仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 



 

●指名手配犯逮捕





□愛媛県警本部通信指令室

  手持ちぶさたで自席に座って松山城をずーっと眺めている仙波を、
  中2階の回廊のガラス越しに白石と菅が見下している。
  対角の回廊に後から東と正岡が入ってきて、仙波を見下ろす。

菅(同情的に)「あんな・・・いつまでもつんかな」

  酷薄な目つきで仙波を見詰める白石。

正岡「警察はホントに腐敗しきってますね。彼は日本の警察でただひとりの、正義の人だ」

東「それだけやないで。警察庁に巣くっとる警察官僚どもは、ここにおるような地方採用のノンキャリ警察官たちに裏金をつくらせて、自分たちの私腹を肥やすシステムをつくりあげている。あいつらはただのドロボウや。
 警察に裏金がなければ、彼は今あそこに座っとらんのやけんね」

  東たちの存在に気づいた菅が白石の袖を引いて知らせる。
  白石が、東と目を合わせる。2人の視線の間に火花が散る。
  白石は踵を返して菅と去る。



□松山市内の商店街

  仙波が私服で歩いていると、知り合いの商店主に呼び止められる。

商店主「仙波さん、なんか怪しい男がおるんやけど。こっちこっち」

  あやしい風体の男が、ツバを吐きながらやってくる。
  仙波は、男の跡をしばらくつける。
  男が女子高生をからかうので、仙波は男に話しかける。

仙波「もしもし、警察だが……」

  男は走って逃げ始める。仙波は後を追いかける。
  追いついたところで男はナイフで仙波に切りかかってくる。
  仙波は逮捕術で男を捕まえる。



□市駅前交番

  巡査と仙波が男を取り調べている。

仙波「名前は?」

不審者「坂本二郎」

  仙波は男のジャケットの内側を見る。

仙波「飯田って書いてあるじゃろがあ。本当の名前は?」

不審者「い、……飯田光雄」

仙波「生年月日は」

不審者「1965年3月8日

仙波「ふーん、1965年て、何年だ?」

不審者(答えられない)「……」

仙波「何年だと聞いてるんだよ!」

不審者(目をつぶって)「……ねっ、猫年!」

仙波「猫年なんて干支があるか! ほんとは何年何月生まれなんだ!」

不審者「1970年6月15日」

仙波「全然違うじゃないか」

  署員はパソコンに名前を入力して、男の前歴を洗う。

署員「飯田光雄と……。(慌てて)仙波さん、コイツ三重県警から全国指名手配されとりますよ。えらいこっちゃ」

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。