仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●漏洩





□古茂田弁護士事務所 弁護団会議

  仙波、東、今井などが話している。

東「仙波君ようやったなあ、2人目の指名手配犯逮捕や」

古茂田「全然仕事をやる気がない警察官が、勤務時間外に指名手配犯を捕まえられるものかしらね」

今井「まったく、いいタイミングで捕まえてくれたものだ」

仙波「でも、本部長表彰はしてもらえないんですけどね」

古茂田「次の口頭弁論では、元道警の原田さんが、松山に来てくれて、警察の裏金の実在を証言してくれるって」

  みんなの顔に希望が輝くが、仙波だけは浮かない顔をしている。

東「ほんとですか! そりゃあよかった。揺るぎのない裏金の証言だ。ありがたい」

今井「道警にある裏金が、愛媛県警にも同じように存在すると裁判官に印象づけられるかという問題はありますが、証言に信憑性があり、仙波さんの証言とも符合すれば大丈夫でしょう」

東「全国の警察では、あらゆる経費を裏金にしています。つくった裏金は、各県警の幹部に出向している警察官僚や地元採用の署長クラスが横領するだけでなく、警察庁にもかなりの金額が上納されているはずです。そして一部は、首相官邸にも上納されているはずです」

今井「ヤクザとまったく同じ集金システムが、警察の中にあるいうことか。それがこれまでばれんかったとは、いかに警察が閉鎖社会であるとはいえ……」

古茂田「27万人の警察官全員が、多かれ少なかれ裏金づくりに関係している。そして全員口をつぐんでいる。私たちが相手にしているのは、そんな巨大な敵なのね。しかも証拠がない……」

  みんな、困り果てた表情。



□警察庁長官官房長室

テレビ報道「愛媛県警捜査1課の警部の個人用パソコンが、ファイル共有ソフトの暴露ウイルスに感染し、6200人分の個人情報を含む捜査資料が流出しました」

  小林官房長が、受話器を握って怒鳴っている。

小林「……鈴木君、言い訳はいいんだ、言い訳は! なんとか火消ししろ。なにかヤバイ資料は流出してないんだろうな、裏金関係とか。……調査中? 何を寝ぼけたこと言ってるんだ。大至急結果を報告しろ!」



□愛媛県警本部本部長室

捜査1課長「本部長、誠に申し訳ありません」

鈴木「言い訳はいい、言い訳は! いったいなぜ私用のパソコンに捜査資料を入れてたんだ」

捜査1課警部 「すみませんでした。パソコンが支給されないのに、去年から会計の書式がパソコン用に変更されたので、会計書類をつくるために個人でパソコンを買ったんです。そこに捜査資料を入れていて……。(泣きながら)申し訳ありませんでした」

鈴木(白石と顔を見合わせて)「ということは」

白石「捜査費の領収書の控えも……」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。