仙波敏郎愛媛県警巡査部長に聞く「警察裏金告発の行方」

「正義の人」 シナリオ版「仙波敏郎物語」 


●清冽な友情





□県警本部前

  東が自分の車でやってくる。仙波は車に乗り込む。



□松山市内の喫茶店」

  仙波が食事をしている。
  東がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。

仙波「東君は食事はええんか」

東「僕は昼飯は食べん主義でね」

仙波「ほうか、悪いのぅ」

東「かまわんよ。毎日12時に県警の裏口に車で迎えに行ったろわい」

仙波「ええんか、君の家から県警まで10キロ以上あるやろ」

東「なんせ仙波君を支える会の会長やからな。しかし君が昼飯も満足に食べれんのに、県警の幹部連中は裏金で贅沢をしとると思うと、まったく腹がたつのう」

  東はこの送迎を仙波が鉄警に復帰するまで500日間続けた。



□道後の料亭

  小林と県警幹部が会食をしている。

鈴木「この度は私どもの不始末で官房長に大変なご迷惑をおかけ申し上げ、恐れ多くもわざわざ当地にまでご足労をおかけしまして、誠におわびの申し上げようもございません。本日は十分にご叱正賜れますれば……」

小林(上機嫌で)「ああ、ああ、それで仙波の方はどうなってる」

白石「通信指令室ではまったく仕事は与えとりません。彼のあの性格では、かなりこたえとるようです。居眠りもできんように、常に監視しとります。
 また警察内で仙波と会話をした者は、すべて会話内容を報告させるように徹底しております。今では仙波とあいさつを交わす人間すらいなくなっており、これも大きな圧力になっとると思われます」

菅「それから仙波には常に尾行と、Nシステムによる監視を行っております。あいつがどこに行こうと、行動はすべて把握しとります。支援組織を切り崩すために、息子の事件のことも噂で流しております」

  私服警官が、仙波を中傷するチラシを配ったり、メディアに郵送している。

小林「よし、仙波を徹底的に攻撃しろ。自発的に警察をやめるよう仕向けるんだ。裏金疑惑は、仙波と一緒にもみ消してしまえ。
 それからオンブズの弁護士どもの訴訟対策のほうは?」

白石「監察室でやっとります。基本的に仙波側はなんの証拠も持っとらんはずです。証拠類は、捜査上の秘密で、すべてにマスキングして提出しますから手も足も出んでしょう。あと証人尋問で問題になりそうなことは憶えていない、知らないと言い通せば乗り切れるはずです」

小林「ふむ、証拠もないのに警察を訴えて、本気で勝てると思っているのか、バカな奴だ」

  一同頷きつつ笑う。

鈴木「いかがでしょう、今日はお疲れのこととも思いますし、この辺でお馴染みなどお呼びしては」

  鈴木は「おーい」と合図をする。小林の顔なじみの芸者が入ってくる。

小林「おう、久しぶり。相変わらず綺麗だなあ、んん?」

  小林は隣に座らせた芸者の手をとる。

白石「官房長、私どもは対策がありますので、この辺で失礼を」

小林(ほとんど意に介さず)「ん、そうか、わかった。よろしく頼むぞ」

  幹部たち退席する。

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この物語は事実に基づいていますが、一部の登場人物、警察幹部間のやりとりなどは創作しています。またいくつかのエピソードは場所を変えたり、実際より省略、時間を前後させて描いています。