仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●自滅





□法廷内 続き

  古茂田は菅の証人尋問を行う。

古茂田「仙波さんは一貫して、愛媛県警には裏金が存在する、と訴えています。あなたはこれを否定しますか」

菅「裏金など何のことかわかりません」

古茂田「では仙波さんはウソをついているのでしょうか」

菅「かもしれませんが」

古茂田「では上司のあなたは、ウソをついている仙波さんを、なぜ信用失墜行為として処分しないのですか。これまで仙波さんが懲罰処分されたことはありますか」

菅「なかったと思います」

古茂田「じゃあ、これから処分するんですか」

菅「……それはないと思います」

傍聴席「ウソをついているのは県警だから処分できないんだろ」

古茂田「あなたは、仙波さんの同期だし、仙波さんの警察官としての優秀さを一番よく知っているのではないですか」

菅「今は彼はやる気のない警察官になってしもたんです。だから昇任できんのです」

古茂田「違うでしょ。仙波さんの昇任が止まっているのは、仙波さんが裏金づくりに手を染めなかったからじゃないんですか」

菅「何度も繰り返していますが、愛媛県警にいわゆる裏金があるとは聞いていません」

傍聴席「ホントのこと言えよ!」

傍聴席「さっき、ウソはつきませんいうて宣誓したやろう」

古茂田「ほんとですか? あなたは、仙波さんが監察の聞き取り調査を受けているとき、監察の取調室に行きませんでしたか。そしてその時、あなたの同期や、あなた自身が裏金を受け取っていたことを話しませんでしたか?」

菅「そんな記憶はありません」

古茂田「裁判長、甲14号証を示します」

  古茂田は仙波がたまたま録音していた
  テープを再生する。

テープ「警察は、ありがたい組織やと思わんか? 白石は署長をやるたびに1000万ずつ餞別をもろて家を2軒建てとる。裏金だけじゃのうて、業者からの餞別もあるけんな。わしなんかまだ、合わせて600万ぐらいや」

  菅は激しく動揺する。

古茂田「これはあなたの声ではありませんか」

菅「わ、私の声ですが、しかし、何も言わずに録音するなんて卑怯だ。私はそんな意味で言ったんじゃない」

古茂田「終わります」

傍聴席「お前もドロボーか」

傍聴席「恥を知れ、恥を!」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。