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『慮る力』講演会

「構え」があれば相手の心理は読める


 「自分は助け合い、譲り合いながら走っていかないといけないんだ」ということをまず認識した上で、今度は相手のドライバーのことを考えるんです。相手のドライバーの心を読めないと、「この人はこれから道に割り込んで来ようとしているんだな」ということはわからないですよね。
 ドライバーは相手の動きを読むことができるんですよ。どうしてかというと、さっき言ったように車の動きというのは走るか、曲がるか、止まるか、しかないわけですから、よく前を走っている車の鉄の箱の中にいるドライバーの気持ちを読もうと思ったら、相手の動き、つまり車体の微妙な動きを見ていればいいわけですね。

 運転している側というのは、「こっちに行こう」と思ったらまず心が先に動くわけです。そうすると微妙にハンドルがそっちの方向に揺れるんです。
 後ろから走っている人はそれを見て、「この車曲がるな」と思ったら、その後に前の車がウインカーを出したりするわけです。ウインカーを出すよりも、ハンドルを握っている手の方が先に動くんです。そうすると微妙に車が動くわけですね。本人のドライバーの気持ちがハンドルや、アクセルや、ブレーキにつながっているからです。だからうまいドライバーというのはそれを見てて、「この車は曲がろうとしてる」「止まろうとしてる」というのがわかるわけです。
 急いでいる車というのは、今度はハンドルの操作が雑だったり、あるいは、どんどん先に進もうとしたり、せっかちに運転しますからやっぱりわかるわけです。そうすると、そういう車は危ないですから、ドライバーとしてみれば、「ちょっと危ないから後ろにさがっておこうかな」というふうに考えるわけですね。

 事故に遭った人というのは必ず、「思いがけないところで急に曲がってきた」とか、「急に割り込んできた」と言いわけをするわけですけれど、それは相手を見てないということがほとんどなんです。
 つまり、相手に心を向けるようにしていれば、相手がどう動くかは直感的に読むことができるはずなんですね。早く対処すれば、危なそうだなと思って車のスピードを半分に落としておけば、ブレーキは4分の1の距離できくわけですから、事故に遭うことが少なくなるわけです。

 そうすると、もう1つの問題があって、相手のドライバーの心理を読むためには、自分の方に身構えができてないといけないということがあると思うんですね。つまり漫然と見ているだけだとわからないんですよ。
 ただ前を見ているだけではだめで、自分の心が相手に向っているということの方が重要なんです。人は自分に興味のないものというのは、認知しょうとしないわけです。選択的認知という言い方をしますけれど。そんな言い方をしなくったって「心ここにあらざれば、見れども見えず、聞けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」というふうに論語にありますよね。つまり自分の気持ちを集中させないと、相手の気持ちを読むということができないわけです。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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