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『慮る力』講演会

人と人との心のつながり
について考えました


 皆さん、初めまして。座って失礼させていただきます。本日はこちらの方で、私が以前書きました『慮る力』という本がありまして、こういうちょっと分厚い本なんですが、この本を読まれた方から、「この本についてのお話を」というご依頼がありましたのでお邪魔した次第です。
 それで『慮る力』という本を、なぜ僕が書こうとしたのかということからお話を申し上げたいと思うんですが、これはビジネス書として書いたわけなんですけれど、どうも最近サービス業などで、人のことを慮る力というのがどんどんなくなってきて、サービスが悪くなってきているような気がするなと考えたわけです。
 昔から日本のサービス業は質が高くて、非常によいものだと思われていたんですが、ここ10年ぐらいの間に急速に質が低下しているんじゃないのかな、と思ったんです。


 どうも何か、街を歩いているとぶつかってくる人が多くなったような気がしますし。例えば、いつごろからそういうふうに悪くなったのかなというふうに思うと、これはバブルが終わったころでしょうか、駅のホームにしゃがんでいる若者を見かけるようになったと思うんです。
 そのころからどうも何かおかしくなっていったような気がするんです。それは気のせいなのかどうなのかはわからないんですが、しかし日本にはまだ質の高い仕事をする、プロフェッショナルと呼ばれる人たちがいるわけで、そういう人たちはどういう仕事をしているだろうか、そこのところを考えてみようと思ったのがこの本を書いたきっかけです。で、人が仕事をするということはどういうことかというと、必ず人に働きかけているわけです。相手があるんです、どんなときにも。
 「わたしはパソコンの上で仕事をしているから関係ないよ」、と思っている人もいるかもしれませんけれど、その先には必ず、だれか人がいるんです。ですから、仕事のプロというのはどういう仕事の仕方をしているかというと、どんな仕事をしていたとしても、その仕事を受け取ってくれる相手の顔を想像しながら仕事をしているということがあると思うんです。
 それを基本に考えて、人と人との関係というのは、どういうふうにして心を通してつながっているのか、自分と他人の関係をどういうふうに考えたらいいのか、というふうなところにまで、話が広がっていったわけなんです。

 で、この本には20人のプロの人たちのインタビューをやっています。それは、自動車のセールスマンから住宅を設計する人から、ホテルとか、スチュワーデスさんとか、ありとあらゆる業種です。管理職の人とか、あるいは商品開発をする人とか、営業マンとか。
 しかし最後に、実は日本には古くから、人のことを考える非常にすばらしいテクニックが、完成された形であるなと思っていまして、私は。それはお茶だと思うんです。ですからお茶の心というのを最後に考えてみればいいんじゃないかと思って、先代の千宗室さんのところにお話を伺いに行きました。
 そんな感じで、人と人との心のつながりについて考えていったということなんです。それについてこれから少しの間、お話を申し上げたいと思います。

人間力とは、「大人になること」と見つけたり

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