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『慮る力』講演会

ドライバーは
ものすごく高度な調整をしている


 一番最初に考えたいなと思ったのは、実は自動車の運転なんです。ひたちなかにある安全運転センターという特殊法人の安全運転中央研修所に話を聞きに行ったんですけど。
 僕はペーパードライバーなので、運転するときは非常に怖い思いをするんですが、皆さん、運転される人、運転されない方いらっしゃると思うんですけれど、例えば町の中心の道でラッシュのときなんかは、2車線とか、3車線の道を車がぎゅうぎゅう詰めになって走っているわけです。結局、みんな、てんでんばらばらな方向に車線変更をしていると。
 ところがぶつからないんです。これは考えてみたら、ものすごく高度な調整をドライバー同士の間でしているということではないかと思うんです。どうしてそういうふうに、みんなが自分の行きたい方向にばらばらに走っていくのに、密集して走っていても事故が起こらないんだろうかと考えると、運転にどんどん馴れていくに従って、周りのことをどういうふうに考えればよいかがわかってくるんです。
 ですから自由に、ほかの車とぶつからないだけの距離をとることができるようになるという、馴れといえば馴れなんですけれど、馴れってどういうことなのかなと考えてみたいと思うんです。

 自動車には3つの動きしかないんですね。走る、それから曲がる、止まる、3つしかないんです。アクセルを踏むか、ハンドルを動かすか、ブレーキを踏むか。そうすると、勘違いしている人がいて、「アクセルを踏めたり、ハンドルを動かしたり、ブレーキが踏めれば運転はできるんじゃないだろうか」と思っている人がいるんです。
 つまりこういう人は、運転とは操作することだと思ってるんです。でも、それは間違いなんです。そういうふうに思っている人は、自己中心的な動き方、今の言葉では「ジコチュウ」ですけれど、そういう動きをしてしまう。
 そこで、最初に考えなきゃいけないことは何かというと、ドライバーは自分の目的や立場は何なのかを、まず認識しないといけないと思うんです。


 実は、ドライバーというのは周りの車の動きを見て、「あの車ちょっと割り込みそうだな」と思うと、スピードを落として入れてやったりするわけです。ですから本当は、周囲の車の動きを見て、お互い助け合いをしているわけです。その認識がまずないと困るわけです。つまり、みんながお互い助け合うことによって道の秩序というのは守られていて、みんなが安全に、かつ早く向こうに着くことができるということができているわけです。
 運転が下手な人というのはそれがわかっていないから、自分がほかのドライバーに迷惑をかけているということがわからないんです。道路の上では、助け合って、譲り合って進んでいかないとだめなんです。
 今、自動車の安全性は、どんどん向上しているわけです、道もどんどんよくなって走りやすくなっている。オートマチックができて。昔はギアチェンジを覚えるだけで初心者は大変だったわけですが。
 昔は道が悪いし、ギアチェンジや、いろいろ難しい運転操作をしなきゃいけない上に、運転に集中しなきゃいけなかったというのがあったのに、今は自動車がよくなって、道もよくなっているのに、運転がみんな下手になっていると、いうふうな状況になっているわけです。これは本当に、自己中心的になっているからだということが言えると思うんです。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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