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『慮る力』講演会

心に傷を負っている人びと


 再就職を支援する会社、再就職支援会社というのがありまして、幾つか大手があるんですが、その大手のうちの1つにライト・ウエイステーションという会社がありまして、これはどういう会社かというと、大変不幸なことに会社の雇用調整の対象になった人がそこに行ってカウンセリングと、再就職のサポートを受けられるという会社なんです。大体そこの会社に行ってカウンセリングを受けて平均して4カ月ぐらいで再就職先を決める人が多いということなんです。

 一体そこで何をやっているのかというと、カウンセリングをすることによって、来てもらった人たちに、自信を持って再就職をする目標に突き進む活力を与えるというのが、カウンセラーの仕事なんですね。僕はこの会社のカウンセラーの1人の人にお話を伺ったんです。この人58歳。アパレルメーカーにいた人でして、30年間アパレルメーカーにいたんですけど、リストラされちゃたんです。で、この会社に再就職をしてカウンセラーをやっているという人でして、ですからリストラをされた人の気持ちが非常によくわかっているんです。
 どういうタイプの人かというと、全くさっきの葬儀社の人みたいな感じで、非常に誠実そうな、でもアパレルメーカー出身ですから、ちょっとあか抜けた感じのシルバーグレーの人です。カウンセリングを受けてきた人が「この人なら信頼して、話をしてもいいかなあ」と思うことができる、そういう安心感がある人でした。
 カウンセラーの仕事を伺ったんですが、2つの段階があるらしいんですね。まず最初にカウンセリングを受けに来られた人と会って、1カ月間の間に週に1回ぐらいのペースで1時間カウンセリングをすると。

 そのカウンセリングの内容は、今後その人が何をしたいのか、どうしたいのかということを聞き出して、その人の向かう方向性を一緒になって考えてあげることが第1の仕事です。ここで問題なのは、そういう人たちは会社に見捨てられて心に傷を負っている。世の中の全てに対して疑いの心を持つようになってしまっているんですね。そういう壊れた心の持ち主に、「この人なら本当に信頼して話ができる」というふうに思ってもらわなきゃいけないと。
 信頼を勝ち取ることが仕事になるわけですけれども、もうすでに前の会社を離れていますから、そういう人たちは飲み会に行って、何か冗談を言って誰かが笑ってもつられても笑いが引きつっているという、そういう状況にあるんです。「何でおれがリストラされなきゃいけなかったのか」という気持ちを抱えている人たちなんです。
 カウンセラーはそういうクライアント=お客さんに会ったときにどうするかというと、まず最初に自分自身の誠実さを自分の表情と笑顔で伝える、あるいは真摯なことばで伝えるということをする。とにかく相手の信頼感を得なければならない。相手の気持ちを解きほぐすのが最初ですよね。Ice breakingといいますけれども。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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