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『慮る力』講演会  質疑応答

「無」の境地に近づくには


岡本 それと仕事をする上で、「無」の境地に近づくためにはどうすればいいかっていうことなんですけれど、これはいくつかステップがあると思うんです。まず、運転の話を思い出していただきたいんですけど、やっぱりハンドルとか、ブレーキとかの操作をまず身につけないとそっちに気が取られちゃって、相手の車に心を向けられないというわけですね。ということは仕事の上では、基本動作や知識をしっかりと身に付けることが前提なわけです。
 で、そのときに気持ちを相手に向けて、相手の心に意思を集中するということができれば、相手の心に近づくことができます。それからその先に相手の心の向こう側に、世の中すべての人がつながっていることを考えれば、想像してみれば、もっとどんどん自分が小さくなっていって、世の中の方が今度は大きく見えてくるんです。そういう中で相手を満足させるのが仕事なんだったらば、私利私欲にとらわれてもしょうがないんじゃないかって気持ちにもなってきます。

 もうひとつ必要なのが向上心を持つことです。「もっといい仕事がしたいんだ」というふうに思うこと。「もっと多くの人を満足させたいんだ、もっと人に満足してもらいたいんだ」と思うこと。

 それから楽しく仕事をするということも、「無」の境地に近づくことになると思います。「ああ、もう嫌だな、でも「無」に近づかないといけないから、やらなきゃいけない」なんて義務的に思っていたら、やっぱり無理です。
 そうじゃなくて仕事は楽しいんだ。どうしてかと言ったら、この人に喜んでもらえるから、この人に満足してもらえるからと思えばいいんです。

 それから習慣化するっていうことがあります。そういうふうに人に喜んでもらうということが楽しいんだとか、こういうふうにやるのがいいんだと考えて行動するのを習慣化することがあります。

 最後に周りのことを気にしちゃいけません。例えば病院のこの施設が悪いからこれができないんだとか、上司が駄目だからできないんだとか、そういうふうに考えると駄目ですよね。この条件はもうしょうがないから、それはそれで置いておく、というふうにもうあきらめちゃう。あきらめるところはあきらめると。相手に向かうのは自分自身ですから、そっちの方に集中すればいいということだと思うんです。そういうふうに考えれば仕事をする上で、いってみれば「無」の境地に近づくことができるんじゃないかなと思います。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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