仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●証言





□法廷内

正岡「仙波さんが指名手配犯を逮捕したことで、人格攻撃も効果がなくなったし、県警が実在を主張していた領収書がニセ物ということもわかったし、警察は旗色が悪いですね」

東「だけど、警察に裏金があったという証明にはなってない。原田さんの証言により、警察に裏金のあることが認定されるかどうかは、この裁判の行方を左右するで」

  古茂田は原田の証人尋問を行う。

古茂田「この法廷に提出されている、愛媛県警だけでなく、全国の警察の裏金づくりの数々の証拠は、すべて本物ですか」

原田「ハイ、私が現役時代に見たものと書式や内容がかなり似ています」

古茂田「ではあなたは、警察の裏金づくりは、多くの県で行われていたと考えておられますか」

原田「ハイ、私は山梨県警や熊本県警にも出向しましたが、同じやり方で裏金が作られていました。
 会計検査院の検査を逃れるための指示は警察庁から担当者が出張してきてやっていたと思います。こうしたことから考えて、裏金づくりは全国の警察で行われているとみて間違いないでしょう」

古茂田「そうしたなかで、仙波さんのように、ひとりだけ裏金づくりを拒み、現職で告発するのはたいへんなことではありませんか?」

原田「ふつうならつぶされてしまいます。でも仙波さんはまだ頑張ってます。なぜか。それは仙波さんが正しいからです」

  傍聴席から、被告側に対してヤジが飛ぶ。
  被告側の県警はひたすら下を向いて耐える。

傍聴席「税金ドロボー。警察が泥棒やってて、どうするんだよ。

傍聴席「税金を返せ」

正岡(原田を見て)「すごい人ですねえ、はっきり言い切りましたよ」

東「彼にはわかっとるんよ、仙波さんの哀しさが。原田さんも自分の居場所やった警察を告発するときに、同んなじ立場になったからね」

  今井は鈴木県警本部長の証人尋問を行う。

今井「あなたは仙波さんの配置換えについては、まったく関知していなかったと主張していますね」

鈴木「地域課内の課内異動ですから、菅地域課長の権限ですので」

今井「しかし、仙波さんを異動させた「通信司令室企画係」は、この異動発令の当日に、わざわざ新設したポストですね」

鈴木「そうです」

今井「愛媛県警察組織規則によりますと、ポストの新設の決裁権は本部長、つまりあなたの権限とされています。違いますか」

鈴木「そ、それは……おうおうにして規定と運用がずれることはあるものです。本来であれば警務部長の権限にするべきですが、改正するのはたいへんですから……」

今井「なぜ、仙波さんを異動させるポストの新設はかんたんにできるのに、決裁権をあなたから警務部長に移すのはたいへんなんですか?」

  鈴木本部長は沈黙を余儀なくされる。

傍聴席「あんたが仙波さんの異動を指示したんだろ」

傍聴席「お前が泥棒の親分だ。神妙にお縄を頂戴しろ」

  鈴木は傍聴席を睨みつける。

裁判長「証人は前を向いてください」

  傍聴席から爆笑が起きる。鈴木はすごすごと正面に向き直る。

b.pnga.png

この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。