仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 

●裏金の闇.3





□仙波さんを支える会 講演会会場 講演会の続き

参加者「なるほど、警察には、ひどい人間も多いけど、まともな人もいるということですね。もっと告発者が出てくればいいですね」

東「もちろん警察内部には、仙波さんのように正義心を持っとる人が、数は多くないけれどちゃんとおって、トップに裏金づくりを告発をしようと試みる人もいます。
 警視庁でも、警視総監に密告を行うというケースが時々あって、そういうことを警視庁内部では"紙ヒコーキが飛ぶ"と呼んでいるのだそうです。
 紙ヒコーキが飛んだ場合は、まずだれが飛ばしたのかを洗い出して、隠ぺい工作を行います。警視庁なら警視庁ニュース記者会や七社会といった記者クラブを抑えて外部への流出を防ぐわけです。そのために常日頃から裏金を使って記者たちを懐柔しているわけですから。
 不満分子本人については、懐柔するのは元々ムリなので、内部でいじめや不利な処遇をして、不満分子が結局は哀れな末路をたどるということを周りの職員に印象づけ、再びそのような告発が起きることをけん制するわけです。
 これは仙波さんのケースと全く同じ体質を、警察組織全体が抱えているという証拠に他なりません」

参加者「盗っ人猛々しいとしか言いようがないですねえ。
 しかしなぜ、仙波さんはひとりで闘っとるんですか。労働組合は?」

東「警察には組合はないんですよ。警察官に労働基本権はないいうこと。やけん警察官はばらばらで、上の命令には絶対服従するしかない。仙波君みたいにあくまで筋を通すのは、よほどの信念がないとできないことなんよ」

参加者「それにしても、捜査につかうべき捜査費を署長が横領しとるんやったら、部下が文句を言うのは当然やないんですか」

仙波「警察みたいな組織では、下の者が、金くれ、モノくれ、休みくれ、と主張するのは御法度なんですよ」

東「そういう日本の古い組織文化が、この話の背景にはあるんやね」

参加者「わしらは毎日一生懸命働いとるのに、正義を守るはずの警察がこんな不正をやっとってどうするんぞ。許せんのう」

参加者「子供にどうこの話を伝えたらええんかねえ」

東「じゃあ、改めて仙波君からみなさんに挨拶してもらいましょう」

  仙波は満員の聴衆に向かって話しかける。

仙波「明日私は、愛媛県を訴えます。
 この裁判の目的は、配置転換の取り消しだけでなく、今日東会長がご説明した警察の裏金の存在、すなわち警察が皆さんの税金を横領しているという事実と、鈴木県警本部長の左遷人事への関与、すなわち警察が組織的に裏金づくりの事実を隠そうとしていることを、裁判所に認定させることです。
 古茂田先生によると、この裁判はとても難しいそうです。勝てるかどうかわかりません。しかし、ここにいらっしゃる皆さんのご支援があれば、私はこの裁判を戦い抜けると思います。みなさん本当にありがとうございます」

  仙波は頭を下げる。参加者は喝采する。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。