なことは、「相手の心の先読みをする」ことで、それができればもっと仕事が楽にできるはずだと考えている人は少なくないでしょう。しかし、人は元々相手の心を読み取る能力を備えているはずなのです。
 そしてまた、相手の気持ちを読み取るためには、自分自身の気持ちを集中しなければなりません。「自分の心に気を配る」のがセルフ・コントロールです。ここで重要なことは、自分の車の置かれている周囲の状況に十分注意を払うためには、Tさんは「目でものを見るのでなく、心で見る」という言い方をしていますが、意識を集中するために「自分の心の力を使う」ということです。
 人には身体があって、その中に心があるわけですが、その心の中には意識できる部分と、できない部分があるようです。ここでTさんが言っている」心の力」というのは、人間には本人が意識している部分とは違うところから出てくるパワーがあるという意味でしょう。それが何なのかについては、いろいろな説明の仕方をしている人がいますが、私はその実体を追求しようとは思いません。しかしどうやら「人の心には、意識できないけれどもそれを日常的に使っていて、非常に役に立っている部分もあるのだ」ということは心に留めておいても良いかもしれません。
 いずれにしても「自分の心を意識をすること」が、行動する時には重要なのです。
 こうして、周りの車のドライバーや歩行者の気持ちを予見しながら、ドライバーは自分の車を走らせるか、曲がるか、止まるかを判断し、運転操作に反映させていくのが運転者の意識の中の構造なのです。これはまさに、ヘイコンサルティングのEQモデルとぴったり符号しているいることにお気づきいただけるのではないでしょうか。


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『慮る力』 お断り この本の目的は、純粋に「ビジネスマンの意識」について論じたものであり、いかなる商品・サービスの購入、団体への加入をも推奨するものではありません。また本書は、あらゆる商品・サービスの宣伝、宗教・政治など諸団体の活動とはまったく無関係です。この本は2001年に取材したものであり、内容が古くなっている可能性があります。

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